611号を担当いたします百田です。
皆さんは、物流センターの立上げ時に想定外の事象が発生し、対応に戸惑った経験はないでしょうか。一口にイレギュラーといっても、過去の事例や作業工程からあらかじめ想定できるものから、事前には予測できないものまで、その内容は多岐にわたります。
なかでも、発生自体は想定できていたにもかかわらず、対応手順や報告ルートの準備が不十分なために、現場が判断に迷うケースは少なくありません。対応に時間を要すれば、トラックの出発が遅れ、納品遅延につながる可能性があります。
こうした影響を抑えるためには、想定できる発生パターンと対応方法を整理するとともに、事前に予測できない事象に対する初動原則を定め、現場へ教育しておくことが重要です。そこで重要となるのが、次の3点です。
1.発生パターンを洗い出す
2.報告・判断・対応の流れを明確にする
3.実地トレーニングで現場に定着させる
それでは、それぞれのポイントについて詳しく見ていきたいと思います。
1.発生パターンを洗い出す
まず大切なのは、通常フローから外れる可能性のある事象を、作業工程別に洗い出すことです。基本作業の流れに沿って、過去事例や工程特性から想定される発生パターンを整理します。
一方、事前に想定できない事象については、個別の対応方法を定めることは困難ですが、作業停止、対象品の隔離、事実関係の記録、報告、エスカレーションといった初動原則は、あらかじめ定めておくことで対応ができます。
洗い出しの過程で大事なのは抜け漏れの防止(完全に予測できない事象の最小化)です。そのためには、荷主から過去のイレギュラー実績を入手し、既存拠点で発生した作業ミスやシステムトラブルの事例も参考にしながら、想定される発生パターンを整理することが有効です。 発生パターンの洗い出しが一通り終わったら、パターンごとに対応方法を整理していきます。発生内容によっては報告タイミングや報告先が変わりますのでそちらも併せて整理しておくと発生時のスムーズな対応に役立ちます。
2.報告・判断・対応の流れを明確にする
次に大切なのは、対応フローを整備し、イレギュラー発生時の報告先、判断基準、対応方法を明確にしておくことです。
主にイレギュラーが発生した際は下記の対応フローに沿って、発見者から現場管理者、必要に応じて事務所へ報告・確認を進めます。

担当者ごとの役割(オレンジ部分)として、それぞれ次の観点を確認します。
作業者:異常を早期に発見し、自己判断せず、事実を正確に現場責任者へ報告する
現場管理者:影響範囲を把握し、作業者への指示と事務所への報告要否を判断する
事務所:報告内容を確認し、システム処理や荷主への確認などの後続対応を行う
現場と事務所の共有物として報告書を使用し、発生日、工程、商品、数量、発生内容、作業者名などを記載できるようにすると、対応の抜け漏れ防止にもつながります。
3.実地トレーニングで現場に定着させる
最後に大切なことはトレーニングを行い、作業者には通常作業を中心に、現場管理者には対応フローも含め内容を理解し、スムーズに行える状態まで落とし込むことです。
そのためには、以下3点がトレーニングを行う上で大切です。
・ ハンディターミナルやPCを実際に触りながら、業務フローの説明をする
・通常の流れのトレーニングの中にイレギュラーパターンをランダムで紛れ込ませ、各パターンを迅速に対応ができるようにする
・現場責任者向けに対応の補助として発生パターンと原因、対応手順を整理した資料を準備する
トレーニングを効果的に進めるための補助資料として、イレギュラー対応手順表を作成し、発生原因ごとに確認項目、対処方法、使用システム、防止策を整理します。発生時の判断・報告・対応の流れを手順化しておくことで、誰がどのタイミングで確認し、どこへ報告するのかが明確になります。さらに、実機を用いた操作訓練やイレギュラーを想定した模擬訓練を実施し、訓練後には振り返りを行って手順表や教育内容を更新することで、現場で迷わず対応できる体制づくりにつながります。
以上3点のポイントを押さえ、イレギュラー発生時は誰が・何を確認し・どこへ報告し・どう処理するかを事前に整理しておくことが重要です。対応を標準化することで、現場判断のばらつきを抑え、通常作業への復旧を早め、物流センターの安定稼働につなげることができます。皆さんも、イレギュラー対応の整理ポイントを意識して、立上げ前の準備や現場教育を見直してみてはいかがでしょうか。
(文責:百田 麻人)
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