ディズニーの本を読んで物流業におけるCSについて考えてみた

「ディズニーが教えるお客様を感動させる最高の方法」

先般、ディズニーの人材研修機関であるディズニー・インスティチュートが発行している「ディズニーが教えるお客様を感動させる最高の方法」という書籍を読みました。

ディズニーと言えば、ディズニーランドにおける顧客サービスが大変すばらしいことは既に周知のことと思います。そのサービスがいかにして世界中の従業員に伝授され、高い顧客満足度を達成し続けているのかが書かれており、その内容を参考に物流業におけるCS(Customer satisfaction、顧客満足)について考えてみました。

まずディズニーでは、従業員(キャスト)が顧客のためにどのような行動をとるべきか、どう優先順位をつけるかを判断するために4つのサービス基準を定義しています。その中で一番優先順位が高いものが「安全」であり、その基準は「車椅子のお客様(ゲスト)が乗車用のプラットフォームに上がってきた場合は、ゲストを効率よく乗車することよりもショーを継続することよりも、まず体が不自由なゲストの安全を最優先する」ということをキャスト全員が理解しています。

物流業ではどうだろうか

物流業においても安全は重要視されており、物流センターの現場に行くと「品質無事故達成1000日」という様な看板を見かけます。特に無災害・無事故を長期間達成している事業所は、作業員一人一人が業務全体を通して誤出荷防止の出荷検品や荷崩れ防止を確実に行っていたり、5S(整理、整頓、清掃、清潔、躾)もきっちりと実施していたり安全以外の業務においても物流レベルが高く、総じてお客様の評価も高いように感じます。

私でも倉庫の中を案内されてパレットや保管ラックが整然と保管されている状況をみるとそれだけで気持ちがいいものです。

もう一つ興味深い内容として、「三時のパレードはいつ始まるのですか?」という質問に対しての答え方です。ゲストは単に型通りの答えを期待しているのではなく、パレードが何時にどこを通るのか、見学するのに一番良い場所はどこかということを知りたいのであって、「三時です。」など、皮肉を言うことだけはしてはならないそうです。

物流業に限ったことではないかもしれませんが、業務に精通しすぎたり、お客様から理不尽な要求を受けたりすると、お客様をお客様と思わなくなって出来ない理由ばかりを並べてしまいがちです。そうなるとお客様との関係は悪くなる一方で最悪は商権を失うことに陥ります

お客様が何を望んでいるのかを常に考えながら対応していくことは難しいかもしれません。ディズニーでは、長年の経験を文化としてキャストへ教育しゲストに対する意識を浸透させています。同時に、必ずゲストに受け入れられるような仕組みを定量的に把握してテーマパークへ反映させています。ディズニーとまではいかなくても、このような対応を少しでもお客様に感じさせることができれば、顧客満足度は上がっていきますし、企業全体の意識も向上していくと思います。

もしご興味があれば、皆様も一読ください。

「ディズニーが教えるお客様を感動させる最高の方法」
ディズニー・インスティチュート/著 月沢李歌子/訳 日本経済新聞出版社

(文責:鍋田)

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第67号 2010年2月10日)