新しい物流センターは、センター候補地にどのようなセンターにするのかイメージを作成し、専門家と様々な制約条件や検討を重ねて物流センターを設計します。今回は、荷主様や物流事業者が物流センターイメージ作成で一般的に必要な敷地検討項目を紹介します。
物流センター敷地検討項目
1)候補地の容積率、建ぺい率、緑地率、高さ制限等
候補地に建てられる建物面積を確認します。
2)土地条件
土地計画、周りの道路環境、住宅、森林、気候等をとらえておくことが必要です。専門家との調整で予想外の制約も出てくる場合もあります。出入口場所についてはこの条件に左右されることが多いはずです。
3)守衛室
入口の混雑状態や右折禁止等の指導、セキュリティにより設置必要判断、設置場所の検討をします。
4)入口受付チェックの待機台数
守衛室や入出ゲートを設けた場合に出入口が渋滞し道路へトラックが並ぶことがないように考慮します。
5)トラック動線
倉庫の入出荷場所から出入口までのトラック動線を確保します。
6)トラックの待機場所
トラックバースへすべてのトラックが接車できるとは限らないので、待機場所を用意します。
7)歩行者の動線
歩行者が安全に事務所等の入口まで歩ける通路を用意します。
8)洗車場、トラックスケール
設置必要判断と場所の検討をします。
9)外部トイレ・休憩室・喫煙所
ドライバー用に設けるかどうかの検討をします。
10)従業員用、来客用の駐車場
働く従業員の数により、大きさを決定します。また、身障者用の駐車場が必要であるかの判断をします。
トラック動線・トラックバース
建物周りの主役はやはりトラックだと思います。入出するトラックの車種、台数、時間帯によって計画は変化します。では、トラック動線、トラックバースについてもう少し詳しく見ていきます。
1)車路
車両の大きさによって異なりますが、車路の幅の参考に、社団法人 日本道路協会
(平成4年11月)『駐車場設計 施工指針同解説』からご紹介します。
車室に面していない車路の幅員
(単位:cm)
社団法人 日本道路協会(平成4年11月)『駐車場設計 施工指針同解説』
トラックバースからの前面道路については、トラックが曲がるために必要な幅を用意します。
車室に面した車路の幅員
(単位:cm)
社団法人 日本道路協会(平成4年11月)『駐車場設計 施工指針同解説』
2)トラックバース
計画台数によりバースを広げる、多階建の場合に2階へバースを設ける(その場合、2階へ上るためのスロープ等が必要になります)等の検討を行います。
3)ホーム
低床なのか、高床なのか、荷役作業、車種に合わせたホームの高さや荷台にあわせた形状にします。
4)ホームスロープ
トラックバースには荷積み、荷降ろしを行うためのリフト等の荷役機器が走行します。倉庫とバースとの行き来を考慮する必要があります。(人用に階段も必要です)
5)レベラー
コンテナ等の荷役のためにホームにドッグレベラーを設置します。上方向だけでなく、下方向のスロープと兼用できるようなレベラーもあります。
6)下屋(庇)
車種によって、庇の高さや広さが決まります。ウイング車の荷役を行う場合には広げたときの高さに注意する必要があります。
7)シャッター
オーバースライダー型なのかドッグシェルターを使用するのか等を検討します。シャッターによっては庇の大きさに影響がある場合もあります。また、荷役機器などによりシャッター高さを検討します。
検討時にどのくらいイメージできるか
当たり前のことですが、物流センターを新設する際には様々な検討を行います。
敷地レイアウトが上手にできても倉庫内の入出荷場所や事務所位置などがそのレイアウトに合わない場合もあるかもしれません。本来は倉庫内外の両方を考慮した上で検討します。
検討時にどのくらいセンター運用時をイメージできるか、何を考慮するかによって失敗のない物流センターができると思います。候補地に赴いたり、他社の物流センターを見学したり、情報収集をすることが大切です。
今回の文章も何か一つでもお役に立てたら幸いです。これから新しい物流センターを考えていらっしゃる場合には、建築の専門家だけでなく、ぜひ物流センター構築の専門家へもご相談ください。
(文責:真壁)
【参考文献】
社団法人 日本道路協会(平成4年11月)『駐車場設計 施工指針同解説』
産業調査会事典出版センター 「新物流実務事典」編集委員会編 (平成17年6月)
『新物流実務事典』
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