デザイン・フォー・ロジスティクスは大規模建築物でも

私が以前住んでいた街の某大型ショッピングモールでは、公道から立体駐車場入口へ向かう車路の途中を左折するとトラック荷捌き場がありました。逆に、立体駐車場出口から公道へ向かう車路へはトラックは右折で合流しなければなりません。人気のあるショッピングセンターだったので乗用車の列が絶えることは少なく、納品を終えたであろうトラックがなかなか合流できず停車している場面に幾度となく遭遇しました。もちろん、同業者として先を譲りました。

デザイン・フォー・ロジスティクスという言葉はサプライチェーンに適した製品設計や梱包・包装に関することが中心でしたが、その考え方は商業施設等の大規模建築物についても議論がなされています。例えば、国土交通省が2017年3月に公表した『物流を考慮した建築物の設計・運用について~大規模建築物に係る物流の円滑化の手引き~』がそれに当たります。

同書では、冒頭で物流業界の労働力不足やサービスレベルアップに基づく作業負荷増から議論を進めているものの、大規模建築物の計画・設計・運用でデザイン・フォー・ロジスティクスを考慮することによる影響として以下を挙げています。

(1)建築物の利用者の利便性・快適性の向上
(2)メンテナンスや入居者交代に伴う工事等へのより柔軟な対応
(3)搬入される荷物の紛失防止やセキュリティ確保
(4)路上駐車等による道路交通への支障防止及び見通しが阻害されないことによる安全性の向上
(5)路上駐車等を抑制することによる良好な景観の形成などのまちづくりとの調和等

これら全項目において大規模建築物の所有者、入居者及び利用者に資するものであり、物流事業者のみが資するわけではないという視点で議論されているように感じます。

次に、設計上の考慮事項や運用による効率化策として以下についてその方法が明示されています。

・設計時の考慮事項

(1)車路(幅、動線)
(2)駐車マスの大きさ
(3)車路・駐車マスの高さ
(4)荷捌きスペース、館内受付・一括荷受けスペース
(5)館内動線
(6)貨物用
(7)駐車マスの必要数

・運用による効率化策

(1)館内配送の共同化
(2)納品時間の指定・調整
(3)一括納品
(4)その他(駐車場運営、情報管理システム)

また、実務へ落とし込むツールとして物流検討フローとチェックリストも添付されており、大規模建築物の計画・設計・運用時での活用が期待されます(ただし、計画の最初が発生する物流量の推計であり、難易度も影響度もともに高そうな印象を受けます)。

もともとは別の目的であるとしても、結果としてこのような施策は物流事業者にも資することになります。物流業界の労働力不足が社会全体で問題視される中、こうした『デザイン・フォー・ロジスティクス』の動きが今後も続くことを期待したいです。

(文責:松室 伊織)

参考:国土交通省総合政策局物流政策課『物流を考慮した建築物の設計・運用について~大規模建築物に係る物流の円滑化の手引き~』(2017年3月)https://www.mlit.go.jp/common/001198147.pdf

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第435号 2020年8月5日)

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