世阿弥に学ぶ「初心」の重要性:コンサルティングの「初心」とは

人事異動の季節

3月も後半に差し掛かりました。

人事異動、入社、入学を機に新しいスタートを切る方も多いのではと思います。スタートラインに立つ時、どんな気持ちでしょうか。既に走り始めている方は、その時どんな気持ちだったか思い出してみるのも良いでしょう。新鮮な気持ちで業務に取り組むきっかけになるかもしれません。

さて、門出に際してよく耳にする「初心忘るべからず」という言葉があります。様々な解釈があるとは思いますが、「最初の志を忘れてはならない」のような意味かと思います。この言葉は室町時代に能を大成させた世阿弥によるものだそうです。世阿弥の『花鏡』には次の一節があります。

是非の初心忘るべからず。
時々の初心忘るべからず。
老後の初心忘るべからず。

ご覧の通り、世阿弥の考える「初心」は「最初の志」に限定されていないようです。人生の中で初心を抱く機会がいくつもあり、若い時から老後まで人生の節々における初心を忘れてはいけないと説いています。600年以上前の言葉とは思えないほどスッと胸に入ってくるのは、物事の本質を捉えているからかもしれません。

コンサルティングの「初心」とは

世阿弥の「初心」とはややスケールが異なりますが、コンサルティングの現場においても「初心」は重要なキーワードの1つです。

実際のプロジェクトにおいても、初期段階で活動企画書を作成することで、「初心」を明文化する過程があります。具体的な活動企画書の主な内容は下記の通りです。

  • 活動の背景
  • 活動の目的
  • 活動の目標
  • 活動に対する期待事項

私自身もクライアントとのプロジェクトに関する打ち合わせや報告会では、活動企画書の振り返りをなるべくプレゼン資料に入れるようにしています。「初心」を振り返ることで、議論の脱線を防ぐことができますし、出発地と現在地とゴールが線としてしっかり繋がっているかを再確認することができます。

プロジェクトの羅針盤としての機能を果たす活動企画書ですが、より完成度を高めるためにはどんなことが必要でしょうか。私は2つあると考えています。それは客観的評価をもとにした現状把握と多角的な視点からの仮説です。これらを社内の人材でカバーするには限界がありますので、外部の専門家に力を借りることも検討してみてはいかがでしょうか。

(文責:野尻 達郎)

【参考資料】
『風姿花伝』(市村宏 講談社 2011.9.13)
『ビジネス版「風姿花伝」の教え』(森澤勇司 マイナビ出版 2014.12.25)
『NHK「100分de名著」ブックス 世阿弥 風姿花伝』(土屋恵一郎 NHK出版 2015.2.24)

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第402号 2019年3月20日)

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