601号を担当いたします川口です。
皆さまは、生産性と聞いて何を思い描きますか?様々な場面で使用できる汎用性のある言葉かと思います。物流現場の管理者というのは常に忙しく、多岐にわたる業務に追われている方が多い印象ですが、「生産性」は理解すればするほど倉庫運営の助けになると思います。
生産性とは
物流業界における「生産性」は、荷役に関して使用されることが多いです。荷役(にやく)の定義とは、日本産業規格の物流用語(JIS Z 0111:2006)によると「物流過程における物資の積卸し、運搬、積付け、ピッキング、仕分け、荷ぞろえなどの作業及びこれに付随する作業。マテリアルハンドリングともいう。」とあります。
私は、物流倉庫で現場管理者、また倉庫立ち上げの際に、社内の一つのプロジェクトリーダーとして、安定稼働までをゴールとして約5年物流業界に従事して参りました。本稿では実経験に基づいて、生産性を題に書かせていただきます。
荷役の生産性
物流倉庫を運営する上で、「荷役の生産性」は、実は非常に重要です。どれだけ良い倉庫やシステムを利用していても、荷役における生産性が低ければ利益は上がりません。逆に、生産性が高ければ高いほど、荷役に必要な時間が減る為、同じ物量をこなしていても、人件費を削減することが出来ます。
「1時間あたりにどれだけの作業ができるか」 と考えると、よりリアルになります。
ピッキングを例にあげてみます。
当日の出荷物量:1,000pcs、作業者の時給:2,000円 とします。

生産性が100pcs/hの場合、作業時間は10時間ですが、200pcs/hであれば5時間に短縮されます。このように、何らかの要因により生産性が変わることで、その作業に必要な時間が変わり、それに比例して人件費も変わってきます。今回ご紹介している例では、年間約14.600千円の削減につながります。
上記のように、状況は随時変化していきますが、生産性を把握していれば、計画段階で必要な作業時間を算出できるだけでなく、進捗に応じて「遅れているのか」「人員を追加すべきか」といった判断を早い段階で行うことが出来ます。単に進捗を確認するのではなく、「どう対応するか」を判断するための基準としても生産性は機能します。
生産性の活用
物流は、数値で把握することがとても重要です。物量は日々変動する為、生産性に基づいて必要な作業時間を見積もることで、計画と実態のズレを早期に把握することが出来ます。出荷遅延が発生した場合でも、「どの時点で遅れが見込まれたのか」を把握していれば、荷主への事前連絡が可能となり、信頼の維持につながります。また、作業が予定より早く完了した場合についても、同様に適切な管理が求められます。
過去には、計画、進捗確認のフローが出来上がっていなかったことにより、誤出荷のリスクが発生したこともありました。反対に、生産性に基づいて計画を立て、スムーズに作業を完了させることができれば、「急な増減にも安全にミスなく対応してくれる倉庫」という印象(武器)になっるのではないでしょうか?
下記は、当日の進捗を管理するために実際に使用していた表です。例えば、12時時点では予定300pcsに対して、実績200 pcsと、100 pcsの遅れが発生しています。この時点で、生産性は約66.7 pcs/hとなっており、このままでは当初の計画通りには完了しないことがわかります。こうした数値をもとに、「人員を追加する」「出荷計画を調整する」といった判断を早い段階で行うことが出来ます。

生産性向上の事例
ここで、生産性向上の事例をひとつご紹介します。私自身が実際に取り組み、結果が出た例になります。
テーマ:製品(日用品)の袋詰め作業
資材となる袋は、「作業台の下においてあり、なくなったら都度資材置き場に取りに行く」ルールでした。
当たり前を見直してみようと、全員が作業中に行っている、「作業ではない部分」に着目し、資材補充のタイミングに目星をつけました。都度補充のルールは歩く回数、時間が増えてしまう為、作業者同士で雑談する時間も発生してしまっていました。(ここでは雑談は約5分として計算します。)そこで、資材補充を都度ではなく、1日の内、清掃の時間として確保されている10分の中で行うことにしました。それにより、87時間削減が出来ました。詳細は下記表になります。

上記に加えて、作業への集中度向上や定置管理の徹底といった相乗効果も得られました。 この経験を通じて、現場の中にある無駄に目を向ける重要性を実感しました。
まとめ
荷役の生産性の上げ方は、多種多様で幅広いです。生産性向上に関する情報は多く存在し、文献やセミナーなどから得ることができます。一方で、現場のことを最も理解しているのは現場の担当者であり、外部の情報がそのまま適用できないと感じる場面も少なくありません。
しかし、現場の視点を前提としつつ外部の知見を取り入れることで、新たな改善の可能性に気づくことができます。
日々の業務に追われる中でも、一度立ち止まって現場を見直し、新しい知識や事例に触れることで、これまで気付かなかった改善のヒントが得られることもあります。現場と外部の両方の視点を持つことが生産性向上につながるのではないでしょうか。この考え方や経験が少しでもどなたかの参考になれば幸いです。
(文責:川口)
(参考)
JISZ0111:2006 物流用語 https://kikakurui.com/z0/Z0111-2006-01.html
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