ECサイトのリニューアルには全社のシステムの構造理解が不可欠である理由

今後10年間かけて起こるはずの変革が半年で起こっている

新型コロナウイルスは、10年かけてなくなるはずだった旧来型のビジネスモデルを早く大きく変えようとしています。

百貨店モデルと呼ばれるアパレルと百貨店の間での売上仕入(百貨店で売上が計上されたと同時に仕入が計上)の商慣習、大型ショッピングモールの成長とともに伸びてきた製造小売業型ファッションビジネスモデルは、コロナ以前からEC販売やオムニチャネルへのシフトを求められていました。

消費者の購買行動の変化に合わせた必然ではあるものの、現在はコロナの影響下でその変革スピードが加速しています。この流れはファッション業界だけではなく、店舗販売を行っている企業全般に言えることで、これまでは「自動的に販売してくれる窓口としてのECサイト」程度にしか考えていなかった企業が、本格的にEC化率を高めるためにEC販売を販売チャネルの主力にしようとしています。

ECで失敗する典型例(EC販売側)

「ショッピングモール型ECサイトで自社製品を販売してきたが、販売件数も本格的に増えてきたこともあり、自社ECサイトでの販売に切り替えもしくは強化を考えている」

最近このような考え方の企業が多くなっています。

自社のマーケティング戦略・オムニチャネル戦略をECサイトと連動させ、自社運営体制を強化し売上を向上させるとともに、モール型ECサイト事業者への手数料支払いを減らして利益率を上げるのが目的です。しかしながら自社ECサイトのリニューアルで失敗する事例が後を絶たないのはなぜなのでしょうか。

某アパレルメーカーで直営店舗と自社ECの連動性を高めるために、ECサイトの自社運用を推進することになりました。EC・オムニチャネル戦略の一環ですが、その構想策定は自社メンバーだけでは難しく、大手コンサルティング会社に依頼してTo Beモデルを打ち立てました。ECサイトのリニューアルは企業の基幹システム刷新と比較して、「単なるフロントシステムの更新」として楽観的に捉えられる傾向にあります。しかし実際には、ECサイトを変えると企業の各システムに大きな影響が出てきます。

歴史の長い企業ほど複数システムが複雑怪奇に絡まっています。店舗受注システム・EC受注システム・販売管理システム・店舗POSシステム・会計システム・顧客管理システム・倉庫管理システム(WMS)・統合在庫管理システムがお互いにどのように連動しているのかの全体像を紐解けるシステム会社や自社部門がいない場合に、リニューアルで失敗することが多いです。失敗しないためには遠回りだと感じても、各システムを利用している部門間でコミュニケーションを取り、全社プロジェクトとして捉えることが必要です。

(文責:釜屋 大和)

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