物流分析手法シリーズ07【原因追及編】~R-f分析・特性要因図~

はじめに

これまで【物流分析手法シリーズ】では、倉庫の分析として、

1.倉庫全般→物流ABC
2.作業分析→ワークサンプリング
3.在庫分析→在庫ABC

輸配送の分析として、

輸配送シミュレーション

を取り上げ、紹介しました。

これらの手法では、まず現状で何が起こっているのかを把握し、問題点を発見する為の手法でした。

今回は、その次の段階、明確になった問題点の中から、その要因・原因を導き出す手法「要因分析手法」を取り上げ、代表的な2手法、(1)R-f分析(2)特性要因図を紹介します。

要因分析手法の概要

R-f分析

R-f分析とは、問題点としてある結果(Result)に対して、要因・原因(Factor)をツリー構造にて展開し、対策を立案する為の分析手法です。

※マーケティング用語の顧客分析(RF分析orRFM分析)とは記載は同じですが、異なるものです。

目的

・不具合発生を抜け・漏れなく明らかにし、事実に基づく定量的分析する事

メリット

・発生頻度が高い要因に対する効果の大きい対策から、体系的かつ重点的に取り組んでいくことが出来る
※場当たり的に不具合対策を行った結果として、偶然に不具合が0になったとしても意味を成さない
・どの対策がどの要因に効果があったか不明
・対策に抜け・漏れがあれば、いつ・どのような要因で不具合が再発するか不明で、対策の手立てがない

R-f分析の実施手順

STEP1 R(結果としての不具合現象)を選定する

不具合現象を層別し、詳細にその実態を掴むことが原因追及の良し悪しを決めます。また、現象をとらえる際には、いつ、どこで、だれが、何を、を明確にし、現象の詳細がどんな状態を把握する事が重要となります。

STEP2 第1次要因を体系的に洗い出す

不具合現象を直接的に引き起こす要因を抜け漏れなくダブりなく洗い出します。この段階で漏れると、原因が究明されず、ダブりと同じ2次要因が発生する恐れがあります。

STEP3 要因の仮説展開により、第2次要因を把握する

第1次要因に対して、「なぜ要因が発生するか」「何がなければ要因は発生しないか」といった形で仮説展開を行い、第2次要因を遡及します。
要因から具体的な対策が立案可能なレベルまで必要に応じて遡及を続けます。

STEP4 それぞれの要因に対する定量化を行う

要因と現象の相関を調べる為のデータ収集、実験などを実施し、現象に対する影響度を明確にします。

STEP5 対策を立案する

影響度の高い要因を中心に対策を立案します。
対策の立案方法は、

(1) 要因そのものを取り除く対策
(2) 要因はそのままで別の方法で要因を回避或いは吸収する対策

改善手段としては、

(1) 設備・治具の仕様変更
(2) 条件の変更
(3) 荷姿仕様の変更
(4) 作業方法の変更 などがあります。

特性要因図

特性要因図とは、問題の解決において、結果として発生してくる「特性」に対して、その原因として考えられる「要因」をまとめ、視覚的に表現するものです。

QC7つ道具の1つで、科学的手法として多くの場面で活用されている手法です。

メリット

・個々人の持っているノウハウはそれ程なくても多くの人のものを重ね合わせれば問題の要因に限りなく近づくことが出来る
・課題解決の方策を考える為の議論を進めることで、問題意識が高まる、又は問題の共有化が出来る

特性要因図の作成手順

STEP1 特性を決める

特性とは問題点を指します。問題点は具体的に、簡潔に表現する事が必要です。

STEP2 特性に「背骨」を書き込む

右側に特性を記載し、特性に向かって「背骨」と呼ぶ太い線を書き込みます。

STEP3 「大骨」を書き込む

特性に対する要因(原因)を大骨に書き込みます。大骨の要因は4M(人、機械、材料、方法)に沿って設定するのが基本です。

STEP4 「中骨」、「小骨」を書き込む

「中骨」は大骨の要因を結果と見なし、その要因を書き入れ、「小骨」は中骨の要因を結果と見なし、要因を書き入れます。

STEP5 重要な要因を目立たせる

完成した特性要因図より、特性に大きな影響を与えていると考えられる要因をいくつか選定し、目立たせます。これが問題点を改善するポイントとなる可能性があります。

留意点

(1) 特性は具体的に表現する。
(2) 具体的な対策に繋がる事を考慮し、要因を検討する。
(3) 要因は、グループでブレーンストーミングを検討する事で、幅広い用途の要因図ができる。
(4) 要因は「なぜ?」「なぜ?」と追及していく事が大切である。そうする事で、より具体的な対策に繋げる事が出来る。
(5) 重要だと思われる要因は、さらに「なぜ?」を繰り返し突っ込んで考えてみる事が必要。
(6) 原因と結果をとりちがえないように注意する。

ロジ・ソリューション株式会社は、豊富な経験と実績を蓄積し、物流分析のノウハウを持っております。物流の問題でお困りの荷主企業様、また改善活動を実施したいと思われている物流事業者様も、一度ロジ・ソリューション株式会社までご相談下さい。

(文責:LS5/北村、岩本)

【参考文献】
㈱日本能率協会コンサルティング著「物流改善ケーススタディー65」:日刊工業新聞社(2007)
細谷克也著「QC七つ道具」:日科技連(1991)

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