ASRS(自動倉庫)/ロボットストレージシステムのトレンド

586号を担当いたします手戸です。
「物流を止めない。社会を動かす。」をテーマに、国際物流総合展が9月10日~12日に東京で開催されました。特に目を引いたのが、ASRS※(Automated Storage and Retrieval System:自動倉庫)/ロボットストレージシステムです。 これらのマテハンは、高スループット※、高保管効率、レイアウトの柔軟性が特徴です。特にピッキングに関してGTP※(Goods-To-Person)のオプションが増加し、省人化・効率化を意識したラインナップとなっていました。

 出庫時にDAS※(Digital Assort System)とGTPとの連携は以前からありました。それに加えて、ASRS/ロボットストレージシステム自体が、ピッキングからオーダー仕分けまで、さらには出庫品のバッファ保管※、出庫順建てまでを組み込み、出荷作業全体を最適化するなど“多様化”が一つのトレンドと考えられます。
 特にEC物流向けでは、入庫から出庫までを一つのマテハンでカバーできる機能となっています。EC物量の増加や省人化などにニーズに対応するため、マテハンメーカー各社が、入出庫作業の自動化や省スペース・高密度保管にさらに磨きかけたと感じました。

 参考までに主なメーカーで、多様化している機能について一例をまとめました。

<ASRS/ロボットストレージシステム 多様化する機能の一例>

  各メーカーで特色があり、それを踏まえたマテハン選定が重要になります。また、ASRS/ロボットストレージシステムは大規模なマテハンですが、サブスクリプションサービスを提供しているマテハンメーカーもあります。初期投資を抑えつつスモールスタートで導入・検証が行えるようになり、これまで導入をためらっていた企業にも選択肢が広がっています。 

 今後も物流現場のニーズに応える新たな技術やサービスが次々と登場することが予想されます。ASRS/ロボットストレージシステムの進化によって、さらなる効率化・省人化が実現し、企業の競争力強化にもつながるでしょう。

(文責:手戸 清人)

【用語解説】

ASRS(Automated Storage and Retrieval System/自動倉庫)
倉庫内での入出庫や保管を自動化するシステム。クレーンやシャトル、ロボットなどが棚から商品を自動で取り出すことで、省人化や高密度保管を実現。

高スループット
単位時間あたりに処理できる作業量の多さを指す言葉。物流では、出荷量の多い現場でも滞りなく処理できるシステム性能を意味する。

GTP(Goods-To-Person)
人が商品を取りに行くのではなく、商品が人のもとに届く仕組み。ロボットやシャトルが棚を作業者の前まで運ぶことで、歩行移動を減らしピッキング作業を効率化。

DAS(Digital Assort System)
仕分け作業をデジタル表示で支援するシステム。ライトやディスプレイに表示された指示に従って作業するため、誤出荷防止や作業スピード向上につながる。

バッファ保管
一時的に商品や出庫品を保管する仕組み。出荷順や積載順を調整する緩衝エリアとして機能し、ライン全体のスムーズな運用を支える。

(参考)国際物流総合展 LOGIS-TECH TOKYO

プラスオートメーション:庫内実行システム「+Hub」 | +Automation

エグゾテック:システム | Exotec

ラピュタロボティクス:自在型自動倉庫 ラピュタASRS | ラピュタロボティクス

ROMS:より柔軟性・拡張性の高い小型自動倉庫システム|株式会社ROMS


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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第586号 2025年11月12日)

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