社内への物流環境変動情報伝達の勘所

1.物流環境変動情報の組織内伝達は難しい?!
物流逼迫による輸送力確保の困難さは、消費増税前後の一時的要因との見方もありましたが、今では定着化した上に深刻さが増しています。
こうした物流環境の変化や物流逼迫の状況を社内の関連組織に伝達し、適切な対処策を準備する必要性に迫られているとの声を、仕事柄、よく耳にします。

同時に、こうした状況を社内の関連組織に伝達しても、相手組織から適切に受け入れてもらえないとの声や、組織別ミッションに関する反論があるとの声も、よく耳にします。

2.情報伝達には送り手と受け手のバイアス(先入観)がある
まさに、「人は見たいものしか見る事が出来ず、聞きたい事しか聞こえていない」という事も、各種の実験から確かめられていると言います。
また、各組織では社内の業務分担に従ったミッションを負っています。このミッション達成との関係性の深浅によっても、受け取る情報内容が変わってきます。

一方では、よくあるケースとして、担当部門では直接把握した1次情報をもとに、関係部門への情報伝達を行いますが、1次情報であるが故に、具体的であっても断片的な場合もあり、担当部門外では初耳であったり、業界用語が混じったりしていると、認識以前に拒絶反応が起きる事は想像に難くありません。

その上、相手組織が情報を受け取り、判断して行動を起こすには、正常性バイアスと多数派同調バイアスの壁もあります。よく例示されているのは、火災のような突発的災害に遭遇した際に、「こんな事が現実に起きるはずがない」(正常性バイアス)や「周りの人たちと同じ行動なら安心だ」(多数派同調バイアス)によって、緊急事態を咄嗟に受け入れられず、初期行動に遅れが出ると言われています。

3.雑誌やテレビで取り上げられている物流逼迫
1次情報の重要性や説得力は言を待たない所ですが、情報伝達が上手くいかない場合には、2次情報の有効活用も検討に値するのではと思います。
これは、2次情報を使って「こんな事が現実に起こっていて」、「雑誌やテレビでも報道されるくらいみんなが知っている現象」である事を、1次情報に先立って伝達する事でバイアス回避につながりやすくなるからです。

直近1年での雑誌やテレビでの主な報道から関係深いものには、以下の内容がありました。
物流環境の変化や物流逼迫の状況が社内に伝わらないと、今後の対処策に話題を進められない事から、是非一度、バックナンバーを確認して、どのように何が伝えられているかを確認する事をお勧めします。

・2014年7月5日号  週刊ダイヤモンド「物流ビジネス大異変」  ~物流を制する者がビジネスを制す~
・2015年1月14日放送  NHK「クローズアップ現代」~モノが運べない!?物流危機~
・2015年2月2日号  日経ビジネス「物流の復讐」~明日、荷物が運べない~
・2015年5月12日放送  NHK「NHKニュース おはよう日本」~取締り強化で運送業に何が~
・2015年6月6日号  週刊東洋経済「物流大激突」~ドライバー不足でトラック輸送の危機~

4.社外スタッフから情報伝達したり、対処の方向性とセットで伝達したりするのも方法
物流環境の変化や物流逼迫の状況や、事業に対する影響度が伝達できたとしても、対処策がないと不安を煽るだけの結果にもなりかねません。当然の事ながら、同業他社や仕入先での対処策は大きな参考になりますが、必ずしも自社の事業方向性に応じた実行可能性な自社の対処法ではありません。

(文責:谷口 恵美)

ロジ・ソリューションでは、こうした部門間のコミュニケーション・マネジメントと共に、ファシリテーションやSCM、ロジスティクス等の専門領域を兼ね備えたスタッフを擁しています。不透明な物流環境の変化と物流逼迫に対し、新たな対処策の切り口をご検討される場合には、是非、お声掛けください。(お問い合せはこちら

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第295号 2015年9月24日)

 

 

 

 

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