2020年3月末に上梓させていただきました「基本がわかる実践できる 物流(ロジスティクス)の基本教科書」から、今回は、在庫分析について取り上げます。
ABC分析
在庫分析は、荷主側がすることで物流事業者側は関係ないと思われがちですが、物流事業者にとっても内容を知ることで何かの提案のきっかけになりますので重要な項目です。また、在庫分析の手法はいろいろありますが、その目的に合った手法を活用して分析することが必要です。
在庫分析の基本的な手法としてABC分析がありますが、ねらいはそれぞれの品目の特徴をとらえて管理をしようという分析手法です。
分析の方法は、在庫品目の出荷量の多い順に横軸にならべて出荷数量と出荷数量の累計をプロットしたパレート図を作成し、Aランク品、Bランク品、Cランク品、Zランク品にランク付けします。ランクは、一般的に累積構成比率が60~70%以内をAランク品、80~90%以内をBランク品、100%までをCランク品、全く出荷のないものはZランク品とします。Zランク品は一般的でないかもしれませんが、出荷のなかったアイテムを知るためには有効です。また、縦軸の出来高の部分は、「金額」でとらえることが多いですが、物流では「数量」でとらえます。
在庫日数分析
このABC分析を応用して、在庫日数を分析することもできます。
在庫日数とは、在庫量を出荷量で割ることで何日分の在庫を持っているかを表したもので、自社の目標とする在庫日数と比較することで在庫量のコントロールに役立てることができます
ABC分析の応用では、出荷量の多いアイテム順に出荷数量と在庫日数をプロットして分析します。このグラフから、在庫日数が長すぎるアイテムを見つけ出して、施策を立案・推進してきます。また、この在庫日数の代わりに在庫量をプロットすることで、在庫日数同様に在庫量が多すぎるアイテムを見つけ出すこともできます。
日々の在庫の状況を分析するには、「流動数曲線」で分析します。
ねらいは、日々の在庫量の変動や在庫保有日数の状況を一目で見えるようにすることです。
横軸に日付、縦軸は物量です。入庫数量と出庫数量の累計を重ねて表示します。縦方向に見て日々における差が在庫を示しており、横方向に見ると入庫されたものが出荷されるまでの期間を見ることができます。
文章の説明ではわかりづらいと思いますが、一度実際に小さな範囲でも分析されてみることをお勧めします。
(文責 中谷 祐治)
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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第493号 2022年12月7日)
参考
中谷祐治(2020) 「基本がわかる実践できる 物流(ロジスティクス)の基本教科書」日本能率協会マネジメントセンター
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また、今回ご紹介した内容は、「基本がわかる実践できる 物流(ロジスティクス)の基本教科書」(くわしくはこちら)にあります。書店で手に取っていただけますと幸いです。