ダブル連結トラックの実験
突然ですが、『ダブル連結トラック』という言葉をご存じでしょうか?
今年の春先に “トラック最大25mに緩和” などとWEBニュースのトップに出ていたので見聞きされた方もいらっしゃるかもしれませんが、その続報があるようですのでご紹介させて頂きます。
そもそも『ダブル連結トラック』とは、1台で通常の大型トラック2台分が輸送可能な車両の事で、昨今の深刻なドライバー不足を改善する規制緩和の施策であります。
現行道路法の車両制限令におけるトラックの長さ制限(下記参照)では、フルトレーラー等の特殊車両は最大21mまでのものを通行許可審査の対象(2013年11月より最大19mから通達変更)としております。今回の施策は、この21mの基準を10tトラック2台分の25mまでに引き上げる事を検討しているというものです。
トラック長さ制限
~12m以下 :○一般制限(許可不要)
12m超~21m以下:○特殊車両(通行許可必要)
21m超 :×不可
政府の動きは、2016年6月1日国土交通省が第13回物流小委員会にて『ダブル連結トラック実験方針(案)』を提示したレベルでまだ実験段階のようです。ちなみに、この実験案は生産性革命プロジェクト第2弾の取組の1つである『ダブル連結トラックによる省人化』(2016年4月11日開催)を受けて発表したものです。(注1、2)
実験案によると今年の2016年夏頃から実験参加者を公募により募集し、その後実験スタートし、来年2017年度末に実験結果をとりまとめ、本格導入に向けた条件などを検討するようです。
実験案概要
対象車両:フルトレーラー連結車、ダブルス連結車
対象区間:輸送ルートの50%以上が“新東名”を通行
一般道を含めて最大500km程度
一般道通行の場合は直近のICを使用 など
安全技術:16項目の車両安全技術要件を満たしているもの
運転技術:5年以上の免許と業務経験及び、事前安全教育が必要
その他 :積荷の制限、追い越し禁止、調査協力 など
この実験に加え、SAやPAなどを乗り換え拠点として、西側ルートの上り線と東側ルートの下り線のドライバーが中間地点でトラックを乗り換える「中継輸送」の実験も併せて実施される事から、労働環境改善・若者や女性ドライバーの活用の取り組みも注目されています。
ロジスティクスに携わる者として、ドライバー不足問題には強い危機感を感じており、この実験トライアルにより、安全面を始めとした項目のきっちりとした検証がされた上で実運用導入される事を期待しております。
また、ロジ・ソリューション株式会社の親会社であるセンコー株式会社においても、車両増強に取り組んでおりグループ勢力8000台を目指しておりますが、この『ダブル連結トラック』は有効な施策の一つと考えます。
さらに、この施策の延長線上には、トラック輸送の将来的な『自動運転・高速道路隊列走行』も見据えております。また、警察庁においては、トラックは検討対象外でまだ未決定事項のようですが、高速道路の最高速度が120km/hに引き上げられる可能性もありますので、政府の物流関連施策から目が離せません。
御社と関係する物流の中で、もし対象範囲のトラック輸送があれば、実験参加を検討されてみてはいかがでしょうか?時代の先駆者になれるかもしれません。
(文責:北村 健)
【参考文献】
(注1)ダブル連結トラック実験方針(案) 2016年6月1日(国土交通省)
https://www.mlit.go.jp/common/001133574.pdf
(注2)生産性革命プロジェクト第2弾 2016年4月11日(国土交通省)
https://www.mlit.go.jp/common/001127352.pdf
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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第330号 2016年7月13日)