コロナ禍だからこそ学びたい産業財(BtoB)マーケティング5 「事業領域の整理」

前回マーケティング戦略構築における現状分析(ステップ1)の自社分析のうち、最も重要である経営理念についてご説明しました。

また自社の経営理念をしっかり把握することで、顧客や競合を定義する際の柱ができることもお伝えしました。自社分析の対象として、事業領域とコアコンピタンスが残っていますが、今回は事業領域についてご紹介します。

事業領域とは

事業領域を整理するためには、「全社として、誰(どの業界)を顧客と定義し、何(どんなサービス)を提供しているのか」を明らかにする必要があります。ただし、「言うは易く行うは難し」なので、実行するにあたりある程度時間を要します。では、自社の事業領域を整理するためにはどんな進め方が良いでしょうか。

私は、製品市場マトリクスの活用をおすすめします。製品市場マトリクスとは、提供する製品と市場を軸にして事業領域を整理するツールのことです。一般的には縦軸に製品、横軸に市場を置くケースが多いです。さらに市場に関する情報(市場規模、成長性、自社のシェア等)を加えることで、より正確に市場を整理することができます。イメージは下記リンク先をご覧ください。

製品市場マトリクス(例)

事業領域の整理を疎かにすると、以降のステップで苦労することになります。具体的には現在の事業領域をもとに将来の可能性(市場浸透、製品開発、市場開発、多角化)を探索する際に、誤った判断をするリスクが発生しかねません。このように自社の事業領域を整理するのは一見簡単なようですが、実際はとても難しいのです。

事業領域の整理は非常に重要であるため、製品市場マトリクスを作成するにあたり、外部の専門家の活用も検討に値すると思います。外部の専門家を活用することで、レベル感のばらつきや抜け漏れの発生を防ぐことができます。

今回は事業領域の整理についてご説明しました。次回はコアコンピタンスについてお伝えいたします。

(文責:野尻 達郎)

【参考資料】
『産業財マーケティング・マネジメント(理論編)』マイケル・D・ハット、トーマス・W・スペイ
『戦略的産業財マーケティング』笠原英一

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(ロジ・ソリューション(株)メールマガジン/ばんばん通信第452号2021年4月21日)