物流のプロジェクトマネジメント:日系物流企業と欧米系物流企業の提案内容・現場立ち上げ手法はそもそもの思想が違っています

海外では当たり前のプロジェクトマネジメント

弊社は物流事業者選定支援を行っています。日本国内のみならず、海外物流拠点における事業者選定プロジェクトも支援していますが、日系物流企業と欧米系物流企業の提案内容・現場立ち上げ手法はそもそもの思想が違っています。

提案内容の違い

日系物流企業

  • 自分たちができることを中心に提案
  • オペレーションの詳細部分に焦点を当てたプレゼンテーション
  • 情報システムに関してWMSやTMSなど実行系を詳しく説明

欧米系物流企業

  • お客様が知りたいことを記載
  • オペレーションを差別化ポイントとはしていない
  • オペレーションを問題なく運用することは当たり前という前提(見える化やサプライチェーン全体の仕組みの説明が中心)
  • 使用するスライドは極めてシンプルで要点だけを記載

現場立ち上げ

日系物流企業

  • スケジュールのみ提示、管理手法やそれに付随する管理ツールの提示がない
  • 組織体系の提示はあるが、役割が明確に分かれていない

欧米系物流企業

  • 管理手法すなわちプロジェクトマネジメント(以下、PM)に沿った立ち上げ
  • 組織-役割分担が明確な推進組織

 一歩海外に出れば、PMの方法論に基づいて物流コンペを実施することは、一定レベル以上の企業にとっては今や常識となっています。そのために物流事業者もプレゼンテーション形式をPMに即したものにしています。日系物流企業などPMにあまり馴染みのない荷主に対してはPMそのものをアピールすることも多くあります。

そもそもプロジェクトマネジメントとは

プロジェクトとは、様々な人や組織が参画して一定の期限内に目的を達成するための計画であり、PMはプロジェクトを成功に導くためのテクニックです。従来はプロジェクトリーダーの属人的な能力によって支えられていた機能を、冷戦時代に米国防省が体系化して後に広く産業界に広まりました。

PMはIT業界やコンサルティング業界、エンジニアリング業界などには広く浸透している手法です。多くのプロジェクト管理ツールも普及しています。現在は米国の非営利団体PMI(プロジェクト・マネジメント・インスティテュート)がPMの知識体系を「PMBOK(Project Management Body of Knowledge)」というガイドブックにまとめて内容を定期的に更新しています。日本にもPMI日本支部が置かれて、国際資格「PMP(プロジェクト・マネジメント・プロフェッショナル)」の認定などを行っています。

プロジェクトマネジメントの適用推奨

われわれロジ・ソリューションは日本の物流においてもPMを適用することを推奨しています。荷主企業の物流マネジャーや3PLを対象としたPM研修や指導にも従来から取り組んでいます。それによって拠点の立ち上げや移転にトラブルは付き物という、物流のこれまでの“常識”を払拭することを目指しています。

PMは物流コンペのリスクを低減することに役立ちます。不要な混乱を避けることができます。荷主と3PLの双方に大きなメリットをもたらします。荷主の担当者は、大幅なスケジュールの遅れや予算の超過を回避して責任を果たすことができます。3PLにとっては差別化の武器になります。

(文責:釜屋 大和)

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ロジ・ソリューションでは、物流に関するいろいろなご支援をさせていただいております。何かお困りのことがありましたらぜひお声掛けください。

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第406号 2019年5月22日)

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