コロナ禍だからこそ学びたい産業財(BtoB)マーケティング6 「コアコンピタンスとは」

前回はマーケティング戦略構築における現状分析(ステップ1)の自社分析のうち、事業領域の整理についてご説明しました。

今回はコアコンピタンスについてお伝えします。

コアコンピタンスとは

コアコンピタンスという言葉自体は耳にする機会が少なくないため、知っている方も多いと思います。ただし、その意味について説明を求められるとほとんどの方が窮してしまうのではないでしょうか。本稿を通じて、コアコンピタンスの大まかな意味をつかんでいただければ幸いです。

コアコンピタンスとは、直訳すると「核となる能力」となります。しかしながら、まだまだぼんやりとしてつかみどころがないので、私なりの意訳を紹介すれば、それは「自社の強みの源泉」です。皆さんの会社のコアコンピタンスは何でしょうか。

コアコンピタンスを考えるにあたり、ヒントを提供してくれるのが自社の強みです。自社の強みは売上やお客様の声によって、既にその一部が顕在化しています。そこから深堀して、強みの源泉を考えてみると良いでしょう。なかなかイメージが湧かない読者の方もいらっしゃると思いますので、具体例を用いて考えてみたいと思います。

NTTロジスコの例で考える

皆さんもご存知の通り、株式会社エヌ・ティ・ティロジスコ(以降NTTロジスコ)はNTTグループの総合ロジスティクス企業です。発足当初はNTTグループの物流業務が売上の大半を占めていたものの、現在では医療機器物流や通販物流まで事業領域を拡大しています。24時間緊急配送サービス等、顧客志向のサービスを展開していることでも有名です。

さて、NTTロジスコのコアコンピタンスとは何でしょうか。あくまで私見ではありますが、以下の3点ではないでしょうか。

(1)NTTブランドの高い信頼性
(2)NTT業務における災害対応等で培われた高い対応力
(3)通信インフラ関連業務(失敗が許されない仕事)によって培われた高い品質力

これらのコアコンピタンスと親和性の高い医療機器物流を新規事業領域として選択したのではないかというのが、私の仮説です。

また『産業財マーケティング・マネジメント(理論編)』の内容より、コアコンピタンスの3つの要件について紹介しますと、以下と論じています。

(1) 多様な市場へのアクセスを可能にするもの
(2) 企業の最終製品に関して顧客が知覚する効用に重要な貢献をするもの
(3) 競合相手が真似しにくいもの

読者の皆さんの会社でも、新規事業領域につながるような「強みの源泉」が必ずあると思いますので、一度考えてみてはいかがでしょうか。上記のコアコンピタンスの3つの要件が考えるヒントを与えてくれるはずです。

またコアコンピタンスの検討にあたり、外部の専門家の活用も検討に値すると思います。外部の専門家を活用することで、より客観的に自社のコアコンピタンスを抽出することができます。

今回はコアコンピタンスについてご説明しました。次回はCustomers(顧客)分析についてお伝えしたいと思います。

(文責:野尻 達郎)

【参考資料】
マイケル・D・ハット、トーマス・W・スペイ『産業財マーケティング・マネジメント(理論編)』
笠原英一『戦略的産業財マーケティング』
株式会社エヌ・ティ・ティロジスコWEBサイト

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(ロジ・ソリューション(株)メールマガジン/ばんばん通信第454号2021年5月26日)

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