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コロナ禍だからこそ学びたい産業財(BtoB)マーケティング5 「事業領域の整理」

前回マーケティング戦略構築における現状分析(ステップ1)の自社分析のうち、最も重要である経営理念についてご説明しました。また自社の経営理念をしっかり把握することで、顧客や競合を定義する際の柱ができることもお伝えしました。自社分析の対象として、事業領域とコアコンピタンスが残っていますが、今回は事業領域についてご紹介します。

事業領域を整理するためには、「全社として、誰(どの業界)を顧客と定義し、何(どんなサービス)を提供しているのか」を明らかにする必要があります。ただし、「言うは易く行うは難し」なので、実行するにあたりある程度時間を要します。では、自社の事業領域を整理するためにはどんな進め方が良いでしょうか。

私は、製品市場マトリクスの活用をおすすめします。製品市場マトリクスとは、提供する製品と市場を軸にして事業領域を整理するツールのことです。一般的には縦軸に製品、横軸に市場を置くケースが多いです。さらに市場に関する情報(市場規模、成長性、自社のシェア等)を加えることで、より正確に市場を整理することができます。イメージは下記リンク先をご覧ください。

製品市場マトリクス(例)

事業領域の整理を疎かにすると、以降のステップで苦労することになります。具体的には現在の事業領域をもとに将来の可能性(市場浸透、製品開発、市場開発、多角化)を探索する際に、誤った判断をするリスクが発生しかねません。このように自社の事業領域を整理するのは一見簡単なようですが、実際はとても難しいのです。

事業領域の整理は非常に重要であるため、製品市場マトリクスを作成するにあたり、外部の専門家の活用も検討に値すると思います。外部の専門家を活用することで、レベル感のばらつきや抜け漏れの発生を防ぐことができます。
今回は事業領域の整理についてご説明しました。次回はコアコンピタンスについてお伝えいたします。

(文責:野尻 達郎)

【参考資料】
『産業財マーケティング・マネジメント(理論編)』マイケル・D・ハット、トーマス・W・スペイ
『戦略的産業財マーケティング』笠原英一

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(ロジ・ソリューション(株)メールマガジン/ばんばん通信第452号2021年4月21日)

コロナ禍だからこそ学びたい産業財(BtoB)マーケティング4 「経営理念の重要性」

前回は消費財(BtoC)マーケティングと産業財(BtoB)マーケティングの違いについて、市場特性と購買における意思決定の観点を中心に紹介しました。今回はマーケティング戦略構築の第一歩である現状分析について、実例を交えながら説明します。

振り返りも兼ね、マーケティング戦略構築ステップの全体像を再掲します。以降は下記の7ステップに沿い、マーケティング戦略構築について説明していきます。

1. 現状分析
2. 基本方向の設定
3. コンセプトの設定
4. 提供物・価格の明確化
5. 販売チャネルの設計
6. 販売促進の検討
7. 営業活動の検討

今回は現状分析について説明します。ここでは、経営戦略論のフレームワークである4Cを用いて、現状分析について明らかにしていきたいと思います。
4Cという言葉を聞いて、読者の皆さんはどんなことを思い浮かべるでしょうか。4Cとは、Company(自社)、Customers(顧客)、Competitors(競合)、Context(マクロ環境)を表します。その中でも今回はCompany(自社)にスポットライトを当てています。

Company(自社)の分析にあたって、主要な確認すべき項目としては3つあります。それは経営理念、事業領域、コアコンピタンスです。

まずは経営理念について説明していきます。
基本的には「企業が顧客に対してどのような価値を提供したいかを示したもの」と考えられます。
さて、ここで各物流事業者の経営理念を確認してみたいと思います。

流通事業の使命を自覚し、つねに最高の技術、最高の能力、最高のマナーをもって、顧客の立場に立って義務の完遂をはかる。これが3Sの精神である。(センコー)

We Fine the Way(日本通運)

広く未来をみつめ 人と自然を大切に 良質なサービスを通じて 豊かな社会づくりに貢献します(日立物流)

社会的インフラとしての宅急便ネットワークの高度化、よい便利で快適な生活関連サービスの創造、革新的な物流システムの開発を通じて、豊かな社会の実現に貢献します。(ヤマトホールディングス)

私たちは、お客様の物流を進化させ続け、お客様と社会に美しく透明な流れをつくる会社です。(NTTロジスコ)

同じ物流事業者とはいえ、各企業の実現したい価値はさまざまであることが分かります。荷主企業の物流事業者選定をご支援していますが、企業理念の差が各社の提案内容に表れていると感じたことが何度もありました。

初期段階で経営理念の確認を通じて、自社が大切にする価値観を明らかにすることは、マーケティング戦略構築における柱を作ることと同義といえます。自社の経営理念を把握することで、顧客や競合の定義についてもスムーズに進めることができます。これまで既に経営理念が策定されている前提で説明を進めましたが、新たに経営理念を定めなければいけないケースも想定されます。

今回はマーケティング戦略構築における現状分析(ステップ1)の自社分析のうち、最も重要である経営理念についてご説明しました。次回は自社分析の事業領域についてご紹介したいと思います。

(文責:野尻 達郎)

【参考資料】
『産業財マーケティング・マネジメント(理論編)』マイケル・D・ハット、トーマス・W・スペイ
『戦略的産業財マーケティング』笠原英一
visionguide 企業理念・経営理念から会社を知る、経営ビジョンまとめサイト

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(ロジ・ソリューション(株)メールマガジン/ばんばん通信第451号2021年4月7日)

コロナ禍だからこそ学びたい産業財(BtoB)マーケティング3「マーケティングにおける消費財(BtoC)と産業財(BtoB)の違い」

前回(こちら)は消費財(BtoC)マーケティングと産業財(BtoB)マーケティングの違いについて、購買目的を中心に説明しました。今回はその続きで市場特性と購買における意思決定の違いについて説明したいと思います。

前々回(こちら)では、伝統的なマーケティングのフレームワークに従って、市場を細分化(セグメンテーション)して標的市場を定め(ターゲティング)ようとしても、そもそも細分化できるほどの顧客数が存在しなかったという失敗談を紹介しました。まさに市場特性(需要構造、ニーズの異質性)の違いを象徴していると言っても過言ではないでしょう。消費財(BtoC)の場合は市場が不特定多数で、同質的なニーズを持ったグループが形成されているケースが多いです。しかしながら、物流サービスでは宅配便のような消費者向けのサービスを除いて、顧客が特定されているケースがほとんどではないでしょうか。また、顧客のニーズに合わせてサービス(輸送、保管、荷役)をカスタマイズすることも少なくないため、顧客ニーズの異質性は比較的高い部類ではないかと思います。そういった市場特性の違いが、前述の理論と実践にミスマッチを生んでいるといえます。

また購買における意思決定も消費財(BtoC)と産業財(BtoB)で大きく異なります。当たり前かもしれませんが、消費財(BtoC)の意思決定は基本的には個人が行います。しかしながら、産業財(BtoB)では購買組織による意思決定が基本と考えられます。物流サービスの場合は、顧客企業の物流部が購買窓口となることが多いですが、最終的な意思決定にあたってはさまざまな組織が関与しています。顧客の各部門(営業、マーケティング、R&D、生産、物流等)との関係性を管理し強化することで、信頼感や紐帯感が形成されていくのも産業財(BtoB)ならではの特徴といえます。

消費財(BtoC)と産業財(BtoB)のマーケティングにおける違いの説明はここまでです。以降で、マーケティング戦略構築ステップの全体像をご説明したいと思います。『戦略的産業財マーケティング』では、マーケティング戦略構築のプロセスとしては、下記7ステップが紹介されています。

  1. 現状分析
  2. 基本方向の設定
  3. コンセプトの設定
  4. 提供物・価格の明確化
  5. 販売チャネルの設計
  6. 販売促進の検討
  7. 営業活動の検討

次回以降は上記7ステップについて一つ一つ紹介していきたいと思います。次回は戦略構築の第一歩である現状分析について実例を交えながら説明したいと思います。

(文責:野尻 達郎)

【参考資料】
『産業財マーケティング・マネジメント(理論編)』マイケル・D・ハット、トーマス・W・スペイ
『戦略的産業財マーケティング』笠原英一

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『流通ネットワーキング』最新号(3・4月号)に本稿筆者による関連記事「3PL事業におけるマーケティング1」が掲載されております。よろしければご覧ください。

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(ロジ・ソリューション(株)メールマガジン/ばんばん通信第450号2021年3月24日)

ECサイトのリニューアル

■今後10年間かけて起こるはずの変革が半年で起こっている
新型コロナウイルスは、10年かけてなくなるはずだった旧来型のビジネスモデルを早く大きく変えようとしています。百貨店モデルと呼ばれるアパレルと百貨店の間での売上仕入(百貨店で売上が計上されたと同時に仕入が計上)の商慣習、大型ショッピングモールの成長とともに伸びてきた製造小売業型ファッションビジネスモデルは、コロナ以前からEC販売やオムニチャネルへのシフトを求められていました。消費者の購買行動の変化に合わせた必然ではあるものの、現在はコロナの影響下でその変革スピードが加速しています。この流れはファッション業界だけではなく、店舗販売を行っている企業全般に言えることで、これまでは「自動的に販売してくれる窓口としてのECサイト」程度にしか考えていなかった企業が、本格的にEC化率を高めるためにEC販売を販売チャネルの主力にしようとしています。

■ECで失敗する典型例(EC販売側)
「ショッピングモール型ECサイトで自社製品を販売してきたが、販売件数も本格的に増えてきたこともあり、自社ECサイトでの販売に切り替えもしくは強化を考えている」
最近このような考え方の企業が多くなっています。自社のマーケティング戦略・オムニチャネル戦略をECサイトと連動させ、自社運営体制を強化し売上を向上させるとともに、モール型ECサイト事業者への手数料支払いを減らして利益率を上げるのが目的です。しかしながら自社ECサイトのリニューアルで失敗する事例が後を絶たないのはなぜなのでしょうか。
某アパレルメーカーで直営店舗と自社ECの連動性を高めるために、ECサイトの自社運用を推進することになりました。EC・オムニチャネル戦略の一環ですが、その構想策定は自社メンバーだけでは難しく、大手コンサルティング会社に依頼してTo Beモデルを打ち立てました。ECサイトのリニューアルは企業の基幹システム刷新と比較して、「単なるフロントシステムの更新」として楽観的に捉えられる傾向にあります。しかし実際には、ECサイトを変えると企業の各システムに大きな影響が出てきます。
歴史の長い企業ほど複数システムが複雑怪奇に絡まっています。店舗受注システム・EC受注システム・販売管理システム・店舗POSシステム・会計システム・顧客管理システム・倉庫管理システム(WMS)・統合在庫管理システムがお互いにどのように連動しているのかの全体像を紐解けるシステム会社や自社部門がいない場合に、リニューアルで失敗することが多いです。失敗しないためには遠回りだと感じても、各システムを利用している部門間でコミュニケーションを取り、全社プロジェクトとして捉えることが必要です。

(文責:釜屋 大和)

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第449号 2021年3月10日)

 

「物流の人材を確保するために」(その2)

前号では、人材を確保するうえで、企業と自身の関係性における大切な要素のひとつに「エンゲージメント」があり、それは「個人と組織が一体となり、双方の成長に貢献しあう関係」であるとご紹介しました。

ここで確認しておきたいのは、従業員満足(ES)とエンゲージメントの違いです。前者は、会社から与えられた環境に満足しているかどうかですので、福利厚生や給与面などの待遇が大きく影響します。一方エンゲージメントは、組織や仕事に対して自発的な貢献意欲をもって取り組めている状態を指します。従って、従業員満足には会社側のコストが伴いますが、エンゲージメントには一概にコストだけで対応できないという特徴もあります。

経営の視点から見たときに、そもそもエンゲージメントとはなんのために行うのかというと、そのゴールは、業績もしくは企業価値を向上させることになります。従業員満足度と企業の業績との相関はほとんど見られない一方で、エンゲージメントが構築できている企業は、業績を含めたさまざまな指標で企業価値を向上させているという下記のKPIデータもあります。


(出所:The Gallup Organizationの調査より)

ある企業(株式会社アトラエhttps://atrae.co.jp/)が調査した1000万件のデータから、このエンゲージメントは、主に以下の5つの要素から成り立っているといわれています。

1.仕事への熱中
やりがいを感じ、日々前進しながら仕事に取り組めているか

2.組織への共感
組織が掲げるビジョンや戦略に共感できるか、組織への誇りを感じているか

3.チームワーク
仕事仲間や上司とチームワークとしてよい関係性を築けているか

4.健康的な職場
健康的に、また仕事だけでなく家庭やプライベートも大事にできている環境か

5.待遇
評価や給与に対して、納得ができているかどうか

これらの要素を俯瞰してみると、会社自体が旧来の組織の在り方とは違う形が求められているという一面ものぞかせていることが想像できます。
次号では、エンゲージメントと組織の在り方について、さらに深堀していきたいと思います。

(文責:貞 勝利)

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第448号 2021年2月24日)

コロナ禍だからこそ学びたい産業財(BtoB)マーケティング2 「産業財(BtoB)市場の特徴とは」

前回は消費財(BtoC)マーケティングと産業財(BtoB)マーケティングのGAPについて書籍を例にしご紹介致しましたが、今回は少し深掘りし、産業財市場の特徴を中心にお伝えいたします。

本題に入る前に、そもそもマーケティングとは何でしょうか。この機会に皆さんも少し考えてみると面白いかもしれません。下記を見てもわかる通り、専門家でも見解が若干異なるようです。

  • 企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動(日本マーケティング協会)
  • 売れる仕組みづくり(グロービス『MBAマーケティング』1997)
  • 人間や社会のニーズを見極めてそれに応えること。ニーズに応えて利益をあげること (P. コトラー)
  • マーケティングのねらいはセリングを不要にすること。マーケティングのねらいは顧客を知り尽くし、理解し尽くして、製品やサービスが顧客にぴったりと合うものになり、ひとりで売れるようにすること (P. ドラッカー)
  • マーケティングとは、顧客の満たされないニーズを見つけ、定義し、それに対してユニークなソリューションを提供することにより顧客価値を創造するプロセス(笠原英一)

それぞれの見解がとても示唆にあふれています。そんな中でそれぞれの共通点について、私なりに解釈するならば「顧客ニーズと自社製品(サービス)との間に橋を架けるような存在」ではないかと考えます。

それでは自社のマーケティング戦略を構築するためにはどんなことから着手すればよいでしょうか。
マーケティング戦略構築の第一歩は、「どこの市場のどのような顧客ニーズ対して、自社はどのような価値を提供するのか」を明確にすることです。その上で価値の提供を実現するための方法を検討しなければいけません。ここでセグメンテーション(市場細分化)、ターゲティング(標的とする市場の決定)、ポジショニング(自社の立ち位置の明確化)の3つの英単語の頭文字をとって名付けられたSTPや、Product (製品)、Price(価格)、Promotion(販売促進)、Place(立地、流通)の頭文字をとった4Pを活用することが多いでしょう。以降ではSTPと4Pをまとめて「STP+4Ps」と呼びます。STP+4Psについてはご存知な方も多いと思いますので、今回はそれぞれの詳細についての説明は割愛します。

さて、実際STP+4Psを活用してマーケティング戦略を構築する上で、無視できない要素があります。それは産業財市場の特徴です。消費財市場と比較すると、6つの観点で違いを整理することができます。今回はその一つである顧客の購買目的の違いについてピックアップして紹介します。

皆さんも日頃体感されていることとは思いますが、消費財ではより良い生活の追求が購買目的となります。それに対して産業財では自社の戦略実現(コストダウン、品質向上等)が購買目的となります。少しイメージが湧きにくい方は、輸送サービスを例に整理してみましたので、こちらも参考にご覧ください。

次回は引き続き産業財市場の特徴について説明した上で、マーケティング戦略構築ステップの全体像についてお伝えできればと思います。

(文責:野尻 達郎)

【参考資料】
『産業財マーケティング・マネジメント(理論編)』マイケル・D・ハット、トーマス・W・スペイ『戦略的産業財マーケティング』笠原英一
『MBAマーケティング』グロービス

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(ロジ・ソリューション(株)メールマガジン/ばんばん通信第447号2021年2月10日)

業務の棚卸

皆様は業務の棚卸を定期的に実施されていますか。
特に新たな業務を引継いだものの、実際の用途はよく分からないまま、ただ作成/提出することが目的となっているという場面はありませんか。
そのようなものがあれば、一度業務の棚卸をすることをおすすめします。

以前、物流事業者様からご依頼をいただき、業務改善の第一ステップとして現状の物流業務の実態を把握させていただいたことがありました。今回はその一部をご紹介いたします。
そのプロジェクトでは実態把握の一環で帳票関係の確認も行いました。その中に取引荷主様へ配送終了後に提出している日報があり、その中身は運行メーターの開始距離・終了距離、納品先名、到着時間等、細かく車両別に作成し、FAXをするという業務です。1枚作成するのに約2分を要し、平均10車両の配送があるため、1日あたりは20分程度の作業となります。1カ月の稼働日が平均25日であったため、年間で考えると「2分/枚×10台×25日×12カ月=100h/年」の時間を割いていることになります。
この日報の提示目的を担当者様に尋ねると、「提出すること」を数年前に前任者から引き継いだが、どのような情報を求められており、この日報がどう活用されているのか、その理由は把握していないとのことでした。
このような業務は受託するために必要な業務の一つだということは認識していますが、現在でも同じような方法、手段で続ける必要があるのかは問題提起する必要があります。提出することを義務化されている業務については、習慣であるがゆえに、やり方を変えないまま数十年続けているケースはよくあります。
この日報については、荷主側の管理および把握したい内容を明確化することで、場合によっては提出フォーマットの見直しやFAXという提出手段の変更ができる可能性があるため、現状の対応方法および工数の説明、そして日報の用途について改めて確認し、見直しを依頼してみてはどうかと簡単なアドバイスをさせていただきました。(プロジェクト外のことでしたので、個人的なアドバイスです。)
数か月後、別件でご連絡した際に状況を確認すると、提出フォーマットがExcelに変わり、1行1台で作成が簡素化したこと、また納品先名等の配車明細は1カ月に一度、システムから出力したものを提出することで了承を得られたとのことでした。その結果、所要時間も半分以上削減できたと伺いました。
日々の習慣になっているからこそ、疑問に思わないことがありますが、そこには改善できる内容があるかもしれません。皆様も一度、業務の棚卸をしてみてはいかがでしょうか。

(文責:南部 大志)

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内部だけでは通常業務で手一杯であったり、着手しても気づきを得ることが難しかったりすることもあります。リソースの節約のためにも外部に依頼することも選択肢の一つです。
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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第446号 2021年1月28日)

コロナ禍だからこそ学びたい産業財(BtoB)マーケティング1

新型コロナウイルスによる緊急事態宣言から半年が経過しました。各社の決算が発表されていますが、業界や業態によって、明暗が分かれる結果となっているのは皆さんもご存知の通りだと思います。小売業界を切り取ってみても、状況はさまざまです。生活必需品を扱う食品スーパーや専門店では最高益が相次いでいる反面、百貨店やコンビニエンスストアは苦境に立たされています。コンビニエンスストア上位3社(セブン&アイ、ファミリーマート、ローソン)がそろって減収減益となったことが象徴的といえるでしょう。

こういった状況は物流事業者にとって必ずしも望ましいとはいえません。コロナ禍で業績を伸ばす荷主企業と取引していた場合は物量増による好影響を享受できますが、そうでない場合は負のスパイラルに陥って危機にひんすることになります。会社として存続し続けるためには、物流事業者もこうした外部環境の変化に対応しなければいけません。今回のコロナ禍によって、多くの物流事業者が自社のマーケティング戦略を見直す岐路に立たされているのかもしれません。

それでは物流事業者がマーケティング戦略を見直すためにはどうすればよいでしょうか。書籍を参考にしながら、独学で取り組まれる勉強熱心な方もいらっしゃるでしょう。ただし、そこで1つの問題に直面することになります。それは、ちまたに流通しているマーケティング関連の書籍の大多数が消費財(BtoC)を対象としていることです。伝統的なマーケティングのフレームワークに従って、市場を細分化(セグメンテーション)して標的市場を定め(ターゲティング)ようとしても、そもそも細分化できるほどの顧客数が存在しなかったというような失敗談を何度も聞いたことがあります。

そこで弊社がこれまで物流事業者のマーケティング戦略構築で培ってきた「実践」と、数少ない産業財(BtoB)マーケティング関連書籍に基づく「理論」を融合させながら、物流事業者のマーケティング戦略構築の一助となるような情報をシリーズで提供していきたいと考えています。次回は産業財(BtoB)マーケティングの特徴について、ご紹介したいと思います。

(文責:野尻 達郎)

【参考資料】
『産業財マーケティング・マネジメント(理論編)』マイケル・D・ハット、トーマス・W・スペイ
『戦略的産業財マーケティング』笠原英一
日経MJ(2020年10月19日付)

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第445号 2020年12月23日)

「評価する側、される側」

皆さんは、物流センターの視察や調査に行くことはあるでしょうか。
物流のいろいろなプロジェクトにおいて、現状把握は大切なプロセスの一つです。われわれも「物流現場診断」や業務フロー作成、作業の把握、生産性の把握等、さまざまな物流センターへ視察や調査に行きます。
「物流現場診断」とは、視察やヒアリングを通して、「診断シート」の項目をチェックしセンターのレベル感の把握や改善方向性を見つけるものです。われわれが物流現場診断を行うときのチェック項目には、生産性や品質を高める内容もありますが、センターを訪れたとき印象に残るのは、5Sや作業員の行動です。物流事業者の選定の際に荷主が物流センターへ視察する際も「あのセンターは綺麗だった」「挨拶が気持ちよかった」という感想はよく上がる内容であり、教育がしっかり行き届いているセンターかどうかのひとつの評価ポイントになります。

ふさわしい身だしなみや態度をとることがルールの一つになっている企業も多いことでしょう。それは、ただの身だしなみではなく、そのルールが労働安全衛生規制等、法律上で必要な場合や安全や品質を保つために必要なことだからです。5Sの説明でよくお話しさせていただいているのは、「5Sはただの整理整頓ではなく、安全や品質の基盤である」ということです。

われわれコンサルタントや視察のメンバーは物流センターを「訪れる」側ですが、同じことが言えるのではないでしょうか。ふさわしい服装、靴、挨拶もこちらから行う等、基本的なことですが大切なことです。例えば、視察先の物流センターでヘルメットを着用するように渡されたとします。普段かぶらないとなかなか慣れないものですが、あご紐を正しく締めているでしょうか。物流センターで働いている方へヒアリングする機会や一緒にプロジェクトを進めるようなこともあるでしょう。あご紐を長く下げながら「改善しましょう」と言ったところで説得力がありません。視察をしているつもりが、見られている。評価をするつもりが、評価されているのかもしれません。
「物流センターを訪れるものとしてふさわしい態度をとらなくてはならない」と日ごろから心がけています。

(文責:真壁 由香)

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第444号 2020年12月9日)

 

紙ってる?

お仕事で資料を作成した後は、紙に印刷してチェックしたいという方も多いと思います。
私もその1人で、紙のほうがミスに気付きやすいです(あくまで個人の見解です)。

資料のチェックを紙媒体ですべきか、電子媒体ですべきかについて、複数の先行研究があります。
メディア研究者のマーシャル・マクルーハン氏によると、人間が紙の文字を読む場合、それは反射光で文字を読むことになるため、人間は脳生理学的に分析モード、心理的には批判モードになり、他方においてディスプレイから読む場合、それは透過光で文字を読むことになるため、人間はパターン認識モード、くつろぎモードになるとしています。同じくメディア研究者の有馬氏は、それを基に紙に印刷したほうがミスを見つけやすいとしています。
またメディア情報研究者の深谷氏、およびトッパン・フォームズ株式会社は、紙と透過光ディスプレイのいずれが校正の精度と生産性が高まるかを実証実験し、この論説を支持する結論を導いています。しかしながら図書館情報研究者の松山氏らは、実証実験を通じて紙と透過光ディスプレイの違いでは同じ結果を得たものの、透過光電子媒体と反射光電子媒体(*1)を用いた実証実験では、媒体の違いによる校正の精度と生産性の差があるとは結論付けられず、むしろ媒体への慣れによるところが大きいのではないかと考察しています。

校正に関しては、紙媒体ではできないがコンピュータではできることもあります。校正履歴を残せることや関係者と校正履歴を共有できること、また表現が統一されているか検索をかけることなどです。そのため、私は紙に印刷した後、それを一読しながら赤ペンで修正箇所や統一性が気になるところに印をつけ、その後にコンピュータ上で校正履歴を残しながら、表現の統一性も確認するというやり方を取っています。

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ところで、以前は会議の資料を印刷し、紙袋に詰めてお客様先へ訪問していました。不足がないよう多めに印刷したものの、案の定資料が余り、何部かそのまま持ち帰り、シュレッダーにかけたことも多々ありました。懐かしい思い出ですが、もったいないですね。今はペーパーレス化が進み、資料を事前に電子メールでお渡しし、会議の際はプロジェクターに投影してお話することが多くなりました。特に最近は新型コロナウイルス感染拡大防止のためにお客様ともweb会議システムを利用した会議をする機会が増え、紙媒体の資料がない会議が当たり前になってきたように感じます。

物流現場でもペーパーレス化は進んでおり、作業にて利用していた出荷指示書が紙からハンディターミナルなどに代わり、配送においても受領書へのサインが電子サインに代わる動きが見られます。消耗品費の削減という理由もありますが、それ以外にも作業性の向上、書類の管理コストやリスクの低減、作業履歴の検索のしやすさがメリットとして考えられます。

紙にも紙の良いところがあります。
それぞれのメリット・デメリットを意識しながら、目的に合わせて媒体を選択することが望ましいでしょう。

(*1) Amazon Kindleや楽天koboなど、書籍を読むことを主目的とする電子媒体には反射型デバイスが採用されており、同実験ではKindleが用いられています。

(*2) タイトルの『紙ってる』は、ダイナパック株式会社が2019年6月に商標登録されており、その表現を参考にさせて頂きました。同社のホームページには非常に興味深い商品が多数紹介されており、何かの際に利用させて頂きたいと思います。

(文責:松室 伊織)

<参考資料>
マーシャル・マクルーハン『メディアの法則』NTT出版、2002年10月。
有馬哲夫『世界のしくみが見える「メディア論」―有馬哲夫教授の早大講義録』宝島社、2007年10月。
深谷拓吾、小野 進、水口実、中島青哉、林真彩子、安藤広志「PDFは紙を超えるか?:電子校正改善へ向けた、液晶ディスプレイにおける校正作業ミスの分析」『情報処理学会研究報告書Vol.2011-HCI-141 No.3』2011年1月。
松山麻珠、池内淳「表示媒体の違いが誤りを探す読みに与える影響」『情報処理学会研究報告書Vol.2015-HCI-162 No.2』2015年3月。
トッパン・フォームズ株式会社「TOPPAN FORMS News Release 「紙媒体のほうがディスプレーより理解できる」ダイレクトメールに関する脳科学実験」2013年7月。
https://www.toppan-f.co.jp/news/pdf/2013/0723.pdf

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第443号 2020年11月25日)

プロフィットセンター化できる最後のチャンス

■物流事業者が克服すべき課題
物流事業者は基本的に荷主より荷物を預かり、時間乖離を埋めるサービス(保管機能)、空間乖離を埋めるサービス(配送)を主軸に企業運営しています。この単機能サービスの提供は荷主の要望に従ってなされるものですが、物流事業者は荷主の成長に合わせて企業規模を拡大してきました。そのためどうしても荷主と物流事業者は主従関係になりやすく、荷主の要望に合わせることを第一義とする傾向があります。
物流事業者がこれからも事業成長するためには自らの価値がどこにあるのか、市場に合致したサービスを提供しているのか、ギャップがあるならそれを埋めるサービスは何なのかを再度考えてみる必要性があります。
成長著しいEC市場を対象とした物流:EC物流に取り掛かろうとしている物流事業者が増えてきています。事業化させるためには自社の核となる業務と価値を再認識し、市場を意識した上で新領域の事業に踏み出す必要があります。

■ポートフォリオマネジメント
事業のライフサイクルを問題児、花形製品、金のなる木、負け犬の順に位置づけ、マトリックスで表記。縦軸に市場成長率、横軸に市場マーケットシェアをとり、問題児、花形製品、金のなる木、負け犬のマトリックスに分け、金のなる木で生じた利益を問題児や花形商品に投資して、金のなる木へ育てようとする事業戦略がポートフォリオマネジメントです。
一般的な事業は、問題児(例えばEC物流)から出発し、花形製品を経て金のなる木になる。自社の事業が、今どこに位置しており、今後どのようにすべきか、又、成長分野への事業展開が行われているのか等の変化対応の経営戦略が必要となります。小売りにおけるEC化率が拡大を続けており、新しいサービスに参入しようとする物流事業者はトレンドを読み取る能力が必要となりますが、EC物流は荷主側のマーケティング戦略に大きくかかわってきますので、これまで以上に荷主側と物流事業者側のコミュニケーションが重要となっています。荷主の売上向上に寄与する物流、使い古された言葉ですが「物流のプロフィットセンター化」できる大きなチャンスともいえるのではないでしょうか。

(文責:釜屋 大和)

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第442号 2020年11月11日)

「物流の人材を確保するために」(その1)

2020年9月1日付で厚労省が有効求人倍率を発表しました。2020年7月の有効求人倍率は1.08倍で、前年同月に比べて0.51ポイント低下。新規求人倍率は1.72倍で、前年同月に比べて0.65ポイント低下でした。新規求人数を産業別にみると、「宿泊業・飲食サービス業」が44.0%低下、「製造業」が40.9%低下、物流に関連する「運輸業・郵便業」は30.7%低下となっています。

600人の一斉解雇を発表した某タクシー会社が、一部メディアでも盛んに取り上げられましたが、労働力不足に悩んでいた企業が一転してこのような対応を取らざるを得ないほど、新型コロナによる現在の厳しい経済環境は、さまざまなところに波及しています。とはいえ、物流業界に目を移してみると、一時的に余剰となった人材を確保して労働力不足が解消されたかというと、決してそういうわけでもありません。ついこの前まで居酒屋のホールスタッフとして働いていたが、明日からトラックドライバーで頑張ろう、とはなかなかなれないのが現実です。

そもそも「人材」の定義とは、「才能があり、役に立つ人物。すなわち社会に貢献する個人のこと。」(ウィキペディア)であり、各企業においては、その基本的な概念の上に、各社が求める人材像をさまざま定義しています。一方、求職者は、自分の能力が、企業の求める人材になり得るとの希望を持って就職活動をしていることと思いますが、大学新卒者の3年以内の離職率は32%(2016年入社)という実態になっています。労働人口が減少する中、人材確保は大きな課題ですが、その前に離職をいかに抑止することができるかも、各企業にとってさらに重要な課題です。

離職理由のほとんどが、「個人的理由」(厚労省)であり、詳細は想像するしかありませんが、そのひとつにミスマッチが考えられます。特に物流業界においては、いまだに3Kの要素が色濃く残っている現場や、多くの業務をアナログで対応している仕事に従事してみて、初めてリアルな物流業界に触れたという方が、そのギャップに葛藤してしまうということが、しばしば起きているのではないでしょうか。しかし、個人的には、物流業界に限らず、自身の思いと就職先がマッチする確率のほうが低く、ミスマッチだと感じながらも、まずは与えられた仕事や役割の中で、どのように企業と自身の関係性が構築されていくのかが大事になってくるのではないかと思っています。

そこで、その関係性における大切な要素のひとつに「エンゲージメント」があります。一般的には「約束」や「契約」という意味合いもありますが、人事的な側面からは、社員の会社に対する「愛着心」や「思い入れ」を表すものと解釈されています。より踏み込んだ考え方としては、「個人と組織が一体となり、双方の成長に貢献しあう関係」のことをいいます。次回は、この「エンゲージメント」について考えてみたいと思います。

(文責:貞 勝利)

参考: 「e-Start」政府統計の総合窓内サイトhttps://www.e-stat.go.jp/

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第441号 2020年10月28日)

物流用語

物流に関連して使われている言葉の中には、独特のものがあります。ロジ・ソリューションのメールマガジンでも、「坪」「才」などが今でも検索されていて、多くの方が調べていることがわかります。
「坪」や「才」は、メートル法の前に使われていた尺貫法の単位ですが、今も使われている状態です。今回はそんな物流用語について、取り上げてみたいと思います。
物流の機能の「荷役」は何と読みますか?
「にえき」と読んでいる方がまれにいらっしゃるようですが、物流では「にやく」です。これは、日本産業規格の物流用語(JIS Z 0111:2006)にあり、定義は「物流過程における物資の積卸し、運搬、積付け、ピッキング、仕分け、荷ぞろえなどの作業及びこれに付随する作業。マテリアルハンドリングともいう。」となっています。
この中に「物資の積卸し」とありますが、「積降ろし」もしくは「積み下ろし」を使われる方もいらっしゃると思います。一般的に「卸」という言葉からは、卸売事業者が小売事業者に商品を売ることをイメージしますので違うように感じます。一方、標準貨物自動車運送約款では、「積付け、積込み又は取卸し」という言葉が使われており、国土交通省の資料でも「取卸し」が使われています。こちらは「取降ろし」や「取下ろし」ではなく、「取卸し」を使ったほうが物流業界の多くの方に違和感が少ないのではないでしょうか。
特別積合せなどで顧客から貨物を集めることを「集荷」「集貨」のどちらを使われていますか?
「しゅうか」の漢字は、標準貨物自動車運送約款では、第十七条で「集貨」が次のように使われています。「当店は、送り状に記載され、又は通知された集貨先又は発送地において荷送人又は荷送人の指定する者から貨物を受取り、送り状に記載され、又は通知された配達先又は到達地において荷受人又は荷受人の指定する者に貨物を引き渡します。」約款は契約書を補完するものであり、「集貨」を使うべきではないかと考えています。
3PL(サードパーティ・ロジスティクス)も登場してから年月が経ち、物流用語として一般的に使われるようになってきました。しかしながら、理解はまちまちです。総合物流施策大綱には「荷主企業に代わって、最も効率的な物流戦略の企画立案や物流システムの構築の提案を行い、かつ、それを包括的に受託し、実行すること。荷主でもない、単なる運送事業者でもない、第三者として、アウトソーシング化の流れの中で物流部門を代行し、高度の物流サービスを提供すること。」と定義されています。物流の単なるアウトソーシングが3PLでないことは明白ですが、そのように使っている場合があることも事実です。
いくつか例をあげましたが、そのほかにもいろいろな物流業界特有の用語がありますので、正しい内容を理解しておくことが必要です。

(文責:中谷 祐治

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物流全般のことは、「基本がわかる実践できる 物流(ロジスティクス)の基本教科書」(くわしくはこちら)にいろいろ取り上げています。また、サードパーティロジスティクスについては、「間違いだらけの物流業務委託」(くわしくはこちら)にさらに詳しく解説しております。よろしければご参考にしていただけましたらと思います。

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第440号 2020年10月14日)

コロナ禍でも業績を伸ばす物流企業の現場から学んだこと

コロナウィルスの影響による逆風に負けず業績を伸ばす会社とは、どんな特徴があるのでしょうか。また、今後コロナウィルスは企業にどれほどのマイナス影響を与えるのでしょうか。帝国データバンクによると、コロナウィルスにより業績にマイナスの影響があると見込んでいる企業は82.7%にものぼります。さらに、マイナスの影響があると見込む企業を業界別でみると、「運輸・倉庫」が87.5%でトップとなっており、かなり厳しい見方をしています。

しかし、そんな逆境の中、仕事が増え、業績を伸ばしている物流企業もあります。今回はそんな企業の現場をレポートします。

今回ご紹介するのは株式会社柳川合同(以降柳川合同)のエルゴヒューマンテクニカルセンターです。柳川合同は主に家具・家電・一般物輸送を事業としており、今回は「家具輸送」の領域に注目したいと思います。

柳川合同の杉戸営業所では、高機能で有名なエルゴヒューマンのオフィスチェアの輸送業務を担っています。また輸送業務に留まらず、カスタマーセンター業務や修理受付およびパーツの販売も行っています。

コロナウィルスの影響により、仕事でテレワークを採用する企業が増加し、テレワーク用の机や椅子、ヘッドセット等の需要が増えました。それに伴い、過去に購入した椅子の修理やメンテナンスの依頼も増加しており、柳川合同の収益の伸長に貢献しています。

修理は原則的に杉戸営業所で行っていますが、訪問修理サービスも行っています。修理費用が高額になる場合には、柳川合同が在庫を持つアウトレット品をお客様に提案することもあります。新品とそん色ない品質のオフィスチェアをお得に購入することができるため、顧客からも非常に好評とのことでした。

また、過去の修理依頼があった顧客宛にアウトレット品に関する最新情報をメルマガで配信するなど、プロモーション活動にも熱心に取り組んでいます。

今後はさらにテレワークが世間に浸透すると考えられ、それに伴いオフィスチェアを購入する顧客も増加することが予想されます。購入者が増えれば顧客情報も増え、より多くの顧客とメール等による継続的な接点を持てるようになります。また購入者が増えれば修理の依頼も増えるため、修理サービスによる売上が発生するという良い好循環が生まれるのではないでしょうか。柳川合同はさらにアウトレット品の販売に力を入れる予定で商品のラインナップを増やす構想もあるようです。また、アウトレット品専用の販売サイトの作成も検討しており、顧客にとってより利便性の高いサービスの構築を目指しているようでした。

柳川合同はコロナウィルスによる逆風に負けず、自社の強みと世間の需要を上手く一致させ、業績を伸ばしている好例ではないでしょうか。各企業がコロナウィルスによる悪影響に立ち向かっていますが、未だ収束の兆しはみえていません。そんな中で私は物流コンサルタントとして、この危機的状況を打破する提案ができるよう日々精進したいと考えています。

(文責:三木 祥裕)

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第439号 2020年9月30日)

物流コンサルティングの現場で「伝える」を考える。4

(3はこちら)

前回は輸送コストに関する具体例を引き合いに出しながら、横の論理についてご説明しました。今回は「論理的か否かは誰が決めるのか」についてご説明します。これまでご案内した通り、話が上手く伝わらない三大原因のうち2つは、縦・横の論理がつながっていないことでした。残る原因は相手に十分に寄り添えていないことです。どんなに堅牢に縦・横の論理を構築しても、相手が理解しなければ何の意味もありません。なぜならば論理的か否かを決めるのは、あくまでも相手側だからです。

では「論理的に説明しているのに、相手がなかなか理解してくれない」という例を出しました。実際に同じような経験をされた方も少なくないのではないでしょうか。自分の論理を信奉しすぎると、相手を受容する余裕がなくなってしまいます。私が顧客やプロジェクトメンバーとのコミュニケーションの際に、常に肝に銘じている言葉があります。それは、「受容・共感なしの議論は単なる動物によるバトルである。」という言葉です。コミュニケーションにおける受容・共感の重要性を端的に示しています。大学院での授業で田中道昭先生から教えていただいたフレーズですが、いまだに当時の強烈な印象が残っています。

皆さんも論理の構築に夢中になるあまり、目の前の相手を受容できなくなっていないでしょうか。これまでも述べた通り、「上手く伝えること」と「上手く聞くこと」は表裏一体です。上手く伝わらないと感じたときこそ、上手く聞くことを意識してみてはいかがでしょうか。本稿をもって『物流コンサルティングの現場で「伝える」を考える。』は完結となります。物流コンサルティングの現場で「伝える」を考える。1でもお伝えしましたが、本稿の存在が転入者の方、そして転入者の受け入れに悩む方の一助となれば幸いです。

(文責:野尻 達郎)

【参考資料】
『イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」』安宅和人,英治出版,2020年1月27日)
『経営戦略4.0図鑑』田中道昭,SBクリエイティブ,2020年4月10日

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第438号 2020年9月16日)

物流コンサルティングの現場で「伝える」を考える。3

(2はこちら)

前回は有名なことわざを引き合いに出しながら、縦の論理についてご説明しました。今回は横の論理についてご説明します。前稿の冒頭でご案内した通り、話が上手く伝わらない原因の2つめは横の論理がつながっていないことです。相手から「本当にそれだけなのでしょうか。」のような反応をされた場合は、基本的に横の論理が不足している場合がほとんどです。具体的には話した内容が全体をカバーできていない、漏れやダブりがあるということでしょうか。

なかなかイメージできない方もいると思うので、少し具体例を用いて説明したいと思います。昨今、輸送コストの上昇は数多くのメディアに取り上げられています。事実として、日本銀行による最新(2020年5月26日)の企業向けサービス価格指数で道路貨物輸送の価格指数は105.9(2015年平均=100)となっています。そういった環境下で、もし読者のみなさんが物流事業者の営業担当者だとしたら、荷主企業に料金値上げを交渉する際にどのような情報を準備すれば良いでしょうか。

人手不足による人件費高騰だけで十分でしょうか。全日本トラック協会による経営分析報告書を見ると、一般貨物運送事業における営業費用のうち人件費が占める割合は48%程度です。つまり、人手不足による人件費高騰だけでは、その他の52%がカバーできていない(漏れがある)ことになります。荷主企業担当者あるいはその上席者にあたる購買決定者に納得感のある説明をするためには、燃料油脂費や事業用自動車の価格の推移についても目を光らせる必要があります。

ここまでは輸送コストに関する具体例を用いて横の論理について説明しました。自分が知識のある物流領域の問題であれば、漏れなくダブりなく(MECE)考えることは比較的容易かもしれません。しかしながら、自社の環境分析や競争戦略の立案になると難易度が上がります。そういった場合はフレームワークを用いることで比較的容易にMECEを作ることができます。フレームワークとは、具体的にマーケティングの5Pや環境分析の3Cなどが挙げられます。ただし、フレームワークはあくまでもツールに過ぎないため、目的や状況を踏まえて活用を検討する必要があります。

横の論理に関する説明は以上です。次稿では話が伝わらない3大原因の最後の一つについてお伝えしたいと思います。

(文責:野尻 達郎)

【参考資料】
『イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」』安宅和人,英治出版,2020年1月27日)

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第437号 2020年9月2日)

教育プログラムの見直し

ロジ・ソリューションは設立から12年がたち、グループ企業だけでなく、グループ外の企業にもコンサルテーションを行わせていただいています。そのテーマは、物流現場のみだけでなく物流の戦略策定支援等、幅広く展開してきています。このような幅広いテーマでいろいろなご支援をするため、メンバーにはさまざまな能力が求められます。改めて、求める物流コンサルタントとはどのような人材なのか、現状のレベルはどの程度なのか、そのギャップを埋めるには何をしたら良いのかについて、自分たちの現状を見つめ直し、メンバーのレベルアップを図ろうとしています。

物流のプロジェクトを行っているとき、事務員の教育、作業員の教育、トラック運転者の教育の課題がでてきます。なかでもトラック運転者の教育に話が及ぶのは、事故率等が高い場合です。

全日本トラック協会の令和元年8月の『事業用貨物自動車の交通事故の発生状況』で事業用貨物自動車の法令違反別の死傷事故件数及び構成率をみると、漫然運転、脇見運転、動静不注視、安全不確認といった注意不足や慣れからくるものが上位にきています。また、運転者の運転免許経過年数別・運転者年齢別の死傷事故件数をみると、運転者の運転免許経過年数が10年以上、年齢が45~49歳が多くなっています。全体的な運転者の数自体40~50代が多いので一概には言えないかもしれませんが、運転免許経過年数が10年以上であり、「いつも大丈夫だから、今回も大丈夫」など注意を怠った慣れが発生しているのかもしれません。

先日、私が関わったプロジェクトでも事故件数や事故原因を分析したところ、不注意や慣れが原因の多くを占めていました。対象の企業に教育プログラムがないわけではありませんが、今後教育プログラムの見直しや管理体制の強化が必要なのは言うまでもありません。

コロナウイルス感染症の影響で配送サービス内容が変化し、運転者の教育プログラムを見直していく企業もあろうかと思います。

みなさんの現状はいかがでしょうか。

(文責:真壁 由香)

【参考資料】公益社団法人 全日本トラック協会『事業用貨物自動車の交通事故の発生状況』令和元年8月

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第436号 2020年8月19日)

デザイン・フォー・ロジスティクスは大規模建築物でも

私が以前住んでいた街の某大型ショッピングモールでは、公道から立体駐車場入口へ向かう車路の途中を左折するとトラック荷捌き場がありました。逆に、立体駐車場出口から公道へ向かう車路へはトラックは右折で合流しなければなりません。人気のあるショッピングセンターだったので乗用車の列が絶えることは少なく、納品を終えたであろうトラックがなかなか合流できず停車している場面に幾度となく遭遇しました。もちろん、同業者として先を譲りました。

デザイン・フォー・ロジスティクスという言葉はサプライチェーンに適した製品設計や梱包・包装に関することが中心でしたが、その考え方は商業施設等の大規模建築物についても議論がなされています。例えば、国土交通省が2017年3月に公表した『物流を考慮した建築物の設計・運用について~大規模建築物に係る物流の円滑化の手引き~』がそれに当たります。

同書では、冒頭で物流業界の労働力不足やサービスレベルアップに基づく作業負荷増から議論を進めているものの、大規模建築物の計画・設計・運用でデザイン・フォー・ロジスティクスを考慮することによる影響として以下を挙げています。

(1)建築物の利用者の利便性・快適性の向上
(2)メンテナンスや入居者交代に伴う工事等へのより柔軟な対応
(3)搬入される荷物の紛失防止やセキュリティ確保
(4)路上駐車等による道路交通への支障防止及び見通しが阻害されないことによる安全性の向上
(5)路上駐車等を抑制することによる良好な景観の形成などのまちづくりとの調和等

これら全項目において大規模建築物の所有者、入居者及び利用者に資するものであり、物流事業者のみが資するわけではないという視点で議論されているように感じます。

次に、設計上の考慮事項や運用による効率化策として以下についてその方法が明示されています。

・設計時の考慮事項

(1)車路(幅、動線)
(2)駐車マスの大きさ
(3)車路・駐車マスの高さ
(4)荷捌きスペース、館内受付・一括荷受けスペース
(5)館内動線
(6)貨物用
(7)駐車マスの必要数

・運用による効率化策

(1)館内配送の共同化
(2)納品時間の指定・調整
(3)一括納品
(4)その他(駐車場運営、情報管理システム)

また、実務へ落とし込むツールとして物流検討フローとチェックリストも添付されており、大規模建築物の計画・設計・運用時での活用が期待されます(ただし、計画の最初が発生する物流量の推計であり、難易度も影響度もともに高そうな印象を受けます)。

もともとは別の目的であるとしても、結果としてこのような施策は物流事業者にも資することになります。物流業界の労働力不足が社会全体で問題視される中、こうした『デザイン・フォー・ロジスティクス』の動きが今後も続くことを期待したいです。

(文責:松室 伊織)

参考:国土交通省総合政策局物流政策課『物流を考慮した建築物の設計・運用について~大規模建築物に係る物流の円滑化の手引き~』(2017年3月)https://www.mlit.go.jp/common/001198147.pdf

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第435号 2020年8月5日)

物流の一機能である情報システム

物流が物的流通と表現されていた時代、物流は5つの機能(保管、輸送、荷役、包装、流通加工)から構成しているとされていました。物流という用語が一般的に世間に普及し、事務業務の効率化にコンピュータが用いられることが多くなり、情報システムも物流の一機能として加わることとなりました。当初は保管費用や配送費用など請求費用の自動計算、入出庫・在庫数量のシステム管理などはホストコンピュータ端末を利用して行われていました。また通信ネットワークの進展により、荷主と物流事業者のデータ連携が電子データ交換(EDI:Electronic Data Interchange)によって自動的に行われることになりました。紙の伝票ベースでやり取りしていた従来の方式に比べ、事務における業務負荷の軽減がなされました。

その後、第3次産業革命と呼ばれる“情報システムを用いた自動化”の波が物流にも訪れ、現場作業の効率化が大きく進むこととなります。クライアントサーバ型の物流情報システムソリューションとして代表的な倉庫管理システム(WMS:Warehouse Management System)、輸配送管理システム(TMS:Transportation Management System)の現場導入が進み、荷役作業、保管作業、輸送における作業の効率化がなされてきました。

これら情報システムの導入・進展は物流現場管理の強化にもつながり、単なる作業の効率化だけではなく現場生産性の改善、現場作業進捗の見える化などを実現しました。ただし、これらはあくまで“物流”の範囲内での管理強化であり、3PL(Third Party Logistics)事業者や物流をSCM(Supply Chain Management)において重要な位置づけと考えている企業は物流の高度化のためには、さらに物流情報システムについて知識を深める必要があります。製造業における調達管理システム、生産管理システム、販売業における販売管理システム、EC事業者であれば受発注管理システム(OMS:Order Management System)などを理解し、物流システムとどのようなデータをどのタイミングでやり取りをしているかを知っておくことが重要です。

(文責:釜屋 大和)

弊社では物流ITの急速な発展と変化に対応するため、「物流ITアドバイザリーサービス」を提供しています。どうぞご活用ください。

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第434号 2020年7月22日)

ミクロな視点で考えるロジスティクス戦略

外出自粛が常態化する中で、私が住む地域では、運動不足解消のためにウォーキングやランニングを始めている人が増えているように見受けられます。東京都心とは違い、のどかな風景が広がる、いわゆる「田舎」といわれるような地域だからかもしれません。ですので、普段の生活では、食事を楽しむ豊富なお店の数や、お洒落なカフェのようなものとは無縁と思っていました。ところが、私自身も頻繁にウォーキングをするようになり、いろいろなコースを歩いて散策していると、思わぬ場所にレストラン(というよりお食事処)を見つけたり、奇麗なガーデニングのお宅の前を通りかかったり、歴史を感じる建築物に出くわしたりと、驚くほど新しい発見が多く、楽しい日課の一つになっています。おそらく、ウォーキングを始めた多くの方がこのような体験をしているのではないでしょうか。

以前にも紹介したことがある星野リゾート代表の星野佳路氏は、コロナ影響によって失われた、インバウンドによる観光需要が完全に回復するのは、1年程度かかるのではないかとしながら、「マイクロツーリズム」という企画を提案しています。これは、自分の住む地元地域から10分、30分、1時間程度で移動できる周囲の観光を楽しもうというものです。そのメリットとして、一つ目はもともとそれなりの需要があること。二つ目は県を跨がないので、ウィルス拡散につながらない。三つ目は観光産業に従事する人材の雇用を維持できる。最後の四つ目は、地元の良さを改めて発見することだとしています。これまで観光といえば、インバウンドに期待し、どちらかといえば国内におけるさまざまな観光地や遠い海外に目を向けてきました。しかし、この最後のメリットは、そのうち回復すると考えられるインバウンド需要に対して、日本の各地を訪れた観光客に、地元をよく知る方々が増えていることで、これまで以上に日本の魅力を発信できるということにつながるというのです。

確かに、コロナ影響前にみられたインバウンド需要には変化が見られました。いわゆる「モノ」消費から「コト」消費への変化で、日本のさまざまな地域を訪れて、日本の文化に直接触れるというものです。ところが、その地域の方々自身があまりその文化を知らないという現象が起きていました。そういう意味で「マイクロツーリズム」はインバウンド需要の後押しをすることになるかもしれません。

昨年の日本経済新聞に、米国の宅配企業「ファームステッド」の記事が掲載されていました。米国のヤフーで働くプラディープ・エランクマラン氏が2歳の子育てに苦労していたことをきっかけに、友人らと立ち上げたのが生鮮品をネット宅配するスタートアップの「ファームステッド」です。事業内容はネットで注文を受けた商品を契約ドライバーが1時間以内に宅配するというもので、手数料を除けば値段はスーパー並みで、頼んだその日にすぐ届くというのが強みですが、他社との大きな違いはその「小ささ」にあるといいます。配送エリアは16メートル四方の倉庫を拠点に、そこから半径10キロメートル程度に限定。品ぞろえも地域で取れた野菜や卵など大規模スーパーの20分の1の約1500点にとどめたそうです。消費行動が似た顧客を小さな商圏内で囲い込んだことで、需要を人工知能(AI)で予測して在庫増も避け、創業3年足らずながら同社の小商圏の数はシリコンバレー全域をカバーできるまでに増えたというのです。また、そうした最新技術による合理性ばかりでなく、「顧客の声」を最重要データと位置づける現場感覚も重要としている点に関心を持ちました。ある時、同社のお客の間でジュース向けの熟れたバナナを求める声が多く出たそうで、腐る寸前のバナナを扱ったところ注文が急増。結果的にさまざまな状態のバナナを在庫に持ちやすくなり、廃棄率減少にもつながったそうです。「困ったらAIでなくお客に聞く」とのエランクマラン氏の言葉が紹介されていました。

「物流」とは量の科学といわれることから、企業はスケールを重視し様々な効率化を図ってきました。また、省力化や自動化の話題が尽きない企業のデジタル化についても、最新の情報が溢れています。しかし、実際の担い手となっているほとんどの物流事業者は地元密着型のローカル企業であり、新技術の投資もままならない経営実態であることも否めません。先に紹介した星野リゾートの「マイクロツーリズム」や、「ファームステッド」のように、いま一番期待されるのは、足元のニーズをアナログな情報から知ることなのかもしれません。

(文責:貞 勝利)

参考:   ワールドビジネスサテライト(テレビ東京2020年4月23日放送)
日本経済新聞朝刊(2019年2月11日付)

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