客貨混載から見る異業種との共配

2015年10月に、宮崎交通株式会社とヤマト運輸株式会社は路線バスで貨物を輸送する「客貨混載」を開始しました。これは西日本としては初の試みで、宮崎県西都市と西米良村を結ぶ路線バスのルートにて、座席の一部を荷台スペースにした路線バス車両を用いて貨物を輸送、バス停留所でヤマト運輸のドライバーに受渡し、エリア内を配送するというものです。

この取り組みにより、宮崎交通は路線バスの空きスペースを有効に使い、貨物輸送による新たな収入源を確保出来ます。また、ヤマト運輸は地域を担当するドライバーが集配センターに戻る必要がなくなりますので、当日発送の集貨時間・締め切り時間が延長出来、また走行距離の削減に伴いCO2排出量が低減出来ます。さらに過疎化・高齢化が進む地域の住民にとっては、路線バスの路線網が維持されることで生活基盤の維持・向上につながります。

現在、物流業界ではドライバー不足やCO2排出量削減など様々な課題があります。そのような中で、国土交通省は物流政策の一つとして共同輸配送の促進を図っています。共同輸配送は複数の企業の商品を混載させて運ぶ手段のことですが、積載率を向上させるための企業のマッチングや、共同輸配送に必須となる企業同士の物流に関する情報共有が出来ていないなどの課題があり、共同輸配送による効率化に繋げられず苦労しているのが現状です。

宮崎交通とヤマト運輸による客貨混載の例は、『異業種との共同』による輸送効率化という面で一つのヒントになり得るのではないかと思います。今一度、輸送効率化を考える際は自社の商品を何と一緒に運ぶか、異業種を含めて広い視野を持って考えてみてはいかがでしょうか。

(文責:山室 龍志郎)

【参考文献】
・『第3回「共同輸配送促進に向けたマッチングの仕組みに関する検討会」を開催』(国土交通省 報道発表資料 2016.3.22)
https://www.mlit.go.jp/report/press/tokatsu01_hh_000259.html
・『西日本初!路線バスが宅急便を輸送する「客貨混載(きゃくかこんさい)」の開始』(ヤマトホールディングス 2015.9.24)
https://www.yamato-hd.co.jp/news/h27/h27_51_01news.html

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第321号 2016年4月6日)

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