昨今の企業間取引(EDI)に対する物流システム構築における課題、4つの事例

今回は、昨今私が携わっている荷主様との物流システム構築における事例(悩み)に触れたいと思います。

アパレル商社様事例

「出荷オーダの全てが各営業担当者のeメールに書かれた文章であり、担当者が読み取る、紐解く必要がある」

メール文例1) 品番1234、各色5枚ずつを6/3までに○○様へ届けてください。
メール文例2) 5/15に出した6/5分のオーダですが、取り消してください

-担当者の対応(簡略)-

文例1…サイズがS,M,Lとあり、それぞれのサイズを5枚ずつ出すのか、確認が必要。該当品番は10色あるが、在庫品としては7色しか扱っていない。他3色はどうするのか、確認が必要。

文例2…日々100通を超えるオーダのメールがきており、過去に遡ってメールを精査し、オーダを特定しなければならない。

製造メーカA社様事例

「オーダの締め切り時間がなく、翌着の当日出荷オーダが15時以降でも発生する(数量変更、取消を含む)

-ある日の担当者のやり取り(簡略)-

担当者)締め切り時間を設けていただかないと現場対応が難しい。
荷主様)出せるもの(在庫)があるのに出せないということはおかしい。
担当者)集車も困難であり、緊急オーダでもあるので、特別料金が発生する。
荷主様)集車出来ない、緊急オーダ扱い、特別料金とは考えられない。お客様へのサービスレベルも落ちてしまう。

製造メーカB社様事例

「オーダに一意となるキー項目がない。」
「オーダに変更、取消データが存在せず、新規の追加オーダについても識別出来ない。」

-ある日の担当者の作業(簡略)-

・オーダはeメール、CSV形式にて受信。
毎回当日分の全量データ(黒データのみを加算)が送られてくるため、変更、取消があっても判断出来ず、前回のCSVデータと比較し、変更や取消にデータ及び追加になったデータを精査、識別。
・精査後データをMS-Accessに取り込み、ピッキングリスト出力など物流業務開始。

上記製造メーカA、B社様共通事例

「顧客(納品先)情報がマスタ化(コード化)されておらず、同一顧客でも日々のオーダで名称が変わる」

例) ○○株式会社、○○(株)であったり、(株)アイウ(全角)(株)アイウ(半角)などこれまでの企業間取引はED化が定着し、決まったフォーマット、ルールを基にそれほど苦労することなく、実現出来ていましたが、昨今は荷主側同業者との競争力激化、サービスの多様化(小ロット化、受付時間の拡大など)、システムの複雑化からか上記の通り、企業間取引におけるシステム化の要件難易度が近年非常に上がってきていると実感しています。

また、荷主様側はeメールのやり取りでも“電子化(EDI)である”、データでなくてもメールに書かれた文章であれば“オーダである”と認識されており、これをこれまで私が一般的と思ってきたEDIへ移行するのはある意味企業体質を変え、あるべき姿とEDI化にしたときのメリットを明確にしていかないと実現出来ないと思っています。

対応状況

ちなみに現在の対応状況ですが、

1)所定のフォーマットを作成し、運用。(メールのフリーフォーマットから決まった書式での運用)
2)締切時間を設定してもらえるよう交渉中
3)eメールからEDI化に向け、調整中
4)荷主様側、物流事業者側何れかでのマスタ化へ向け、要件整理中

と、内容としてはあまり芳しくはないですが、課題・問題点の1つ1つを分析・精査し、現場運用の負担が軽減されるよう、解決に向け対応していきたいと思います。

今後の状況、結果については次回以降のばんばん通信でご紹介する予定です。皆様の身の回りでは荷主様、物流事業者との企業間取引、電子取引においてどのような方法・手段を用いて、対応されてますでしょうか。

弊社ロジ・ソリューション株式会社では、物流のコンサルタントだけでなく、物流の情報システム構築経験者も多数在籍しており、IT側の視点に立ったコンサルティングも行います。業務改善を行いたい、3PL化を検討したい、物流コンペを開催したい、RFQ・RFPを作成したいなど物流やSCMに関わるお悩みがあれば、先ずはロジ・ソリューション株式会社へご相談ください。

(文責:三樹)

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第81号 2010年6月2日)