2030年の物流を考える

「2030年の物流はどうなっているのか。見解を教えてほしい。」

昨年末、お客様からこのような質問を受けました。上昇を続ける物流コスト、出口が見えない人手不足問題・・・etc.今後の日本の物流情勢について、グローバル本社への説明材料に困窮している様子でした。読者の皆様も先行きが不透明な物流情勢に不安を募らせていることと思います。

実際に2030年には様々な問題が発生すると予想されています。物流に関わる人手不足について考えると、ポイントは以下の3つです。

・人口総数が1億1,600万人程度に減少(2010年:1億2,800万人)
・平均年齢が50.4 歳に上昇(2010年:45.0歳)
・65 歳以上の高齢者が31.6%を占める一方、生産年齢人口は58.1%に減少(2010年:23.0%、63.8%)

日本ロジスティクスシステム協会による『IoT、ビッグデータ、人工知能の進展による2030年の物流ビジョン 報告書』でも、今後人手不足がますます顕著になると想定されています。一方で、人材余剰となるという予想もあります。三菱総合研究所による調査では、デジタル技術の普及による無人化が進み、2030年には物流以外の業界を含め、40万人の人材余剰となるという試算結果が出ています。物流業界でも倉庫業務の無人化・省人化、トラックの自動運転、IoT等のイノベーションが期待されており、また現時点でも複数のスタートアップがイノベーションになり得るサービスを展開しています。

それではイノベーションの波に上手く乗るにはどうすればよいのでしょうか。書籍等でよく取り上げられているキーワードとして「よそ者、馬鹿者、若者」があります。既存の価値観を理解しないような人間(よそ者、馬鹿者、若者)を巻き込んで検討することで、革新的なアイデアを産み出すということです。物流業界におけるイノベーションの旗振り役となるのは、よそ者(物流事業者以外)かもしれません。直近だとネスレによる「MACHI ECO便」が大変興味深い事例だといえます。プロのドライバーが配送するだけではなく、消費者(ネスレユーザー)が取りに行くという新しい考え方です。物流に関する問題解決のみならず、コミュニティの創出まで目指しているところに先進性を感じます。詳細についてはWEBサイト等でご確認いただければと思いますが、2030年までにこのような新しい取り組みが各企業でどんどんスタートしていくのかもしれません。

(文責:野尻 達郎)

【参考資料】
『IoT、ビッグデータ、人工知能の進展による2030年の物流ビジョン 報告書』
公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会(2016.8.8)https://www.logistics.or.jp/jils_news/2016/08/iot2030.html

『大ミスマッチ時代を乗り超える人材戦略 ~2030年の人材マッピング~』
株式会社三菱総合研究所(2018.7.23)
https://www.mri.co.jp/opinion/column/trend/trend_20180723.html

『ネスレ日本と佐川急便が共同で新・宅配サービス「MACHI ECO便」を10月1日(月)から開始』
ネスレ日本株式会社 プレスリリース(2018.9.26)https://www.nestle.co.jp/media/pressreleases/allpressreleases/20180926_corporate

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