大丈夫か?物流用語の使い方!

 592号を担当します中谷です。

ビジネスキャリア検定にロジスティクス部門があるのはご存知のことと思います。
 標準テキストが2024年10月に第4版へと改訂された際にその一部を担当させていただき、いろいろな物流に関する用語などを調べる機会がありました。
 そのためか、物流用語や機器の名称など細かいことが気になるようになってしまいました。今回は、現在気になっているいくつかの用語を挙げて、今後に向けての問題提起をしてみたいと思います。

まずは「積載効率」です。

 物流の2024年問題に関連した国土交通省などの資料には、多くが「積載効率=積載率×実車率。(輸送トンキロ/能力トンキロ(空車時のデータを含む。))」と表示されています。つまり、トラックの運行に関する指標のかけ合わせです。

 ところが、日本産業規格の物流用語(JIS Z 0111:2006)を見ますと、積載効率は「輸送機関の貨物積載部の許容積載容積に対する積載物品の占有する容積、又は許容積載質量に対する積載物品の占有する質量」となっています。つまり、トラックの荷台が、質量または容積の観点からどれだけ有効に使われているかを示す指標であり、運行距離や空車回送を含むものではありません。

 「物流の2024年問題」に関する資料を見ていて当初から違和感を覚えていたのですが、途中で違いを発見して以降、個人としては文脈から判断しています。
 ただ、物流業界全体では、実車率をかけないほうが一般的に浸透している、もしくは、積載効率と積載率を同義語として使っていることが多いように思います。
 つまり「積載効率」という用語が違った定義で使われているのが実情であり、公的な視点から、どのように考えるべきかの説明が必要ではないでしょうか。

 あわせまして、前記定義に出てくる「質量」ですが、一般的に「重量」と呼ばれています。本来重量は、質量×重力加速度(単位:ニュートン)で表されるため異なっていることになります。従来から使われていること、地球上では比例することなどから、そのまま使われているのではないかと思いますが、いかがなものでしょうか。

二つ目は、「物流統括管理者とCLO」です。

 こちらは、同じか違うのかという議論があると思いますが、国土交通省、経済産業省、農林水産省による「合同会議取りまとめ」では、「物流統括管理者は、(中略)ロジスティクスを司るいわゆるCLOとしての経営管理の視点や役割も期待されている」となっており、「役割も期待される」の「も」によって、異なるようなあいまいな表現となっています。

 CLOは、企業においてロジスティクスをつかさどる最高責任者のことです。一方、物流統括管理者は、中長期的な計画の作成、自らの事業に係る貨物の運送を行う運転者への負荷を低減し、及び輸送される物資の貨物自動車への過度の集中を是正するための事業の運営方針の作成及び事業の管理体制の整備に関する業務、その他運転者の運送及び荷役等の効率化のために必要な業務として主務省令で定める業務を行うとされており、その役割は最高責任者の役割の一部です。
 危惧されるのは、CLOを物流統括管理者として任命する必要があるのではないかと理解してしまうことです。CLOを任命することができ、物流統括管理者としての業務カバーできれば、さらに良いことですが、今回の法律ではそこまで明示されていません。

 従って、「物流統括管理者の選任義務」の表現は良いと思いますが、「CLOの選任義務」や「CLO規制」などの表現は、間違った理解につながるのではないかと思います。

三つめは、「倉庫業者」です。

 この表現が、公的な資料で基本的に使われています。以前「物流業者」「運送業者」という表現もありましたが、多くの場合、現在では「物流事業者」「運送事業者」となっています。

 倉庫業は倉庫業法で規定された業態で、それゆえ「倉庫業者」が使われているのではないかと推測します。しかしながら、「倉庫業」を事業として行っている企業は前記の「物流事業者」と同様に、「倉庫事業者」と表現すべきだと思います。

四つ目は、「集荷」です。

 物流標準情報化ガイドラインは、データ連携や共有化などによる物流の生産性向上を実現するため、データの標準形式を規定したものです。標準化を進めることはとても良いことですが、用語の使い方では気になる点があります。
 荷送り人と運送事業者のデータ交換の場面に「集荷」が出てきますが、多数を占める企業間貨物運送では「集貨」が正しい表現と思われます。この間違いはとても多く、これに限らず公的機関のWEBサイトや資料にも見られます。こちらも統一すべきと思います。

最後に

 いくつか気になる点を挙げましたが、いかがでしょうか。すでに関係各所にはお話しさせていただいていますので、アクションがあることを期待しております。

 現在のような変革の時代は、物流業界の地位向上のチャンスでもあります。本来経営の中心であるロジスティクスや物流の重要性が多くの方に理解いただける社会になれば良いと思います。そのためにも、物流に携わるものとして、言葉遣いからしっかりと基礎を固めていくことが必要だと考えています。

 

参考資料

・合同会議とりまとめ 国土交通省 交通政策審議会 交通体系分科会 物流部会・経済産業省 産業構造審議会 商務流通情報分科会 流通小委員会・ 農林水産省 食料・農業・農村政策審議会 食料産業部会 物流小委員会 2024年11月27日 https://www.mlit.go.jp/report/press/tokatsu01_hh_000844.html

・日本産業規格 物流用語 JIS Z 0111:2006

・日本産業規格 量および単位-第4部:力学 JIS Z 8000-4:2014

・「物流効率化法」理解促進ポータルサイト https://www.revised-logistics-act-portal.mlit.go.jp/

・物流情報標準ガイドライン-ver.3.00  https://www.lisc.or.jp/guideline/

 

(文責:中谷 祐治)

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第592号 2026年1月21日)

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