3温度帯倉庫立ち上げにおけるポイント

今回は、3温度帯倉庫の業務立ち上げに従事した経験から、そのポイントについてお話ししたいと思います。

通常のドライ倉庫との違い

運用設計の際は、通常のドライ倉庫とは異なり、扱う物の品質を損なわないよう温度帯に注意しなければなりません。保管の温度帯は、日本冷蔵倉庫協会のホームページによると、一般的に冷凍・冷蔵・常温の3種類で呼ばれることが多く、それらを総称して3温度帯と呼びます。また、実際には商品の特性に合わせて非常に細かい区分に分かれます。大きな区分としては以下の4区分になります。

1.超冷凍:-40℃以下 マグロなど
2.冷凍:-18℃以下 魚介・畜肉・冷凍食品・パン生地など
3.冷蔵:-18℃~+10℃ 乳製品・練り製品・野菜・畜肉・鮮魚介など
4.定温:+5℃~+18℃ マヨネーズ・チョコレート菓子・米穀類など

商品を保管する際は、その商品の特性に合った保管温度を設定する必要があります。保管温度の他にも、魚介類やチョコレート等匂いがきつい商品は区画を分けて保管する場合があるので、顧客への確認が必要です。

作業方法にも注意が必要

また、作業方法を考える際も温度帯の考慮が必要です。特に冷凍品は荷受け、出荷積込時はチルド帯のエリアで作業することが多いので、商品を長時間放置すると溶ける恐れがあります

出荷で商品が出来上がってから積込まで時間が空く場合は、再度冷凍倉庫に搬送し、仮置きするなどの対応が必要となり、そのスペースも考慮する必要があります。

このように商品の品質を損なわない作業方法を考えると同時に、作業員の負担も考える必要があります。冷凍庫内は-18℃以下という過酷な労働環境なので機械化などによる作業負担軽減を考えなければなりません。

ここまで述べてきました温度帯以外にも考慮すべき項目があります。

賞味期限や製造ロットの管理

まず、取り扱う商品は基本的に食品が多い為、賞味期限や製造ロットの管理を行う場合がほとんどです。賞味期限切れが近い商品などは、出荷止めなどの区分管理を行う必要があります。

次に、3温度帯の倉庫の場合、倉庫の料金契約は2期制を採用することが多いため、その対応が必要となります。(通常のドライ倉庫は3期制が多い)

さらに、冷蔵冷凍倉庫は建物が完成してから冷やし込み、匂い取りや除湿作業が発生します。立上げスケジュールを作成する際はそれらの期間を考慮して設計する必要があります。

3温度帯倉庫の立ち上げを検討する際は、以上のポイントに注意してみてはいかがでしょうか?

(文責:渡辺 隆太郎)

【参考】
一般社団法人 日本冷蔵倉庫協会 「保管温度帯について」
https://www.jarw.or.jp/study/guardian/temperature

ロジ・ソリューションでは、いろいろな温度帯の物流センター設計や稼働支援などをさせていただいております。気軽にお問い合わせください。

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第381号 2018年5月16日)

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