新たな物流の可能性

最近ウーバー(Uber)というサービスについてよく耳にします。
ウーバー(本社:カリフォルニア州)は欧米をはじめ、上海やソウル、台北など世界31ヶ国81都市で、専用アプリを通じてハイヤーを予約・利用できるスマートフォン向けのサービスを展開しています。2009年アメリカで開始され、日本では2013年より都心部で試験運行が開始されています。
ウーバーのサービス内容は下記になります。
1.スマートフォンの位置情報に基づいて利用者の所在が確認され、近くにいるハイヤーが利用者の場所まで来てくれる
2.到着まであと何分か逐一表示され、どのような車で、どのようなドライバーが来るのか、その評価も含めて表示される
3.到着すると電話がかかる
4.目的地に着いて車を降りたらすぐにアプリに領収書が届く(クレジットカードで自動決済される)

そのウーバーが、2015年1月から貨物輸送サービスに進出しました。新サービスの名称は「Uber CARGO(ウーバーカーゴ)」です。サービス開始時点で利用できる地域は、香港のみとなっています。
使い方は、アプリでのハイヤー手配と同様、
1.アプリを立ち上げ、「Uber CARGO」を選択
2.荷物をピックアップしてほしい場所を地図上で指定すると、搬送用車両が到着する
3.荷物は利用者自身で積み込むことになっているものの、必要に応じて、ドライバーに手伝ってもらうこともでき、また利用者は荷物とともに、車に乗ることもできる
4.配送途中の車両の位置を、受取人に伝えることもできる

香港は、宅配サービスがそれほど発達していない地域です。理由としては、狭いエリアに小売店舗が密集しているので宅配サービスが必要ないこと、駐車禁止区域が多いことなどが挙げられます。ウーバーが貨物輸送サービスを香港から始めたのは、強力な競合がいないという、香港独特の物流事情があったと考えられます。
今後香港での結果をベースに、宅配先進国の日本や他の国にも進出する可能性もあるかもしれません。

このようなラストワンマイルの配送体制が大きな課題と言われており、米アマゾンでは「アマゾン・プライムエア」プロジェクトで、無人飛行機(ドローン)を使って注文から30分で商品を配送する実証実験を進めようとしています。
米グーグルも同様に「プロジェクト・ウィング」でドローンによる配送システムの開発を進めています。こちらは10分以下を目指していると言われています。
また、日本のセブン&アイグループのオムニチャネル戦略は、全国1万7,000のセブンイレブンの店舗網を受取り拠点として活用したラストワンマイルを克服するための取り組みとも言えます。

ウーバーでは、将来ハイヤーと宅配サービスを統合し、乗客と荷物を同じ車で運ぶことで、運賃をさらに安くできると考えているようです。
さらに将来的には、「自動運転車」を実用化して、自動運転車に「相乗り(共配)」させながら24時間サービスを提供する構想もあるようです。
日本では規制などにより宅配事業への新規参入は難しいのが実情と考えますが、今後ウーバーのような構想力を有した異業種企業が新たに参入してくる時代を迎えるかもしれません。

(文責:重栖 嘉明)

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第337号 2016年10月5日)