はじめに
「セブンの1000億円オムニチャネル計画、電通など参加」(2014/3/11日本経済新聞朝刊)この記事をご覧になられた方も多いと思います。オムニチャネルという言葉を初めて目にされた方もいらっしゃったとは思いますが、その記事を要約すると以下のようになります。
・セブン-イレブン店舗はネット通販の商品受け取りに活用される。
・最近流通業を中心に注目される「オムニチャネル」と呼ばれる仕組みを構築する。
・消質者が持ち歩いているスマートフォンを媒介に、EC(電子商取引)サイトや実店舗など様々なチャネルを統合する。
・在庫管理や配送を効率化するほか、ビッグデータ分析によって顧客へのマーケティング施策を高度化する。
イオンもオムニチャネルに取り組んでいます。2013年12月にイオン幕張新都心店がオープンしましたが、リアル店舗とインターネット(EC)のシームレス化を目指し、スマートフォンを店内POPにかざすと商品のレシピが表示される仕組みをアプリに組み込み、将来的にはネットスーパーとの連動、お買い得情報の提供を目指しています。
流行語にもなろうとしているオムニチャネルという言葉ですが、「新聞などで目にはしているけど内容は知らない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
このオムニチャネルは、「リアル店舗とECを情報連携させ、消費者はどこで買ったのかは意識しない取り組み」です。
2011年に米国百貨店メイシーズが決算発表会で、「オムニチャネルを推進する」と発表し、注目されるようになりました。メイシーズでは、取扱商品の在庫管理が徹底されており、リアル店舗に商品がない場合でも他のリアル店舗やECサイト用の倉庫に在庫があれば、そこから宅配できる仕組みを築いています。
スマートフォンの普及により、近年リアル店舗では実物の商品を見るだけで実際にはECサイトで購入するというショールーミングが進んでいます。デパートや家電量販店などの小売店では対応に苦慮していますが、メイシーズではオムニチャネル化することで、ショールーミングによる販売減少を食い止めています。
販売チャネルの進化と物流
マルチチャネルやクロスチャネルなど、さまざまなチャネルの名称がありますが、販売チャネルの進化を書籍販売の例で示します。
第一段階 シングルチャネル書籍を本屋のみで販売
第二段階 マルチチャネル書籍を本屋とECサイトで販売
第三段階 クロスチャネル書籍をECサイトで販売してコンビニで引き渡す
第四段階 オムニチャネル書籍をどのチャネルで販売しても顧客にとっては同じ
オムニチャネルでは、特定の販売チャネルでの在庫切れがない状況をつくり、書籍をどのチャネルで販売しても同等の価格で、同等のキャンペーンの恩恵、同等のポイントを与えます。
これまでのマルチチャネルの問題点としては、販売チャネルが違うと企業はそれぞれ別の顧客だと認識してしまい顧客管理ができず、さらに商品の在庫が販売チャネルごとに管理されているため、企業としては在庫があるのに在庫切れが発生してしまいます。これらを解決する考え方がオムニチャネルです。
さて、顧客タッチポイントの多様化にともない企業が対応に迫られ、オムニチャネル化を急速に進めた場合に物流機能としては何を準備しておくべきでしょうか。
物流基本機能を軸に考えてみましょう。
注意しなければならないのは、顧客がどこで買うかを意識せずに同等レベルの品質とサービス、コスト、商品の受け取りが実現できるかです。
輸送
・地域需要にあわせた物流センター間の幹線輸送の柔軟性確保
・リアル店舗間、リアル店舗から物流センターへの在庫移動、ミルクランの仕組み構築
・ラストワンマイルの配送ネットワーク構築 ・エンドユーザーからの返品回収ネットワーク構築
在庫保管
・店頭在庫と店舗バックヤード在庫、通販・EC販売在庫の一元管理
・グループ企業も含めた商品マスタの統合、そのメンテナンス
・在庫引当のリアルタイム化とECサイト(買い物カゴ)への反映
荷役
・複数商品同梱のためのピッキング機能 (小売であれば違うメーカー、ベンダーの商品であっても同梱を可能とする)
・返品商品の検品機能
梱包
・複数商品の同梱
・ギフトラッピング、メッセージカードやチラシの封入
流通加工
・店舗で実施されている名入れ機能や、各商品に合わせた流通加工
その他にも準備すべき機能があると思われますが、物流センターはリアル店舗の業務に近づき、配送は企業の販売員の手渡しのような機能を実装していくものと考えられます。ロジ・ソリューションは、オムニチャネル化をお考えのお客様の物流面からのサポートを準備中です。
(文責:釜屋)
ロジ・ソリューションでは、物流に関するいろいろなご支援をさせていただいております。何かお困りのことがありましたらぜひお声掛けください。(お問い合せはこちら)
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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第248号 2014年5月2日)