机上論でない、実現可能な提案の大切さ:とあるメーカーの物流改革の事例から

はじめに

ロジ・ソリューションは、この4月で会社設立後1年を経過しました。この間、いくつかのコンサル案件に携わりましたが、改めて「実現可能な提案の大切さ」を感じています。

昨年の事です。顧客(メーカー)から「受注デリバリー部門」を対象とした受注入力業務の工数削減コンサルティングの要請を受けました。2社の競合で両社の提案内容を比較して、良い方を採用し実行に移すという話です。他社の提案は工数 30%削減、当社は15%削減でしたが、結果は当社案が採用されました。その理由は、効果の大きさではなく、提案内容の根拠の強さや実現性にあったと思います。

当社では、まずこの話を聞いた時、顧客は「斬新な業務改革提案」よりも「実現可能な改善提案」を望んでいる事を確認しました。そこで現状業務の概要把握の後、いくつかの工数削減の方策を考え、どれが一番実現可能かどうかの検証を現場調査によって掴むという進め方をとりました。

現場調査の大切さ

後日、顧客から他社の提案と弊社の提案について話を伺う機会がありましたが、業務量の月別波動に対する方策が両社で大きく異なっていました。他社は、現状の固定人員を削減して、繁忙期は臨時要員(パンチャー)で対応するという案でした。

当社も他社と同様の案も検討しましたが、採用しませんでした。なぜなら業務波動は繁忙月と閑散月それぞれ1カ月のみと突出しており、その為の臨時要員は採用、教育期間、業務品質面から現実的でないと判断したからです。当社は、効果が15%となるものの、他社よりも固定人員を厚くして作業分担を見直す事よって生産性を高めるという実現可能な方策を提案しました。

この事は、検討メンバーの一人が数週間現場に入り、ワークサンプリング、要素作業分析、生産性分析、業務の制約条件の徹底したヒアリングから導かれた方策の一つです。

若い頃、「現状分析がしっかり出来ていれば8割方は改善策が見えたも同然。」とか「改善立案の解は、現場にたくさん転がっている。」等、上司から口酸っぱく言われた事を思い出しました。当社の生い立ちは、物流会社センコーの一部門としての営業支援コンサル、現場改善コンサルにあります。その中で長年培ったこの様な「実現可能な現実を正しく掴んだ提案を行なう」といった進め方を今後も大切にしていきたいと思います。

(文責:藤原)

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第28号 2009年4月15日)