複雑化する社会で、これまで使ってきたビジネスフレームワークはどの程度有効なのか
AI、IoT、ビッグデータの3大テクノロジーがこれからの社会を大きく変えると言われています。これまでにも、ソーシャル、モバイル、クラウド、セキュリティ、仮想現実、ロボットなどといったテクノロジーが、既に社会に与えてきた影響を私たちは目の当たりにしています。一方で、世界を見渡すと予測できなかったトランプ大統領の誕生や英国のEU離脱という激動が起こり、国内ではある程度予測されたものの深刻な事態に直面している少子高齢化や人口減少の問題など、社会構造はより不明瞭で複雑化しているように感じます。
私自身、コンサルタントの端くれとしてビジネスフレームワークを用いて、お客様への提案をさせて頂くことがよくあります。しかし、先のような社会環境の著しい変化で、従来のフレームワークが有効なのかどうかを考えてしまいます。もちろん、偉大な先人達の叡智が詰まったフレームワークは、様々なビジネスシーンで活用できる貴重なツールが多々あり、その全てを否定するつもりは毛頭ありません。ただ、これまで求められてきたビジネススキルが、例えばAIの存在によって無用になったり、過去に膨大な時間と労力を要して収集してきた情報がビッグデータで手軽に入手できるようになったりすると、リーダーが持つべき思考法も変化しなければいけなくなっているのではないでしょうか?
「ロジカルシンキング」でAIに勝てるのか
「ロジカルシンキング」という思考法が流行りましたが、ロジカルに考える思考回路は、それこそAIの方が優れているように思います。デジタル化の究極が最新のテクノロジーだとすると、あらゆる事象を究極的に「0」「1」に2極化する時代になっているともいえるわけですが、先にも述べたように、社会は単純化されるどころかより複雑化し、予測不能で不明瞭な事態が発生しております。したがって、従来よりも曖昧な状況の中で知恵を出し、決断する意志がこれからのリーダーに求められているように感じます。
あるセミナーで、これからの時代は、いわゆる「左脳」的な判断や知識は最新テクノロジーに委ね、「右脳」的なクリエイティブさや、人間の心情に共感するようなソフトな思考回路が必要になるとし、前者のロジカルシンキングを「垂直思考」、後者のクリエイティブシンキングを「水平思考」と呼んでいました。両者の思考では、使われる言葉も変わってきます。例えば、「なぜそうなの?」と問うのではなく、まず「面白い!」と共感したり、「イシューは何?」ではなく、「イメージは何?」と聞いてあげたり、「結論は何?」というより「プロセスが大事だから」といったように、ソフトな表現になるというのです。
MECEを疑う
ビジネスフレームワークに、「MECE」(Mutually(相互に)、Exclusive(重複せず)、and Collectively(全体として)、Exhaustive(漏れがない))があります。全体の事象を漏れなくダブりなく認識するための手法ですが、現実的には、一部が把握できず漏れていたり、ダブっていたりする中で新たな発見をするのが人間の知恵かもしれません。また、皆さんが良くご存じの「4P」(Product(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(プロモーション))についても、競争原理から考えられたものですが、これからの時代は次の新たな3Cへのシフトで「共創」が求められるとする識者もいます。
・モノ、値段(Product、Price)から「コンテンツ(Content)」へ
・販促(Promotion)から「対話(Communication)」へ
・売り場(Place)から「遊び場(Community)」へ
テクノロジーの進化や社会環境の変化を踏まえ、更に新たなビジネスフレームワークが誕生するかもしれません。いずれにせよ、お客様にとって最適なソリューションを導き出せるよう、今後も努力していきたいと思います。
(文責:貞 勝利)
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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第371号 2017年11月29日)