成果を生むプロジェクト活動の勘所【前編】

はじめに

全上場企業3,571社の内、約70%が3月決算である事から、この4月より新たな経営課題への取り組みに着手された企業が多いのではないでしょうか。場合によっては、取り組むべき課題は理解したものの、問題解決に向けた推進体制や活動の着手点に頭を痛めている方も、少なくないのではと思います。

仕事柄お伺いする様々な企業では、これまで上手く行った問題解決手法や上意下達の活動では限界を感じるという声も、最近よく耳にします。皆様の企業では、新たな活動への取り組みはいかがでしょうか。

成果を生むプロジェクトへの5つの成熟ステップ

特に、サプライチェーンマネジメント(SCM)のような、企業内の複数部門が関与する問題解決テーマの場合には、プロジェクトを編成して活動するケースが大半です。

例えば、在庫量の圧縮や在庫拠点の再配置の場合、ある特定の部門単独で活動のコントロールはできません。なぜなら、在庫を生み出すメカニズムや顧客への在庫サービス水準を1つの部門で管掌していないケースが大半だからです。

そこで、プロジェクト組織を編成しSCMに関与する各部門からメンバーを集め、活動に着手する事になります。これは、各部門に分散された意思決定権を1つのチームに束ね、具体的な変革を実行する活動としてプロジェクトを組織化する意味付けとなります。

しかしながら、関係部門から人を集めてプロジェクトチームを作り活動を開始しても、直ちに成果を生み出せるわけではありません。プロジェクト活動ほど大規模な活動でなく、部門内で機動的に編成されるチーム活動においても同様です。

プロジェクト活動やチーム活動は、「人」が集まって組織化される事から、集団として成果を生み出す成熟度に到達するまでには、次のような避けて通れない5つのステップがあると言われています。

第1期 形成期(フォーミング)
  • 新たなチームが編成されたが、メンバー同士の相互関係が無い状態
  • メンバー相互の役割分担や、出身部門との関係を模索する状態
第2期 混乱期(ストーミング)
  • 自らの出身部門や、自分と異なる考え方や評価基準に接して困惑する状態
  • 活動に着手し、メンバー相互の意見対立を調整する方法を模索する状態
第3期 安定期(ノーミング)
  • 活動のねらいや進め方をメンバー相互で共有し、自律的活動に向かう状態
  • メンバー相互の意見調整や合意形成のやり方を見つけ、活動が定着する状態
第4期 遊行期(パフォーミング)
  • チームの結束力と一体感をもとに、よく組織された集団として機能する状態
  • チームの目標、自らの目標、出身部門の方針等関係要素の調和が取れた状態
第5期 解散期(アジャーニング)
  • チームの活動から離れ、自らの職場に戻って自らの職務を再開する状態

このステップは「タックマン・モデル」と言われています。

プロジェクト活動は期間が限られた活動でもある事から、「第4期遂行期」までの各ステップを、効率的に、かつ、確実に進め、チームの成熟度を高める事が、成果を生むプロジェクトのポイントとなります。


※後編へつづく

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第212号 2013年5月8日)