物流分析手法シリーズ02【作業編】ワークサンプリングについて -物流現場における稼働状況把握手法

1.はじめに
物流現場において稼働状況を把握する手法はいくつかありますが、ワークサンプリングは代表的な手法であると共に、物流管理を行う者は知っておいた方が良い手法の1つです。
この手法を理解して頂ければ、長時間作業や非反復作業に関しても統計的な分析ができ、稼働状況の定量的把握、ついては問題点の絞込みが可能となります。

2.ワークサンプリングとは
ワークサンプリングは、人や機械の稼働状態を瞬間的に複数回観測し、対象の稼働状況の割合を統計的に把握する手法です。学問的にはIE(Industrial Engineering)技術である“稼働分析”手法の1つで、瞬間観測法と呼ばれる事もあります。
稼働分析は大きく2種類あり(表1参照)、手法の選択については、分析人数、コスト、期間及び、求める結果の詳細度を考慮する必要があります。一般的には、比較的安価で、短期間で結果の得られるワークサンプリングを選択するケースが多いようです。

表1 稼働分析手法の種類

ワークサンプリングを含んだ、稼働分析手法の使い道としては、大きく以下の2点があり、改善検討テーマを進める上での現状把握、課題抽出手法であるといえます。

①総括的にロスを定量化し、改善余地のある対象を絞り込む
②対象への大まかな作業別、状態別の時間値を把握する
(※②は物流ABCを検討する時にも利用可能です)

3.ワークサンプリング実施の流れ
それでは、実際にワークサンプリングを実施するに当たりどのような事をすればよいのでしょうか。ここでは、ワークサンプリングの手順について簡単なイメージで説明します。


※(注)ワークサンプリングは、単純な項目から詳細な項目まで適用可能な手法の為、上図の手順は、あくまで一般的な1つの例として表記しております。

<ワークサンプリング実施上の留意点> 
観測項目について
(1)観測項目の決定に当っては、求める結果を考慮した中で、項目の細かさのレベルを現場担者などと十分討議し、設定する必要があります。
(2)結果のブレを少なくする意味から、観測項目の定義付けと明確化及び、観測項目を観測者間で共有する必要があります。
(3)観測時に予測しない事象(定義していない観測項目など)が発生した場合は、詳細にメモする事も必要です。その事象が重要なポイントになる場合があります。

観測サンプル数について
(1)ワークサンプリングによって得られた結果の信頼性については、観測数N(サンプル数)の大きさによって精度が決まります。ここでは、詳細な説明は割愛しますが、統計学の確率の法則に基づき、N数の大小によって信頼出来る幅が変化します。

観測間隔について
(1)ランダムサンプリング
周期性のある作業による観測の同期を排除する意味で、乱数表等を利用したランダムな観測間隔を設定する場合があります。
(2)等間隔サンプリング
作業に周期性がない、又は周期性はあるが観測間隔と同期していなければ、同じ間隔の観測とする場合もあります。

観測用紙について
(1)観測の目的、書きやすさを考慮し、様式、用紙の大きさ、枚数を設定する必要があります。(観測様式は下記A~C、表2参照)

A.観測項目(作業)別、時間別
B.観測項目(作業)別、人別
C.観測項目(作業)別、人別、時間別 (『正』の字を人別で色を変える)

表2 調査用紙サンプル(A、C)

その他
(1)基本的には、ワークサンプリングを実施することを被観測者に予め知らせます。
但し、観測間隔、巡回経路等は知らせない事が多いです。
(2)処理能力、生産性把握の為に、観測期間中に対象が処理した処理量を把握する場が多いです。

 (文責:LS3/伊崎、新立、安崎、成松、浜野、鍋田、北村、福田、岩本)

【参考資料】
藤田 彰久 『IEの基礎』(1993) 株式会社建帛社
遠藤 健児、新宮 哲郎、熊谷 智徳、坂崎 春樹 『作業測定』(1966) 金原出版株式会社

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