前号まではマーケティングの必要性や人材確保の重要性について述べましたが、最終号の今号では3PLとマーケティングの関係について述べます。
3PLの正しい理解
3PLはWikipediaによると以下のように定義されています。
「広義では、荷主企業のロジスティクスの全体もしくは一部を、3PL事業者に委託する物流形態の一つである。」「狭義では、荷主企業のロジスティクスを物流改革の提案から運営までを包括的に委託し、3PL事業者自身が荷主企業の立場・視点から物流効率化(物流費削減、供給の迅速化、売上の拡大など)を実現する物流形態である。」
そもそも3PLという言葉自体は、米国のコンサルティングファームであるArmstrong & Associatesが物流事業者の新しいサービス形態概念として作成した言葉であり、定義ではありません。米国らしくマーケティング戦略として概念をまず作成したのです。
国土交通省が1990年代後半、Armstrong & Associatesに再三再四3PL定義を問い合わせたところ、以下の回答が返ってきました。
「今回の調査依頼主(国交省)は、3PLの定義の明確化を再三にわたり求めているが、3PLは米国では日常のビジネスですでに確立した概念である。」
「数年前では専門家たちが3PLを定義しようと努力した。この場合、3PLのコントラクトロジスティクスという側面に重点をおく考えと3PLを一般の輸送事業者を含むロジスティクスの外部供給者として広く捕らえた上でコンサルタントサービスを提供する者を4PLとして強調する考えがあるが、今では誰でもが3PLが何であるかを知っており、誰も新しい定義を作り出そうとはしていない。」
「定義は実際のビジネスから生まれるのであって学者が作るものではない。」
つまり3PLは最初から定義されるものではなく、各物流事業者がマーケティング戦略に沿って実業として成り立たたせ、それがその会社の3PLの定義になるといった性格のものです。
「3PLを目指す=マーケティング思考を持つ」ことであり、そもそも下請けとして存在する物流事業者は思想をシフトしない限り、その延長線上に3PL事業はありません。
まとめ
EC物流は物流事業者にとっては新しい分野の事業であり、EC販売の伸びとともにこれからもますます成長が予想される事業です。本連載ではEC物流事業に参入するにあたり、方法論や技術論よりも企業マインド変化などを述べてきました。物流事業者がこれらの課題をクリアするにはハードルが高いと感じる方は多いと想像できますが、EC販売のスピード感についていくためには、物流事業者もこれまでの企業運営のギアをシフトアップする必要があります。
(文責:釜屋)
【参考文献】
国土交通省 米国の3PLビジネスに関する調査結果 https://www.mlit.go.jp/common/000012571.pdf
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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第279号 2015年3月4日)