エコカーから考える物流

ここ数年、エコカーがとても一般的になり日常生活でも良く耳にします。そこで、今回は、このエコカーをきっかけにした物流について考えてみようと思います。

カーボンフットプリント制度とエコカー

さて、このエコカーですが、TVCMでも頻繁に見ますし、街でも非常に沢山走っています。こうして一般的になったエコカーは、通常の車と比較したら確かに燃費も良く、きっと環境には良いんだろうと思います。

しかし、カーボンフットプリント制度(※1)によりライフサイクル全体のCO2排出量が捉えられたら、エコカーに乗る事や乗り換える事が本当にエコなのだろうか? 最近そんな事を考える様になりました。

極論を言うと、私は本当のエコは何にも乗らない事(もちろん自転車等は除きます)だと思います。だから、従来の車を使用した移動と比較したらエコだけど、車を利用している時点でエコじゃないのでは? と言う事です。

しかし、実際はそれでは社会生活が送れないですし現実的ではありません。結局、車より少々不便でも公共交通機関を積極利用したり、自転車を使ったり、少し歩いてみたり、または無駄な移動をしないようにすることが個人レベルで出来る妥当な行動だろうと、自身の問に対して納得する様にしています。

同じ事を物流に当てはめて考えてみるとどうでしょうか?

「なるべき物を動かさない」のがエコ

物流におけるエコの取組というと、真っ先に思い浮かぶのがモーダルシフトです。ついで、輸送ロットの大型化や、共同配送等、SCMの各工程の効率化による環境負荷の低減が挙げられるのではないでしょうか。これはこれで非常に重要な取組です。

一方、前段申し上げた「本当のエコは何にも乗らない事」を物流に置き換えると、「物を動かさない事」となります。これも極端な話なので、「なるべく」を付けたいと思います。

「なるべく物を動かさない」が理想ですから、生産地と消費地を近づける事がまずは思いつきます。製販の一体化や最近よく聞く「地産地消」(※2)の事です。こんな事は、基本であり誰でも考える事ですが、荷主企業と物流事業者の問題だけではなく材料調達や市場にも左右されるので、現実はそうはいかないのが実情です。

しかし、一部では既に取り組んでいますし、全てではなくても今後消費の傾向として「地産地消」が進んで行く事が考えられます。その結果、環境負荷低減に繋がる事が期待できますし、地域の資源の有効活用にもなるでしょう。そして、「地産地消」を支える地元の物流-ロジスティクスも変わっていくかも知れません。

私は、そんな事を考えながら「地産」の買い物をしてみるのもエコのきっかけになって面白いと思いますが、いかがでしょうか。

(文責:熊澤)

(※1)カーボンフットプリント制度:商品やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算して、商品やサービスに分かりやすく表示する仕組み。

(※2補足)「地産地消」の懸念事項:地産地消を進めた結果として物流コストが下るということは、単に物流費を削っただけではなく「産」~「消」の流れを変えた事に起因します。しかし、「地産地消=輸送距離の短縮による物流資ダウンだけが目的」ととらえてしまいますと、物流事業者の業務が減り、収益減少となるだけで、結果として物流事業者の賃金や労働条件の悪化に繋がりかねません。他にも環境問題だけに注目してしまうなどの懸念材料があります。

【参照】
CFPとは 一般社団法人産業環境管理協会サイト

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第173号 2012年5月23日)

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