物流逼迫への対処策 ~取引条件の見直しと営業部門への活動展開~【後編】

【前編】はこちら

4.現在の取引条件は適正なのか?
取引の開始時や新分野の製品投入時には、必ず取引条件の新規設定や見直しがなされます。
しかしながら、長い継続取引の中で営業部門が見直すのは、製品仕様や販売価格に限定されるケースが多い事は、よく耳にするところです。

例えば、あるメーカーでは、納入先から製品識別上のシール添付1枚を依頼されて引き受けていましたが、その後数年でシール添付枚数が10枚まで増加しているにも拘らず、営業担当者は把握できていませんでした。
またあるメーカーでは、半製品で在庫し受注後、最終加工して製品アイテム化後に梱包出荷する事にしていたにも拘らず、納入リードタイム短縮要請を受け、最終加工後の製品アイテムを梱包して在庫したために、大量の在庫を抱え込む事になりました。
別のメーカーでは、納入時に納品先倉庫の棚入れと保管棚内の先入先出の入れ替えをして、さらに、倉庫の掃除をして帰る事になっていました。

納入先、メーカー、物流事業者間の、それぞれのコスト負担の分岐点設定は難しい側面もありますが、認識している取引条件と実態との乖離の把握や、今では不要となった取引条件の内容見直しを継続して実施しないと、今の物流環境の中で安定した物流確保は、困難を増すばかりと言わざるを得ません。

5.取引条件の根本的な見直しはできないか?
納入先との取引を継続する上で、取引条件の継続が重要である事は言うまでもありませんが、新たな着想で根本的な見直しを検討する事も必要です。当然ながら、守るべき事業価値観に照らし合わせた検討になりますが、果たして今の事業価値観は10年前と同じでしょうか?また、販売価格や製品仕様の見直しは可能であるにも拘らず、納入リードタイムや最少注文ケース数の見直しが出来ないのは、なぜでしょうか?

今の物流環境下で物流力確保の安定性を重視する場合、物流拠点数を増やして在庫を配置し、輸送距離を短縮化する事も選択の1つとなります。また、運賃水準引き上げと荷積み/荷降し待ちの条件緩和で、輸送力確保能力の拡大をはかる事も選択の1つとなります。

物流力確保の安定性では、納入リードタイムの延長も寄与します。繁忙期に適用期間を限定して、納入リードタイムの延長と最少注文ケース数を設定し、限りの見えた物流力を有効活用する事も選択の1つとなります。
さらには、配送ルートで支障のある待機時間に限界値を設定し、限界値を超えたら次の配送先に向かわせる事も、物流力確保の安定性に寄与する選択の1つとなります。
これからも一層厳しくなる物流環境の中で、サプライチェーンの安定性を確保するには、これまで取り組まなかった、新たな施策に取り組まざるを得なくなると考えています。

6.営業部門が物流力確保の安定性や物流効率化の対象に変化
従来、メーカーの場合は工場や物流センター等の出荷拠点を対象にした活動が中心でした。
なぜなら、営業部門は直接顧客を抱えており、多くの場合社内での発言力が強く、かつ、販売への影響懸念から、物流力確保の安定性や物流効率化の対象となっていませんでした。

しかしながら、今では、物流逼迫に対する物流力確保の安定性や、運賃水準の上昇に対する物流効率化の必要性は高まる一方です。また、認識している取引条件と実態との乖離を放置していると、物流事業者から思わぬ運賃水準の上昇要請を招く懸念が一層高まります。その上、取引条件の内容見直し自体は手付かずになっている場合が多く、販売価格や代金支払い条件等とのバランス感も必要となります。このため、営業部門でしか、顧客の承認が必要となる取引条件の変更はできません。
この意味で、営業部門が、物流力確保の安定性や物流効率化に対する中心的な活動対象となる必然性があります。

7.新たな取り組み開始にはサポーターも必要
従来の工場や物流センター等の出荷拠点を対象にした活動に加えて、営業部門も物流力確保の安定性や物流効率化の対象とする事は、まさに、SCMを高度化する起爆剤となります。しかしながら、新たに営業部門を活動に取り込む際には、活動趣旨の十分な浸透が不可欠となります。なぜなら、これまでの業務に加え、馴染みのない活動に時間を割く事になるため、強い抵抗感が出る事をよく耳にしています。また、取引条件の見直し着手は、設定した担当者でなく、現在の担当者が推進する事から、予期せぬ反発や活動上の問題提起がなされる場合がある事も耳にしています。

(文責:難波 博昭)

ロジ・ソリューションでは、こうしたコミュニケーション上の問題解決に役立つファシリテーションと共に、プロジェクト・マネジメント、SCM、ロジスティクス、IT等の専門領域を兼ね備えたスタッフを擁しています。
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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第294号 2015年9月16日)

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