AKB総選挙とロコミと:これからの時代のマーケティング

アンケートと「総選挙」の違い

今月の6日、女性アイドルグループAKB48の「AKB総選挙」というAKB48の27枚目のCDシングルに参加する選抜メンバーを、ファンによる投票で決定する選挙が行われ、大きな話題を集めていました。当日の夜、ワールドビジネスサテライトというテレビ東京のニュース番組を見ていたら、ここでもAKB総選挙が取り上げられていました。番組で取り上げられていた内容は、多くの企業で消費者に投票を呼び掛けて商品の人気アップを狙うという動きが広まっているという内容でした。

例えば、あるお菓子メーカーでは過去人気のあったお菓子のフレイバーの中から復活するフレイバーを消費者が参加して投票する「総選挙」で決め、またあるコンビニでは自社ブランドのスイーツの中で自分の好きなものに投票し、結果が1位~3位の商品には店頭のPOPで表示するなど行っているようです。消費者が「投票する」という形をとることで、アンケートより消費者からデータが得やすいとのことです。

番組の中で大和総研チーフエコノミストの熊谷氏が「経営環境が厳しい中、マーケティングが重要となる」とおっしゃっていました。企業は消費者の投票などで「売れる」ということを示すデータを重視し、より売れる商品に注力して商品開発・販売している、ということかなと私は解釈したのですが、かつてベストセラーだった商品(たとえばお菓子など)の復刻版がここ最近増えていることからも同じことが言えそうです。

復刻版でしたら、「かつてその商品を買っていた人」が「懐かしい」という気持ちから購入に至ることが考えられるからです。

ところで、例えば選挙という消費者参加型イベントにすることで、消費行動につながるといった生活者消費行動モデルを「SIPS」S(Sympathize:共感する)I(Identify:確認する) P(Participate:参加する)S(Share & Spread:共有・拡散する)と電通モダン・コミュニケーション・ラボが定義しています。

AKB総選挙を伝えるニュースでも好きなメンバーに投票し(参加)、同じメンバーを好きな人と一緒に応援し(共有・拡散)盛り上がっている様子が映し出されていました。インターネットが登場する前までは、好きなメンバーを探す先は、例えば学生の場合、学校、近所の友達あたりでしたが、インターネットのSNS(フェイスブック、ツイッターなど)を使えば世界中から探すことができます。

悪いイメージが広がると・・・

SIPSの消費者行動モデルに即して考えると、このように好きなメンバーに投票する、好きなお菓子のフレイバー、スイーツへの投票などは、インターネットなどを通してプラスのイメージで消費者の間に拡散していくと思いますが、逆に一旦「悪い」という評価がつくとそのマイナスイメージも一斉に拡散していく可能性もあるのではないでしょうか。

復刻版の昔懐かしいお菓子などが増え、懐かしい商品にまた会えるのはうれしいけれど、おもしろい商品がなくなったという人もいます。

しかしながら、メーカーの社内でどんなに「おもしろい」商品を作り販売しても、いったん「変」だとか「良くない」という評判がネットを介した口コミなどで立つと挽回するのは困難が予想されます。そのため復刻版など「売れる」とか「好感を持ってもらえる」とデータである程度予測されている商品を売り出すのは当然の流れといえます。

一旦「良い」となると爆発的に拡散していき大ヒットが期待できるが、その一方で一旦「悪い」という烙印が押されてしまうと、なかなか挽回できない恐れもある、おまけにその情報はインターネットにより爆発的に広がりやすい状況が整っている。このような状況の下ではものを作るということは本当に難しい時代なのだと思います。口コミは消費者にとってはありがたいものなのですが。

ロジ・ソリューションは物流コンサルティングの会社なので、商品開発という点ではお手伝いできませんが、物流という観点からお客様のお手伝いをさせていただいております。物流面から見てみることで商品の違った一面も見つかるかもしれません。

(文責:堀木)

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第176号 2012年6月13日)