太陽光発電事業への新規参入は増えているが
最近、太陽光発電事業に新規参入する企業の記事が目につきます。ソフトバンクグループ(20万kW)、ローソン(1万kW)、ヤマダ電機(7.5万kW)、NTTグループ(2014年度までに6万kW)などです。
昨年まではメガソーラーを導入する企業の目的は「社会貢献」と言った側面が強かったかと思いますが、3年間続くと言われているプレミアム価格であるFIT(固定価格買取制度:20年間、税込42円/kWh)が現実味を帯びてからいっそう加速度が増した感があります。(2012年6月15日時点)
これまでのばんばん通信にも太陽光発電に関わる記事がありますが、今回のFITにより電気使用者に影響があるにかかわらず話題にあまり上っていないと思われるものに「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)、及び太陽光発電促進付加金(太陽光サーチャージ)」があります。現時点でこの制度の気になる点について書きたいと思います。
まず固定価格買取制度(新制度)とは、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」の中で再生可能エネルギー源(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)を用いて発電された電気を、一定の期間・価格で電気事業者が買い取ることを義務付けるものです。(第177回通常国会2011年8月26日成立、2012年7月1日買取開始)
また、電気事業者が買い取りに要した費用は、使用電力に比例した【賦課金】によって回収することとしており、電気料金の一部として、国民(電気使用者)が負担をすることとなっています。
この【賦課金】が再エネ賦課金・太陽光サーチャージであり、買取価格等をもとに年間でどのくらい再生可能エネルギーが導入されるかを推測し、毎年度経済産業大臣が再エネ賦課金の単価を決めます。また、推測値と実績値の差分については、翌々年度の再エネ賦課金単価で調整していくものです。
ちなみに今年度の再エネ賦課金の単価の基礎となる推測値は、住宅用太陽光では、対前年度で4割の伸びを仮定。また非住宅用太陽光(メガソーラーなど)は、7月から今年度末までに、50万kWの増加を仮定しています。
そして経済産業庁が発表している今年度の再エネ賦課金は、標準家庭(月間300kWh使用時)では月間80円程度の見通しです。また加えて、太陽光サーチャージ分が東京電力管内において別途月間18円(=0.06円×300kWh)となり、月間賦課金の合計は98円程度となるようです。(太陽光サーチャージ単価が一番高い九州電力管内では合計で125円程度です。)
電力会社別 太陽光サーチャージ単価(平成24年度) (円/kWh)
また、来年度以降の見通しは難しいですが、冒頭の多くの企業がプレミアム価格を期待して今年度に太陽光発電事業に参入していることを考えると予想以上に買取価格が増えることが予想され、影響として、一般家庭が負担する再エネ賦課金単価及びの太陽光サーチャージの単価が今年度以上になる可能性があります。この単価自体は来年度に経済産業庁が発表する再エネ賦課金単価及びの太陽光サーチャージの単価を待って確認して頂きたいと思います。
賦課金減免制度は必ず確認を!
他方、大量の電気を使用する事業者としては「賦課金減免制度」を確認しておいて頂きたいと思います。この減免制度の認定を受けるためには2つのステップがあります。
ステップ1:対象事業の認定
売上高千円当たりの電気使用量(kWh)が5.6以上
ステップ2:対象事業所の認定
(1)事業所毎の対象事業の電気使用量が100万kWh以上
(2)対象事業の電気使用量が事業所全体の電気使用量の過半数以上
この認定を受けることで賦課金を一律8割減免することができます。
ただし、平成24年度分については遅くとも7月末までに認定を受ける必要があります。
また賦課金の減免制度は年度毎に申請が必要なため、平成25年度分の賦課金減免を受けるためには平成24年11月末までに申請が必要となります。
【参考】経済産業省 資源エネルギー庁 なっとく!再生可能エネルギー
(文責:濱野)
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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第179号 2012年7月4日)