通信販売でリードタイムの長い便が選択できる時代が来た!

通販サイト「ロコンド」が、配送メニューに「急ぎません。便」を追加したとの情報を得て、さっそくサイトを訪問してみました。ホームページの上にも「9/14、当日お届け (東京7区) や急ぎません。便など「配送革命」開始しました。」とあります。配送革命の中身を見てみると、「選べる配送サービス」があり、「急ぎません。便」は、リードタイムに幅があり、1~3日後発送というものです。ちなみに運賃は税込290円で、お急ぎ便税込390円に対して100円の差がついています。

一般に高サービスを実現するためにはコストがかかり、価格も高くなるのが普通で、逆に低サービスの場合は、価格が安くなるものです。配送でいうと、時間指定や標準以上に短いリードタイムのサービスは高いのが当たり前となりますが、現実はサービスの違いで料金の差がほとんどありません。

配送で、時間指定やリードタイムの短いサービスを利用した場合は、通常料金にいくらかプラスされ、逆にリードタイムが長くてもよい場合は、いくらかマイナスされるということになればよいわけですが、後者は今まで実現されてきませんでした。今回設定された配送の選択肢は、価格差は別にすると、リードタイム短縮に進んでいる通販業界に一石を投じたのではないかと思っています。

価格差がつかない理由として、運賃設定がすでに安価であること、さらにその運賃に対するサービスの違いによる運賃差では価格弾力性が低いためと思われます。言い換えますと、運賃において100円程度の価格差では、積極的にその選択肢を選択させるには十分ではないということです。そのため、このような運賃設定がされてこなかったのではないかと思われます。

物流事業者側から考えると、物流現場は指図通りに出荷業務が行われるのが通常です。ところが、数日の間に出荷すればよいとなると、どの指図から作業してよいのか、どこまで作業すればよいのかが分からず、今まで通りのやり方では物流センター業務がうまく回らないこととなります。これを解決するためには、一定のルールに従って、情報システムで指図をコントロールし、現場には今日すべきことだけが指示されるような体制構築が必要です。これは現実には費用面を含めて解決すべき課題であり、このようなことが前出の運賃設定の阻害要因となっていたと考えられます。

このように、荷主側、物流事業者側にそれぞれ解決すべき課題があるため、設定されないと思われたサービスが現実に設定されたことは、新しい動きですので今後も注目が必要です。ドライバー不足を平準化の観点から解決する方策の一つですから、このような流れが拡大し、物流サービスの資源が有効活用されればと願うばかりです。

(文責:中谷 祐治)

【参考】
ロコンドWebサイト
https://www.locondo.jp/shop/contents/about?top_special=info-pc-shipping170914

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第368号 2017年10月4日)

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