物流業界が次に目指すべき市場とは?
経済の最大の牽引力であった自動車や家電や住宅業界も今後は主役の座を維持できないだろうといわれています。GMが生き残れるかという話題と共に大手自動車部品メーカーが医療機器の部品メーカーにシフトを図っているというニュースが流れました。 未曾有の経済不況下で、どの企業も今後の成長市場を必死に探しています。
次の時代の経済の牽引力は一体何になるのでしょうか。一般的には、環境事業、化石燃料以外のエネルギー事業、介護事業などと言われています。しかし現状の実態を見ると太陽光発電などの一部事業を除き、あまり魅力的な事業とは感じないのではないでしょうか。これらを私ども物流業からみても自動車や家電や住宅に変わる物流マーケットとしては、力不足の感は否めません。
今回の不況が単なる経済不況などではなくて社会や経済や政治や国家のカタストロフィ(非連続に起こる破局)であるな ら、魅力的な輸出先とか成長が期待できそうな業種・業界とかいう従来の切り口では、成長する魅力的な市場は見えてこないのではないでしょうか。
BOPビジネスの可能性
この新しい切り口としてBOP(Bottom Of the Pyramid)という言葉があります。 BOPとはピラミッドの底辺、つまり貧困層相手のビジネスが急成長しているそうです。世界には、1日2ドル(200円)未満 で生活する人々が40億人以上いるそうです。これらの人々は、従来はビジネスの対象にならないと考えられてきましたが、 現実には「BOP」という巨大市場を「顧客」に変えた企業が成長しているそうです。
なにもベンチャー企業だけではありません。P&Gもインドでのシャンプー事業で、一回で使いきりのシャンプーで売上を伸ばしているそうです。1500円のシャンプーボトルは買えないが、一回分20円のシャンプーならBOPでもハレ(祭事)の時に買えるのです。
他にはカサス・バイアの家電・家具の小売、セメックスというセメント会社の住宅販売、テクノソルの電力供給網の無い地域でのソーラーや風力発電装置の小売、ビンボウというメキシコ最大のパン屋、ジャイプル・フットという安くて使いやすい義足を作る会社、アラビンド・アイ・ホスピタルという世界有数の眼科治療機関、貧困層を対象にした融資をしてインド 第二位に成長したICICI銀行などがあり、これらは皆、BOPを顧客にして成長している企業事例の一部です。
しかし先進国向けの商品を少し変えただけの手法では、彼らを満足させられないそうです。新たなマーケティング戦略と 同時に新たな金融制度や物流システムを構築する必要があるそうです。BOP向け物流システムの構築は、我々の課題でもあります。
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(文責:坂)
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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第30号 2009年4月28日)