BCP(事業継続計画)の勘所を自動車会社の事例から考える

感染症対策としてもBCPが重要になってきている

BCPとは、事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)のことで、『企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のこと』(中小企業BCP策定運用指針より引用)です。

災害やテロ、といった事態のみならず、最近では新型インフルエンザの流行で社員が感染、もしくは社員の家族が感染した事態に備えるためにBCPの作成が求められているようです。

また、『SCMの導入は、サプライチェーンを構成する一企業にボトルネックがあれば、構成企業全体に影響を与える可能性を有する。つまり、サプライチェーンを構成する一企業の事業中断が、他の企業の事業中断へと波及することになる。それゆえに自企業だけでBCPを構築するのではなく、サプライチェーンを構成する全企業でBCPを構築する必要があり、こうした考え方の浸透する欧米のグローバル企業ら、サプライチェーンを構築する企業に対してBCPの策定や適用を求められるケースも見られる。』(事業継続計画策定ガイドラインより引用)というように、まさにサプライチェーンを担う、物流業にとって必須の対策と言っても過言ではありません。

自動車会社の事例からBCPを考える

BCPに織り込む項目として、事故や災害インフルエンザなどで人手が足りないなど経営資源が限定された時に、

1)優先して復旧・継続する事業を絞り込む
2)その事業を復旧する期日目標(目標復旧時間)を持つ
3)復旧に長時間かかる資源を特定する
4)代替手段を考える

という内容が挙げられます。

こうした事態で思い出されることは、今からもう10年以上の前の話になりますが、ある自動車会社(A社とします)に部品(a部品とします)を納めている企業(B社とします)の工場が火災に遭い、a部品の生産ができなくなり、そのためA社の工場も何日間かの生産停止という事態なった、というニュースです。

B社はA社にとって重要な部品であるa部品の供給を行っていたので、A社が火災に遭う前と同様に生産できるようになるまで、時間がかかるものと思われました。

しかしこのときB社はまず顧客の要望を聞き、白部品のどの品番の生産を最優先で復旧させるかを検討し、そして同じA社のサプライヤー数社と協力しあって、部品の代替生産を行いました。その結果A社は驚くほど短期間で工場を元通り稼働することができた、ということでした。

計画を立てるのは勿論とても重要ですが、「関係する企業とのつながりを大切にする」、「社員がBCPの内容をよく理解しており、緊急時に適切な対応ができる」という普段からの心がけが大切なのかもしれません。

計画は策定しただけでは「絵にかいた餅」です。緊急時(起こってほしくないですが)に適切な対応が取れように、私たち社員一人一人が自社のBCPの内容を理解し、適切な対応が取れるよう心がけていくことが必要です。

(文責:堀木)

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第61号 2009年12月16日)

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