投稿者「logi」のアーカイブ

1980年代の自動搬送システム導入事例から学ぶ、成果とは何か。

石川県和倉温泉郷にある加賀屋は、日本一の旅館であると言っても過言ではありません。旅行新聞新社が主催する『プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選』にて2016年まで36回連続で総合部門第1位に選ばれており、2017年は同1位の座を逃したものの、翌年に同1位に返り咲き、以降2020年まで再び連続で同1位に選ばれています。

5年程前の暑い夏の日、家族と加賀屋を訪れた際、入口の自動ドアが開いた途端、涼しいエアコンの風を感じる間もなく「いらっしゃいませ」とご挨拶頂きました。声の元に目を向けると、一列に並ばれた御着物姿の皆様が揃ってお辞儀をしておられたことがとても印象的で、何とも言い難い心持ちになりました。なぜなら、私たちはドライブの途中にお土産を買う為に立ち寄っただけでしたから。はい、何かすみません。今度は宿泊でお邪魔したいと思います。その際は是非バックヤードの自動搬送システムについてお勉強させて頂きたいです。

加賀屋は12階建ての新館『能登渚亭』のオープンに際し、料理の自動搬送システムを導入しています。導入前は客室係の皆様が調理場から客室まで料理を搬送していましたが、それは大変な重労働であり、また客室係のお仕事の半分以上が料理の運搬に関することであったとのことです。自動搬送システムは調理場から各階の配膳室まで配置されたレールの上を、料理を載せたワゴンが運搬します。また、フロア間の縦移動はエレベータを使用しており、自動連動しています。なお、自動搬送システムが配膳室までの搬送した後は、客室係が配膳をし、客室まで運搬する運用をされています。
今でこそ自動搬送ロボットも物流センターや工場等の各所で活用されていますが、加賀屋が最初に自動搬送システムを導入したのは1981年のことで、大福機工(現ダイフク)が開発しています。同様のケースがほとんどない当時、しかも工場や倉庫等ではなく旅館での導入は大変な苦労があったものと推察します。
2014年9月に開催されたロボット革命実現会議に有識者として参加した加賀屋女将の小田氏は、自動搬送システム導入の成果について、以下のようにお話されています。

「私たちはこのやり方を「ハイテックとハイタッチ」と呼んでいます。テクノロジー(技術)を使うことで、タッチ(お客様とのかかわり)を増やす、という意味です。旅館では、お客様との会話や、観光や交通機関のご案内といったサービスが欠かせません。じっくりとお客様とお話をする時間と余裕を確保するために、最新の技術を活用するという考え方です。
(中略)体に辛いところや痛いところがあれば、お客様と接している際も気になって身が入りません。配膳の作業がスムーズに進んでいるとなれば、心に余裕ができます。「お客様にこうして差し上げよう」「料理の紹介をもっと丁寧にしてみよう」といった発想も浮かんできます。加賀屋のモットーである「笑顔で気働き」を実現しやすい環境が整いました。*1

自動搬送システム導入により料理の運搬に要する労力が30人分から7人分に削減されたとのことです*2。

私たちも物流現場でのシステム・マテハン・ロボット等の導入に際しては作業工数削減というKPIに注目し、費用対効果を算定します。加賀屋の事例でも作業分析や定量評価をしっかりされておられたようですが、小田氏の言によると作業工数削減は手段であり、その先にあるお客様へのおもてなしが真の目的であり、成果であるということを非常に重要視されておられます。
加賀屋ではテクノロジー導入の目的が経営理念に合致していたからこそ、それが技術的に困難な時代であっても導入を成し遂げたのではないかと、また困難に立ち向かって得たものだからこそ真の強さとなり、長く日本一の旅館と評価される一因となっているのではないかと思います。テクノロジー導入の目的や成果を改めて考えるに際し適した事例だと思い、ご紹介致します。

<参考資料>
*1 日経BizGate「女性が輝く2つの仕掛け~搬送ロボと保育園」(最終閲覧日2021年6月18日)
https://bizgate.nikkei.co.jp/article/DGXMZO3113869030052018000000
*2 宮下幸一「旅館『加賀屋』のビジネスモデル―“おもてなし”は世界のモデルになりえるか―」『桜美林経営研究第2号』33-55頁、2012年。

(文責:松室 伊織)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★掲載された記事の内容を許可なく転載することはご遠慮ください。

ロジ・ソリューションでは、物流に関するいろいろなご支援をさせていただいております。
何かお困りのことがありましたらぜひお声掛けください。(お問い合わせはこちら

(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第458号 2021年7月21日)

 

 

EC物流の動きが激しい

コロナウイルス感染予防から、「お店に買い物に行くよりネット通販で買い物しよう」という方が増えてきています。

実際にEC強化を図っている販売業は、そうではない企業より業績を戻しているという結果になっています。一方、消費者がお店に足を運び(=移動)、自ら製品を手にし(=ピッキング)、レジまで製品を持参し(=運搬)、会計を済ませて、袋詰めして(=梱包)、自宅に持って帰る(=配送)という行為を、ECの場合ではほとんどを物流事業者が実施することになります。結果として製品価格に対する物流費が店舗販売よりも高くなるのは当然です。ECを強化しつつも物流費を抑えるには、よりフィットする物流事業者の選定が必要になりそうです。

一方で物流事業者としてはこの機運を逃すわけにはいかないので、さまざまな切り口からEC物流に参画しようとしています。例えばEC特有の物量波動性に対して柔軟に対応する「EC物流プラットフォーム」を売りにしている企業、大手ECマーケットプレイスの配送に特化した「ラストワンマイル」のインフラを強化している企業、ECとの「システム連携」に特徴を持つ企業などが現れています。

EC物流のプラットフォームとは、物流センター内のマテハン、情報システム、スペースをシェアリングする仕組みのことです。必要なときに必要なものを必要な時間だけ使うというもので、処理物量に応じて料金が変化する従量課金制を用いています。アマゾン(FBA:フルフィルメント・バイ・アマゾン)や楽天(楽天スーパーロジスティクス)などもECプラットフォーマーであると言えるでしょう。

慢性的な労働力不足が指摘されているトラック運送業界ですが、個人宅への宅配機能を強化している配送事業者が増えてきています。アマゾンの場合は佐川急便やヤマト運輸などの大手宅配事業者と提携してきましたが、最近ではデリバリープロバイダと呼ばれる地域宅配事業者との独自の配送網も築いてきています。「ラストワンマイル」のインフラを強化している企業と言えるでしょう。

また自社サイトを含め複数のECモールサイトで出品している場合、その在庫連携や在庫振り分けなどを行うための受注管理システムが必要となります。代表的なところではHameeのネクストエンジン、アイルのCROSSMALL(クロスモール)などがありますが、そのOMSがAPI(Application Programming Interface)連携ができるようにしておいて、WMS(倉庫管理システム)にシームレスに連動させている3PL事業者が増えてきています。

EC物流を委託する側にとってみれば、選択肢が増えることは良いことですが、よりフィットした事業者を選定するためにも最新EC物流トレンドをウォッチしておく必要がありそうです。

(文責:釜屋 大和)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★掲載された記事の内容を許可なく転載することはご遠慮ください。

ロジ・ソリューションでは、物流に関するいろいろなご支援をさせていただいております。
何かお困りのことがありましたらぜひお声掛けください。(お問い合わせはこちら

(ロジ・ソリューション(株)メールマガジン/ばんばん通信第457号 2021年7月7日)

「物流の人材を確保するために」(その3)

多くの企業が取り組むようになった「健康経営」ですが、これはフィジカル面での健康状態を大切にすることだけが本来の目的ではなく、個々人の幸福度を上げていくことが最終目的とされています。株式会社日立製作所フェロー兼未来投資本部ハピネスプロジェクトリーダーの矢野和男氏は、現代社会では、個人のヘルスケアに対するツールや仕組み、設備、制度等は確立されているものの、組織のヘルスケアに対処できるものがないとの問題意識から、「ハピネスプラネット」というアプリを開発しました。

このアプリは、長年にわたり人間の幸福度を定量的に測定して得られた膨大なデータをもとに、個々人の幸福度を向上することができるツールとして開発されました。とはいえ、そもそも「幸福度」自体が曖昧なものであり、それを個人がどう感じているなど、定量的に測定が可能かどうか、さらにそれがビジネスにどのような影響を与えているかなどは、到底把握できないのではと想像していましたが、どうもそうではないようです。

矢野氏をはじめとした世界中の「幸福」の研究者による見解では、私達の幸せを構成する要因には、2つあるそうです。1つは、ボーナスのように一時的に喜びや快楽をもたらすもの。ただし、これは短時間に元のベースラインに戻ってしまう要因です。もう一つは、より持続的に幸せのベースラインを向上するもの。これは、日々の行動習慣が決めていることが分かっており、特に、日々前向きに自分なりの挑戦をする習慣が大変重要です。この習慣を、心理学では「心の資本」(あるいは心理資本)と呼ぶそうです。この「心の資本」は大変重要で、何か行動を起こす上において必要な「お金」「スキル」「関係性」という3資本のベースになると言われています。

更に、「心の資本」が豊かな人には、次の4つの要素が備わっているそうです。
1.Hope(希望):目標に向けて解決の道を見つける力
2.Efficacy(自己効力感):自分の能力・貢献に対する自信
3.Resilience(レジリエンス):困難があっても乗り越えられるという自信
4.Optimism(楽観性):物事の明るい面を見る前向きさ

矢野氏が開発した「ハピネスプラネット」は、この4要素(頭文字を取ると“HERO”)に影響を与える行動習慣をサポートするアプリとして利用されており、昨年7月に株式会社ハピネスプラネットを設立するに至っています。すでに丸井グループなど、同アプリを導入して社員の幸福度を向上させようという取り組み事例も多々あり、その効果が業績に現れていることも実証されています。

前回のばんばん通信で、社員が会社に対するエンゲージメントを高めることが重要であることに触れました。先の「心の資本」が豊かな人は、決して個々人で努力した結果備わったのではなく、人と人とが関わりの中で備わっていったということも検証されており、まさにエンゲージメントを高めるための会社組織に、どのような文化が求められるのかを示唆しています。次号でこのあたりをもう少し掘り下げたいと思います。

(文責:貞 勝利)

【参考資料】
株式会社ハピネスプラネット https://happiness-planet.org/

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★掲載された記事の内容を許可なく転載することはご遠慮ください。

ロジ・ソリューションでは、物流事業者のマーケティング戦略構築のご支援をさせていただいております。
何かお困りのことがありましたらぜひお声掛けください。(お問い合わせはこちら

(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第456号 2021年6月23日)

 

「物流の教科書」-2 物流サービス

2020年3月末に上梓させていただきました『基本がわかる実践できる 物流(ロジスティクス)の基本教科書』から、今回は、通信販売の配送料について取り上げます。

通信販売で商品を購入することが多くなっていると思いますが、配送料についてどの程度関心をお持ちでしょうか。無料、もしくは一定額以上購入すると無料にするという場合が多いですが、最近では一定額の配送料を負担となっている場合も見られます。

消費者の立場から考えると、商品を購入する場合は少しでも安く購入したいとなりますので、配送料無料のほうが安く感じる場合もあると思います。しかしながら、物流業界の立場から考えると運賃がかからないはずはないので、商品価格と配送料を明示してもらったほうがよりわかりやすいと思います。

例えば、10,000円で配送料無料(実際は500円)となっている商品があったとしますと、商品代金10,000円+配送料0円ではなく、商品代金9,500円+配送料500円で10,000円とすべきです。このようにすれば、商品価格が比較でき、配送料も比較でき、消費者が販売者を評価することができます。また配送先の地域によって配送料が変わる場合と一律の場合がありますので、その点でも購入時に比較できることになります。

また、通信販売で配送リードタイムが長い場合に配送料を差し引くという仕組みを取っている企業がありました。価格差が少額のため価格弾力性が発揮されないのではないかと思いますが、とても良い仕組みだと思います。すべての人がすぐに商品がほしいわけではないので、ニーズに合わせて配送料も選べることになるからです。

同時にこのようなオーダーがあれば、物流センター側の波動が軽減され効率化が可能となります。例えば、当日出荷が必要なオーダーと翌日でもよいオーダー、3日後でもよいオーダーがあれば、物流センターは当日出荷オーダーと残りの工数で翌日分を出荷すればよく、一定の時間になれば作業を終了できます。翌日は、前日に翌日でもよかった残りのオーダーが当日出荷オーダーになるように変えることで対応できます。同様のことが続けば、毎日の出荷作業が平準化され、より効率的に運用できることになります。実際には日々のオーダーの変化がありますが、これをうまく対応する仕組みを作ればよいわけです。

このようなことをはじめとして、いろいろな施策を検討し実現するためには、商品価格と物流費を分離して考えることが必要です。
次回通信販売を利用される際に、物流の立場で配送料を一度ご覧になられてはいかがでしょうか。新しい発見があるかもしれません。

(文責 中谷 祐治)

【参考資料】
中谷祐治『基本がわかる実践できる 物流(ロジスティクス)の基本教科書』

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★掲載された記事の内容を許可なく転載することはご遠慮ください。

ロジ・ソリューションでは、物流に関するいろいろなご支援をさせていただいております。何かお困りのことがありましたらぜひお声掛けください。(お問い合わせはこちら

また、今回ご紹介した内容は『基本がわかる実践できる 物流(ロジスティクス)の基本教科書』(くわしくはこちら)にあります。書店で手に取っていただけますと幸いです。

(ロジ・ソリューション(株)メールマガジン/ばんばん通信第455号2021年6月9日)

コロナ禍だからこそ学びたい産業財(BtoB)マーケティング6 「コアコンピタンスとは」

前回(こちら)マーケティング戦略構築における現状分析(ステップ1)の自社分析のうち、事業領域の整理についてご説明しました。今回はコアコンピタンスについてお伝えします。
コアコンピタンスという言葉自体は耳にする機会が少なくないため、知っている方も多いと思います。ただし、その意味について説明を求められるとほとんどの方が窮してしまうのではないでしょうか。本稿を通じて、コアコンピタンスの大まかな意味をつかんでいただければ幸いです。

コアコンピタンスとは、直訳すると「核となる能力」となります。しかしながら、まだまだぼんやりとしてつかみどころがないので、私なりの意訳を紹介すれば、それは「自社の強みの源泉」です。皆さんの会社のコアコンピタンスは何でしょうか。
コアコンピタンスを考えるにあたり、ヒントを提供してくれるのが自社の強みです。自社の強みは売上やお客様の声によって、既にその一部が顕在化しています。そこから深堀して、強みの源泉を考えてみると良いでしょう。なかなかイメージが湧かない読者の方もいらっしゃると思いますので、具体例を用いて考えてみたいと思います。

皆さんもご存知の通り、株式会社エヌ・ティ・ティロジスコ(以降NTTロジスコ)はNTTグループの総合ロジスティクス企業です。発足当初はNTTグループの物流業務が売上の大半を占めていたものの、現在では医療機器物流や通販物流まで事業領域を拡大しています。24時間緊急配送サービス等、顧客志向のサービスを展開していることでも有名です。
さて、NTTロジスコのコアコンピタンスとは何でしょうか。あくまで私見ではありますが、以下の3点ではないでしょうか。

(1)NTTブランドの高い信頼性
(2)NTT業務における災害対応等で培われた高い対応力
(3)通信インフラ関連業務(失敗が許されない仕事)によって培われた高い品質力

これらのコアコンピタンスと親和性の高い医療機器物流を新規事業領域として選択したのではないかというのが、私の仮説です。

また『産業財マーケティング・マネジメント(理論編)』の内容より、コアコンピタンスの3つの要件について紹介しますと、以下と論じています。

(1) 多様な市場へのアクセスを可能にするもの
(2) 企業の最終製品に関して顧客が知覚する効用に重要な貢献をするもの
(3) 競合相手が真似しにくいもの

読者の皆さんの会社でも、新規事業領域につながるような「強みの源泉」が必ずあると思いますので、一度考えてみてはいかがでしょうか。上記のコアコンピタンスの3つの要件が考えるヒントを与えてくれるはずです。

またコアコンピタンスの検討にあたり、外部の専門家の活用も検討に値すると思います。外部の専門家を活用することで、より客観的に自社のコアコンピタンスを抽出することができます。

今回はコアコンピタンスについてご説明しました。次回はCustomers(顧客)分析についてお伝えしたいと思います。

(文責:野尻 達郎)

【参考資料】
マイケル・D・ハット、トーマス・W・スペイ『産業財マーケティング・マネジメント(理論編)』
笠原英一『戦略的産業財マーケティング』
株式会社エヌ・ティ・ティロジスコWEBサイト

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★掲載された記事の内容を許可なく転載することはご遠慮ください。

ロジ・ソリューションでは、物流事業者のマーケティング戦略構築のご支援をさせていただいております。
何かお困りのことがありましたらぜひお声掛けください。(お問い合わせはこちら

(ロジ・ソリューション(株)メールマガジン/ばんばん通信第454号2021年5月26日)

ひとつだけでは多すぎる

表題は、故・外山滋比古氏の『思考の整理学』からの引用です。同著では、アメリカの女流作家ウィル・キャザーの言葉「(恋人が)ひとりでは多すぎる。ひとりではすべてを奪ってしまう。」を参考に、思考においても小さな着想・独創にかまけず、先人の業績も参考に複数の思考を調和折衝させるよう議論しています。

何かを選択するということは他の選択肢を選択しなかったことの裏返しです。何かしらの行動を選択する際に他の選択肢との調和折衝を鑑みず削除すると、行動がひとつの選択肢に適合しすぎるが故に、他の選択肢を選択することが難しくなります。
例えば、平成30年7月豪雨にて山陽線が長期不通となった際、鉄道運送から海上運送に切り替えようとしても、JRコンテナの規格と海上コンテナの規格は異なるために簡単には切り替えできず、またトラック運送に切り替えようとしても輸送量では及ばないという事態が生じました。

過去、レジリエンスは上記のような自然災害や政治的混乱のようなサプライチェーンに対するマイナスの事態に対する文脈で議論されることが多かったのですが、新型コロナウイルス感染拡大は従業員の安全確保のための生産の一時停止というサプライチェーンに対するマイナスの変化と同時にエンドユーザー側の変化が生じました。

店舗がエンドユーザーとのチャネルとなる流通システムでは、利用までのラストワンマイルはエンドユーザーが行うことを前提としていましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響でエンドユーザーの移動は大きく制限され、ラストワンマイルのあり方が変わりました。エンドユーザー側に変化があれば、ロジスティクスにも大きな変化が求められ、全体適正を起点から見直すことが重要になります。

ロジスティクスは動態的なものであり、社会の不確実性が高まる中においてはアジリティであることが求められます。日頃からロジスティクスのあり方を考えるに際しても、コストベースでの静態的な適正解にのみフォーカスするのではなく、不確実な変化を前提に、変化への適正解を算出する能力の向上と、その解を実現するために、あらかじめ複数の選択肢の調和折衝を意識することが重要だと思います。

(文責:松室 伊織)

<参考資料>
外山滋比古.『思考の整理学』ちくま文庫 . 1986年4年

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★掲載された記事の内容を許可なく転載することはご遠慮ください。

ロジ・ソリューションでは、物流に関するいろいろなご支援をさせていただいております。
何かお困りのことがありましたらぜひお声掛けください。(お問い合わせはこちら

(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第453号 2021年5月12日)

コロナ禍だからこそ学びたい産業財(BtoB)マーケティング5 「事業領域の整理」

前回マーケティング戦略構築における現状分析(ステップ1)の自社分析のうち、最も重要である経営理念についてご説明しました。また自社の経営理念をしっかり把握することで、顧客や競合を定義する際の柱ができることもお伝えしました。自社分析の対象として、事業領域とコアコンピタンスが残っていますが、今回は事業領域についてご紹介します。

事業領域を整理するためには、「全社として、誰(どの業界)を顧客と定義し、何(どんなサービス)を提供しているのか」を明らかにする必要があります。ただし、「言うは易く行うは難し」なので、実行するにあたりある程度時間を要します。では、自社の事業領域を整理するためにはどんな進め方が良いでしょうか。

私は、製品市場マトリクスの活用をおすすめします。製品市場マトリクスとは、提供する製品と市場を軸にして事業領域を整理するツールのことです。一般的には縦軸に製品、横軸に市場を置くケースが多いです。さらに市場に関する情報(市場規模、成長性、自社のシェア等)を加えることで、より正確に市場を整理することができます。イメージは下記リンク先をご覧ください。

製品市場マトリクス(例)

事業領域の整理を疎かにすると、以降のステップで苦労することになります。具体的には現在の事業領域をもとに将来の可能性(市場浸透、製品開発、市場開発、多角化)を探索する際に、誤った判断をするリスクが発生しかねません。このように自社の事業領域を整理するのは一見簡単なようですが、実際はとても難しいのです。

事業領域の整理は非常に重要であるため、製品市場マトリクスを作成するにあたり、外部の専門家の活用も検討に値すると思います。外部の専門家を活用することで、レベル感のばらつきや抜け漏れの発生を防ぐことができます。
今回は事業領域の整理についてご説明しました。次回はコアコンピタンスについてお伝えいたします。

(文責:野尻 達郎)

【参考資料】
『産業財マーケティング・マネジメント(理論編)』マイケル・D・ハット、トーマス・W・スペイ
『戦略的産業財マーケティング』笠原英一

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★掲載された記事の内容を許可なく転載することはご遠慮ください。

ロジ・ソリューションでは、物流事業者のマーケティング戦略構築のご支援をさせていただいております。
何かお困りのことがありましたらぜひお声掛けください。(お問い合わせはこちら

(ロジ・ソリューション(株)メールマガジン/ばんばん通信第452号2021年4月21日)

コロナ禍だからこそ学びたい産業財(BtoB)マーケティング4 「経営理念の重要性」

前回は消費財(BtoC)マーケティングと産業財(BtoB)マーケティングの違いについて、市場特性と購買における意思決定の観点を中心に紹介しました。今回はマーケティング戦略構築の第一歩である現状分析について、実例を交えながら説明します。

振り返りも兼ね、マーケティング戦略構築ステップの全体像を再掲します。以降は下記の7ステップに沿い、マーケティング戦略構築について説明していきます。

1. 現状分析
2. 基本方向の設定
3. コンセプトの設定
4. 提供物・価格の明確化
5. 販売チャネルの設計
6. 販売促進の検討
7. 営業活動の検討

今回は現状分析について説明します。ここでは、経営戦略論のフレームワークである4Cを用いて、現状分析について明らかにしていきたいと思います。
4Cという言葉を聞いて、読者の皆さんはどんなことを思い浮かべるでしょうか。4Cとは、Company(自社)、Customers(顧客)、Competitors(競合)、Context(マクロ環境)を表します。その中でも今回はCompany(自社)にスポットライトを当てています。

Company(自社)の分析にあたって、主要な確認すべき項目としては3つあります。それは経営理念、事業領域、コアコンピタンスです。

まずは経営理念について説明していきます。
基本的には「企業が顧客に対してどのような価値を提供したいかを示したもの」と考えられます。
さて、ここで各物流事業者の経営理念を確認してみたいと思います。

流通事業の使命を自覚し、つねに最高の技術、最高の能力、最高のマナーをもって、顧客の立場に立って義務の完遂をはかる。これが3Sの精神である。(センコー)

We Fine the Way(日本通運)

広く未来をみつめ 人と自然を大切に 良質なサービスを通じて 豊かな社会づくりに貢献します(日立物流)

社会的インフラとしての宅急便ネットワークの高度化、よい便利で快適な生活関連サービスの創造、革新的な物流システムの開発を通じて、豊かな社会の実現に貢献します。(ヤマトホールディングス)

私たちは、お客様の物流を進化させ続け、お客様と社会に美しく透明な流れをつくる会社です。(NTTロジスコ)

同じ物流事業者とはいえ、各企業の実現したい価値はさまざまであることが分かります。荷主企業の物流事業者選定をご支援していますが、企業理念の差が各社の提案内容に表れていると感じたことが何度もありました。

初期段階で経営理念の確認を通じて、自社が大切にする価値観を明らかにすることは、マーケティング戦略構築における柱を作ることと同義といえます。自社の経営理念を把握することで、顧客や競合の定義についてもスムーズに進めることができます。これまで既に経営理念が策定されている前提で説明を進めましたが、新たに経営理念を定めなければいけないケースも想定されます。

今回はマーケティング戦略構築における現状分析(ステップ1)の自社分析のうち、最も重要である経営理念についてご説明しました。次回は自社分析の事業領域についてご紹介したいと思います。

(文責:野尻 達郎)

【参考資料】
『産業財マーケティング・マネジメント(理論編)』マイケル・D・ハット、トーマス・W・スペイ
『戦略的産業財マーケティング』笠原英一
visionguide 企業理念・経営理念から会社を知る、経営ビジョンまとめサイト

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★掲載された記事の内容を許可なく転載することはご遠慮ください。

ロジ・ソリューションでは、物流事業者のマーケティング戦略構築のご支援をさせていただいております。
何かお困りのことがありましたらぜひお声掛けください。(お問い合わせはこちら

(ロジ・ソリューション(株)メールマガジン/ばんばん通信第451号2021年4月7日)

コロナ禍だからこそ学びたい産業財(BtoB)マーケティング3「マーケティングにおける消費財(BtoC)と産業財(BtoB)の違い」

前回(こちら)は消費財(BtoC)マーケティングと産業財(BtoB)マーケティングの違いについて、購買目的を中心に説明しました。今回はその続きで市場特性と購買における意思決定の違いについて説明したいと思います。

前々回(こちら)では、伝統的なマーケティングのフレームワークに従って、市場を細分化(セグメンテーション)して標的市場を定め(ターゲティング)ようとしても、そもそも細分化できるほどの顧客数が存在しなかったという失敗談を紹介しました。まさに市場特性(需要構造、ニーズの異質性)の違いを象徴していると言っても過言ではないでしょう。消費財(BtoC)の場合は市場が不特定多数で、同質的なニーズを持ったグループが形成されているケースが多いです。しかしながら、物流サービスでは宅配便のような消費者向けのサービスを除いて、顧客が特定されているケースがほとんどではないでしょうか。また、顧客のニーズに合わせてサービス(輸送、保管、荷役)をカスタマイズすることも少なくないため、顧客ニーズの異質性は比較的高い部類ではないかと思います。そういった市場特性の違いが、前述の理論と実践にミスマッチを生んでいるといえます。

また購買における意思決定も消費財(BtoC)と産業財(BtoB)で大きく異なります。当たり前かもしれませんが、消費財(BtoC)の意思決定は基本的には個人が行います。しかしながら、産業財(BtoB)では購買組織による意思決定が基本と考えられます。物流サービスの場合は、顧客企業の物流部が購買窓口となることが多いですが、最終的な意思決定にあたってはさまざまな組織が関与しています。顧客の各部門(営業、マーケティング、R&D、生産、物流等)との関係性を管理し強化することで、信頼感や紐帯感が形成されていくのも産業財(BtoB)ならではの特徴といえます。

消費財(BtoC)と産業財(BtoB)のマーケティングにおける違いの説明はここまでです。以降で、マーケティング戦略構築ステップの全体像をご説明したいと思います。『戦略的産業財マーケティング』では、マーケティング戦略構築のプロセスとしては、下記7ステップが紹介されています。

  1. 現状分析
  2. 基本方向の設定
  3. コンセプトの設定
  4. 提供物・価格の明確化
  5. 販売チャネルの設計
  6. 販売促進の検討
  7. 営業活動の検討

次回以降は上記7ステップについて一つ一つ紹介していきたいと思います。次回は戦略構築の第一歩である現状分析について実例を交えながら説明したいと思います。

(文責:野尻 達郎)

【参考資料】
『産業財マーケティング・マネジメント(理論編)』マイケル・D・ハット、トーマス・W・スペイ
『戦略的産業財マーケティング』笠原英一

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

★掲載された記事の内容を許可なく転載することはご遠慮ください。

『流通ネットワーキング』最新号(3・4月号)に本稿筆者による関連記事「3PL事業におけるマーケティング1」が掲載されております。よろしければご覧ください。

ロジ・ソリューションでは、物流事業者のマーケティング戦略構築のご支援をさせていただいております。何かお困りのことがありましたらぜひお声掛けください。(お問い合わせはこちら

(ロジ・ソリューション(株)メールマガジン/ばんばん通信第450号2021年3月24日)

ECサイトのリニューアル

■今後10年間かけて起こるはずの変革が半年で起こっている
新型コロナウイルスは、10年かけてなくなるはずだった旧来型のビジネスモデルを早く大きく変えようとしています。百貨店モデルと呼ばれるアパレルと百貨店の間での売上仕入(百貨店で売上が計上されたと同時に仕入が計上)の商慣習、大型ショッピングモールの成長とともに伸びてきた製造小売業型ファッションビジネスモデルは、コロナ以前からEC販売やオムニチャネルへのシフトを求められていました。消費者の購買行動の変化に合わせた必然ではあるものの、現在はコロナの影響下でその変革スピードが加速しています。この流れはファッション業界だけではなく、店舗販売を行っている企業全般に言えることで、これまでは「自動的に販売してくれる窓口としてのECサイト」程度にしか考えていなかった企業が、本格的にEC化率を高めるためにEC販売を販売チャネルの主力にしようとしています。

■ECで失敗する典型例(EC販売側)
「ショッピングモール型ECサイトで自社製品を販売してきたが、販売件数も本格的に増えてきたこともあり、自社ECサイトでの販売に切り替えもしくは強化を考えている」
最近このような考え方の企業が多くなっています。自社のマーケティング戦略・オムニチャネル戦略をECサイトと連動させ、自社運営体制を強化し売上を向上させるとともに、モール型ECサイト事業者への手数料支払いを減らして利益率を上げるのが目的です。しかしながら自社ECサイトのリニューアルで失敗する事例が後を絶たないのはなぜなのでしょうか。
某アパレルメーカーで直営店舗と自社ECの連動性を高めるために、ECサイトの自社運用を推進することになりました。EC・オムニチャネル戦略の一環ですが、その構想策定は自社メンバーだけでは難しく、大手コンサルティング会社に依頼してTo Beモデルを打ち立てました。ECサイトのリニューアルは企業の基幹システム刷新と比較して、「単なるフロントシステムの更新」として楽観的に捉えられる傾向にあります。しかし実際には、ECサイトを変えると企業の各システムに大きな影響が出てきます。
歴史の長い企業ほど複数システムが複雑怪奇に絡まっています。店舗受注システム・EC受注システム・販売管理システム・店舗POSシステム・会計システム・顧客管理システム・倉庫管理システム(WMS)・統合在庫管理システムがお互いにどのように連動しているのかの全体像を紐解けるシステム会社や自社部門がいない場合に、リニューアルで失敗することが多いです。失敗しないためには遠回りだと感じても、各システムを利用している部門間でコミュニケーションを取り、全社プロジェクトとして捉えることが必要です。

(文責:釜屋 大和)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

★掲載された記事の内容を許可なく転載することはご遠慮ください。

ロジ・ソリューションでは、物流に関するいろいろなご支援をさせていただいております。
何かお困りのことがありましたらぜひお声掛けください。(お問い合わせはこちら

(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第449号 2021年3月10日)

 

「物流の人材を確保するために」(その2)

前号では、人材を確保するうえで、企業と自身の関係性における大切な要素のひとつに「エンゲージメント」があり、それは「個人と組織が一体となり、双方の成長に貢献しあう関係」であるとご紹介しました。

ここで確認しておきたいのは、従業員満足(ES)とエンゲージメントの違いです。前者は、会社から与えられた環境に満足しているかどうかですので、福利厚生や給与面などの待遇が大きく影響します。一方エンゲージメントは、組織や仕事に対して自発的な貢献意欲をもって取り組めている状態を指します。従って、従業員満足には会社側のコストが伴いますが、エンゲージメントには一概にコストだけで対応できないという特徴もあります。

経営の視点から見たときに、そもそもエンゲージメントとはなんのために行うのかというと、そのゴールは、業績もしくは企業価値を向上させることになります。従業員満足度と企業の業績との相関はほとんど見られない一方で、エンゲージメントが構築できている企業は、業績を含めたさまざまな指標で企業価値を向上させているという下記のKPIデータもあります。


(出所:The Gallup Organizationの調査より)

ある企業(株式会社アトラエhttps://atrae.co.jp/)が調査した1000万件のデータから、このエンゲージメントは、主に以下の5つの要素から成り立っているといわれています。

1.仕事への熱中
やりがいを感じ、日々前進しながら仕事に取り組めているか

2.組織への共感
組織が掲げるビジョンや戦略に共感できるか、組織への誇りを感じているか

3.チームワーク
仕事仲間や上司とチームワークとしてよい関係性を築けているか

4.健康的な職場
健康的に、また仕事だけでなく家庭やプライベートも大事にできている環境か

5.待遇
評価や給与に対して、納得ができているかどうか

これらの要素を俯瞰してみると、会社自体が旧来の組織の在り方とは違う形が求められているという一面ものぞかせていることが想像できます。
次号では、エンゲージメントと組織の在り方について、さらに深堀していきたいと思います。

(文責:貞 勝利)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

★掲載された記事の内容を許可なく転載することはご遠慮ください。

ロジ・ソリューションでは、物流に関するいろいろなご支援をさせていただいております。
何かお困りのことがありましたらぜひお声掛けください。(お問い合わせはこちら

(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第448号 2021年2月24日)

コロナ禍だからこそ学びたい産業財(BtoB)マーケティング2 「産業財(BtoB)市場の特徴とは」

前回は消費財(BtoC)マーケティングと産業財(BtoB)マーケティングのGAPについて書籍を例にしご紹介致しましたが、今回は少し深掘りし、産業財市場の特徴を中心にお伝えいたします。

本題に入る前に、そもそもマーケティングとは何でしょうか。この機会に皆さんも少し考えてみると面白いかもしれません。下記を見てもわかる通り、専門家でも見解が若干異なるようです。

  • 企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動(日本マーケティング協会)
  • 売れる仕組みづくり(グロービス『MBAマーケティング』1997)
  • 人間や社会のニーズを見極めてそれに応えること。ニーズに応えて利益をあげること (P. コトラー)
  • マーケティングのねらいはセリングを不要にすること。マーケティングのねらいは顧客を知り尽くし、理解し尽くして、製品やサービスが顧客にぴったりと合うものになり、ひとりで売れるようにすること (P. ドラッカー)
  • マーケティングとは、顧客の満たされないニーズを見つけ、定義し、それに対してユニークなソリューションを提供することにより顧客価値を創造するプロセス(笠原英一)

それぞれの見解がとても示唆にあふれています。そんな中でそれぞれの共通点について、私なりに解釈するならば「顧客ニーズと自社製品(サービス)との間に橋を架けるような存在」ではないかと考えます。

それでは自社のマーケティング戦略を構築するためにはどんなことから着手すればよいでしょうか。
マーケティング戦略構築の第一歩は、「どこの市場のどのような顧客ニーズ対して、自社はどのような価値を提供するのか」を明確にすることです。その上で価値の提供を実現するための方法を検討しなければいけません。ここでセグメンテーション(市場細分化)、ターゲティング(標的とする市場の決定)、ポジショニング(自社の立ち位置の明確化)の3つの英単語の頭文字をとって名付けられたSTPや、Product (製品)、Price(価格)、Promotion(販売促進)、Place(立地、流通)の頭文字をとった4Pを活用することが多いでしょう。以降ではSTPと4Pをまとめて「STP+4Ps」と呼びます。STP+4Psについてはご存知な方も多いと思いますので、今回はそれぞれの詳細についての説明は割愛します。

さて、実際STP+4Psを活用してマーケティング戦略を構築する上で、無視できない要素があります。それは産業財市場の特徴です。消費財市場と比較すると、6つの観点で違いを整理することができます。今回はその一つである顧客の購買目的の違いについてピックアップして紹介します。

皆さんも日頃体感されていることとは思いますが、消費財ではより良い生活の追求が購買目的となります。それに対して産業財では自社の戦略実現(コストダウン、品質向上等)が購買目的となります。少しイメージが湧きにくい方は、輸送サービスを例に整理してみましたので、こちらも参考にご覧ください。

次回は引き続き産業財市場の特徴について説明した上で、マーケティング戦略構築ステップの全体像についてお伝えできればと思います。

(文責:野尻 達郎)

【参考資料】
『産業財マーケティング・マネジメント(理論編)』マイケル・D・ハット、トーマス・W・スペイ『戦略的産業財マーケティング』笠原英一
『MBAマーケティング』グロービス

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

★掲載された記事の内容を許可なく転載することはご遠慮ください。

ロジ・ソリューションでは、物流事業者のマーケティング戦略構築をご支援させていただいております。何かお困りのことがありましたらぜひお声掛けください。(お問い合わせはこちら

(ロジ・ソリューション(株)メールマガジン/ばんばん通信第447号2021年2月10日)

業務の棚卸

皆様は業務の棚卸を定期的に実施されていますか。
特に新たな業務を引継いだものの、実際の用途はよく分からないまま、ただ作成/提出することが目的となっているという場面はありませんか。
そのようなものがあれば、一度業務の棚卸をすることをおすすめします。

以前、物流事業者様からご依頼をいただき、業務改善の第一ステップとして現状の物流業務の実態を把握させていただいたことがありました。今回はその一部をご紹介いたします。
そのプロジェクトでは実態把握の一環で帳票関係の確認も行いました。その中に取引荷主様へ配送終了後に提出している日報があり、その中身は運行メーターの開始距離・終了距離、納品先名、到着時間等、細かく車両別に作成し、FAXをするという業務です。1枚作成するのに約2分を要し、平均10車両の配送があるため、1日あたりは20分程度の作業となります。1カ月の稼働日が平均25日であったため、年間で考えると「2分/枚×10台×25日×12カ月=100h/年」の時間を割いていることになります。
この日報の提示目的を担当者様に尋ねると、「提出すること」を数年前に前任者から引き継いだが、どのような情報を求められており、この日報がどう活用されているのか、その理由は把握していないとのことでした。
このような業務は受託するために必要な業務の一つだということは認識していますが、現在でも同じような方法、手段で続ける必要があるのかは問題提起する必要があります。提出することを義務化されている業務については、習慣であるがゆえに、やり方を変えないまま数十年続けているケースはよくあります。
この日報については、荷主側の管理および把握したい内容を明確化することで、場合によっては提出フォーマットの見直しやFAXという提出手段の変更ができる可能性があるため、現状の対応方法および工数の説明、そして日報の用途について改めて確認し、見直しを依頼してみてはどうかと簡単なアドバイスをさせていただきました。(プロジェクト外のことでしたので、個人的なアドバイスです。)
数か月後、別件でご連絡した際に状況を確認すると、提出フォーマットがExcelに変わり、1行1台で作成が簡素化したこと、また納品先名等の配車明細は1カ月に一度、システムから出力したものを提出することで了承を得られたとのことでした。その結果、所要時間も半分以上削減できたと伺いました。
日々の習慣になっているからこそ、疑問に思わないことがありますが、そこには改善できる内容があるかもしれません。皆様も一度、業務の棚卸をしてみてはいかがでしょうか。

(文責:南部 大志)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

★掲載された記事の内容を許可なく転載することはご遠慮ください。

内部だけでは通常業務で手一杯であったり、着手しても気づきを得ることが難しかったりすることもあります。リソースの節約のためにも外部に依頼することも選択肢の一つです。
ロジ・ソリューションでも、物流に関するいろいろなご支援をさせていただいておりますので、何かお困りのことがございましたら、遠慮なくお声掛けください。(お問い合わせはこちら

(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第446号 2021年1月28日)

コロナ禍だからこそ学びたい産業財(BtoB)マーケティング1

新型コロナウイルスによる緊急事態宣言から半年が経過しました。各社の決算が発表されていますが、業界や業態によって、明暗が分かれる結果となっているのは皆さんもご存知の通りだと思います。小売業界を切り取ってみても、状況はさまざまです。生活必需品を扱う食品スーパーや専門店では最高益が相次いでいる反面、百貨店やコンビニエンスストアは苦境に立たされています。コンビニエンスストア上位3社(セブン&アイ、ファミリーマート、ローソン)がそろって減収減益となったことが象徴的といえるでしょう。

こういった状況は物流事業者にとって必ずしも望ましいとはいえません。コロナ禍で業績を伸ばす荷主企業と取引していた場合は物量増による好影響を享受できますが、そうでない場合は負のスパイラルに陥って危機にひんすることになります。会社として存続し続けるためには、物流事業者もこうした外部環境の変化に対応しなければいけません。今回のコロナ禍によって、多くの物流事業者が自社のマーケティング戦略を見直す岐路に立たされているのかもしれません。

それでは物流事業者がマーケティング戦略を見直すためにはどうすればよいでしょうか。書籍を参考にしながら、独学で取り組まれる勉強熱心な方もいらっしゃるでしょう。ただし、そこで1つの問題に直面することになります。それは、ちまたに流通しているマーケティング関連の書籍の大多数が消費財(BtoC)を対象としていることです。伝統的なマーケティングのフレームワークに従って、市場を細分化(セグメンテーション)して標的市場を定め(ターゲティング)ようとしても、そもそも細分化できるほどの顧客数が存在しなかったというような失敗談を何度も聞いたことがあります。

そこで弊社がこれまで物流事業者のマーケティング戦略構築で培ってきた「実践」と、数少ない産業財(BtoB)マーケティング関連書籍に基づく「理論」を融合させながら、物流事業者のマーケティング戦略構築の一助となるような情報をシリーズで提供していきたいと考えています。次回は産業財(BtoB)マーケティングの特徴について、ご紹介したいと思います。

(文責:野尻 達郎)

【参考資料】
『産業財マーケティング・マネジメント(理論編)』マイケル・D・ハット、トーマス・W・スペイ
『戦略的産業財マーケティング』笠原英一
日経MJ(2020年10月19日付)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

★掲載された記事の内容を許可なく転載することはご遠慮ください。

ロジ・ソリューションでは、物流事業者のマーケティング戦略構築のご支援をさせていただいております。何かお困りのことがありましたらぜひお声掛けください。(お問い合わせはこちら

(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第445号 2020年12月23日)

「評価する側、される側」

皆さんは、物流センターの視察や調査に行くことはあるでしょうか。
物流のいろいろなプロジェクトにおいて、現状把握は大切なプロセスの一つです。われわれも「物流現場診断」や業務フロー作成、作業の把握、生産性の把握等、さまざまな物流センターへ視察や調査に行きます。
「物流現場診断」とは、視察やヒアリングを通して、「診断シート」の項目をチェックしセンターのレベル感の把握や改善方向性を見つけるものです。われわれが物流現場診断を行うときのチェック項目には、生産性や品質を高める内容もありますが、センターを訪れたとき印象に残るのは、5Sや作業員の行動です。物流事業者の選定の際に荷主が物流センターへ視察する際も「あのセンターは綺麗だった」「挨拶が気持ちよかった」という感想はよく上がる内容であり、教育がしっかり行き届いているセンターかどうかのひとつの評価ポイントになります。

ふさわしい身だしなみや態度をとることがルールの一つになっている企業も多いことでしょう。それは、ただの身だしなみではなく、そのルールが労働安全衛生規制等、法律上で必要な場合や安全や品質を保つために必要なことだからです。5Sの説明でよくお話しさせていただいているのは、「5Sはただの整理整頓ではなく、安全や品質の基盤である」ということです。

われわれコンサルタントや視察のメンバーは物流センターを「訪れる」側ですが、同じことが言えるのではないでしょうか。ふさわしい服装、靴、挨拶もこちらから行う等、基本的なことですが大切なことです。例えば、視察先の物流センターでヘルメットを着用するように渡されたとします。普段かぶらないとなかなか慣れないものですが、あご紐を正しく締めているでしょうか。物流センターで働いている方へヒアリングする機会や一緒にプロジェクトを進めるようなこともあるでしょう。あご紐を長く下げながら「改善しましょう」と言ったところで説得力がありません。視察をしているつもりが、見られている。評価をするつもりが、評価されているのかもしれません。
「物流センターを訪れるものとしてふさわしい態度をとらなくてはならない」と日ごろから心がけています。

(文責:真壁 由香)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

★掲載された記事の内容を許可なく転載することはご遠慮ください。

ロジ・ソリューションでは、物流に関するいろいろなご支援をさせていただいております。
何かお困りのことがありましたらぜひお声掛けください。(お問い合わせはこちら

(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第444号 2020年12月9日)

 

紙ってる?

お仕事で資料を作成した後は、紙に印刷してチェックしたいという方も多いと思います。
私もその1人で、紙のほうがミスに気付きやすいです(あくまで個人の見解です)。

資料のチェックを紙媒体ですべきか、電子媒体ですべきかについて、複数の先行研究があります。
メディア研究者のマーシャル・マクルーハン氏によると、人間が紙の文字を読む場合、それは反射光で文字を読むことになるため、人間は脳生理学的に分析モード、心理的には批判モードになり、他方においてディスプレイから読む場合、それは透過光で文字を読むことになるため、人間はパターン認識モード、くつろぎモードになるとしています。同じくメディア研究者の有馬氏は、それを基に紙に印刷したほうがミスを見つけやすいとしています。
またメディア情報研究者の深谷氏、およびトッパン・フォームズ株式会社は、紙と透過光ディスプレイのいずれが校正の精度と生産性が高まるかを実証実験し、この論説を支持する結論を導いています。しかしながら図書館情報研究者の松山氏らは、実証実験を通じて紙と透過光ディスプレイの違いでは同じ結果を得たものの、透過光電子媒体と反射光電子媒体(*1)を用いた実証実験では、媒体の違いによる校正の精度と生産性の差があるとは結論付けられず、むしろ媒体への慣れによるところが大きいのではないかと考察しています。

校正に関しては、紙媒体ではできないがコンピュータではできることもあります。校正履歴を残せることや関係者と校正履歴を共有できること、また表現が統一されているか検索をかけることなどです。そのため、私は紙に印刷した後、それを一読しながら赤ペンで修正箇所や統一性が気になるところに印をつけ、その後にコンピュータ上で校正履歴を残しながら、表現の統一性も確認するというやり方を取っています。

-----

ところで、以前は会議の資料を印刷し、紙袋に詰めてお客様先へ訪問していました。不足がないよう多めに印刷したものの、案の定資料が余り、何部かそのまま持ち帰り、シュレッダーにかけたことも多々ありました。懐かしい思い出ですが、もったいないですね。今はペーパーレス化が進み、資料を事前に電子メールでお渡しし、会議の際はプロジェクターに投影してお話することが多くなりました。特に最近は新型コロナウイルス感染拡大防止のためにお客様ともweb会議システムを利用した会議をする機会が増え、紙媒体の資料がない会議が当たり前になってきたように感じます。

物流現場でもペーパーレス化は進んでおり、作業にて利用していた出荷指示書が紙からハンディターミナルなどに代わり、配送においても受領書へのサインが電子サインに代わる動きが見られます。消耗品費の削減という理由もありますが、それ以外にも作業性の向上、書類の管理コストやリスクの低減、作業履歴の検索のしやすさがメリットとして考えられます。

紙にも紙の良いところがあります。
それぞれのメリット・デメリットを意識しながら、目的に合わせて媒体を選択することが望ましいでしょう。

(*1) Amazon Kindleや楽天koboなど、書籍を読むことを主目的とする電子媒体には反射型デバイスが採用されており、同実験ではKindleが用いられています。

(*2) タイトルの『紙ってる』は、ダイナパック株式会社が2019年6月に商標登録されており、その表現を参考にさせて頂きました。同社のホームページには非常に興味深い商品が多数紹介されており、何かの際に利用させて頂きたいと思います。

(文責:松室 伊織)

<参考資料>
マーシャル・マクルーハン『メディアの法則』NTT出版、2002年10月。
有馬哲夫『世界のしくみが見える「メディア論」―有馬哲夫教授の早大講義録』宝島社、2007年10月。
深谷拓吾、小野 進、水口実、中島青哉、林真彩子、安藤広志「PDFは紙を超えるか?:電子校正改善へ向けた、液晶ディスプレイにおける校正作業ミスの分析」『情報処理学会研究報告書Vol.2011-HCI-141 No.3』2011年1月。
松山麻珠、池内淳「表示媒体の違いが誤りを探す読みに与える影響」『情報処理学会研究報告書Vol.2015-HCI-162 No.2』2015年3月。
トッパン・フォームズ株式会社「TOPPAN FORMS News Release 「紙媒体のほうがディスプレーより理解できる」ダイレクトメールに関する脳科学実験」2013年7月。
https://www.toppan-f.co.jp/news/pdf/2013/0723.pdf

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

★掲載された記事の内容を許可なく転載することはご遠慮ください。

ロジ・ソリューションでは、物流に関するいろいろなご支援をさせていただいております。何かお困りのことがありましたらぜひお声掛けください。(お問い合せはこちら

(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第443号 2020年11月25日)

プロフィットセンター化できる最後のチャンス

■物流事業者が克服すべき課題
物流事業者は基本的に荷主より荷物を預かり、時間乖離を埋めるサービス(保管機能)、空間乖離を埋めるサービス(配送)を主軸に企業運営しています。この単機能サービスの提供は荷主の要望に従ってなされるものですが、物流事業者は荷主の成長に合わせて企業規模を拡大してきました。そのためどうしても荷主と物流事業者は主従関係になりやすく、荷主の要望に合わせることを第一義とする傾向があります。
物流事業者がこれからも事業成長するためには自らの価値がどこにあるのか、市場に合致したサービスを提供しているのか、ギャップがあるならそれを埋めるサービスは何なのかを再度考えてみる必要性があります。
成長著しいEC市場を対象とした物流:EC物流に取り掛かろうとしている物流事業者が増えてきています。事業化させるためには自社の核となる業務と価値を再認識し、市場を意識した上で新領域の事業に踏み出す必要があります。

■ポートフォリオマネジメント
事業のライフサイクルを問題児、花形製品、金のなる木、負け犬の順に位置づけ、マトリックスで表記。縦軸に市場成長率、横軸に市場マーケットシェアをとり、問題児、花形製品、金のなる木、負け犬のマトリックスに分け、金のなる木で生じた利益を問題児や花形商品に投資して、金のなる木へ育てようとする事業戦略がポートフォリオマネジメントです。
一般的な事業は、問題児(例えばEC物流)から出発し、花形製品を経て金のなる木になる。自社の事業が、今どこに位置しており、今後どのようにすべきか、又、成長分野への事業展開が行われているのか等の変化対応の経営戦略が必要となります。小売りにおけるEC化率が拡大を続けており、新しいサービスに参入しようとする物流事業者はトレンドを読み取る能力が必要となりますが、EC物流は荷主側のマーケティング戦略に大きくかかわってきますので、これまで以上に荷主側と物流事業者側のコミュニケーションが重要となっています。荷主の売上向上に寄与する物流、使い古された言葉ですが「物流のプロフィットセンター化」できる大きなチャンスともいえるのではないでしょうか。

(文責:釜屋 大和)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

★掲載された記事の内容を許可なく転載することはご遠慮ください。

ロジ・ソリューションでは、EC物流をはじめ物流に関するいろいろなご支援をさせていただいております。何かお困りのことがありましたらぜひお声掛けください。(お問い合わせはこちら

(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第442号 2020年11月11日)

「物流の人材を確保するために」(その1)

2020年9月1日付で厚労省が有効求人倍率を発表しました。2020年7月の有効求人倍率は1.08倍で、前年同月に比べて0.51ポイント低下。新規求人倍率は1.72倍で、前年同月に比べて0.65ポイント低下でした。新規求人数を産業別にみると、「宿泊業・飲食サービス業」が44.0%低下、「製造業」が40.9%低下、物流に関連する「運輸業・郵便業」は30.7%低下となっています。

600人の一斉解雇を発表した某タクシー会社が、一部メディアでも盛んに取り上げられましたが、労働力不足に悩んでいた企業が一転してこのような対応を取らざるを得ないほど、新型コロナによる現在の厳しい経済環境は、さまざまなところに波及しています。とはいえ、物流業界に目を移してみると、一時的に余剰となった人材を確保して労働力不足が解消されたかというと、決してそういうわけでもありません。ついこの前まで居酒屋のホールスタッフとして働いていたが、明日からトラックドライバーで頑張ろう、とはなかなかなれないのが現実です。

そもそも「人材」の定義とは、「才能があり、役に立つ人物。すなわち社会に貢献する個人のこと。」(ウィキペディア)であり、各企業においては、その基本的な概念の上に、各社が求める人材像をさまざま定義しています。一方、求職者は、自分の能力が、企業の求める人材になり得るとの希望を持って就職活動をしていることと思いますが、大学新卒者の3年以内の離職率は32%(2016年入社)という実態になっています。労働人口が減少する中、人材確保は大きな課題ですが、その前に離職をいかに抑止することができるかも、各企業にとってさらに重要な課題です。

離職理由のほとんどが、「個人的理由」(厚労省)であり、詳細は想像するしかありませんが、そのひとつにミスマッチが考えられます。特に物流業界においては、いまだに3Kの要素が色濃く残っている現場や、多くの業務をアナログで対応している仕事に従事してみて、初めてリアルな物流業界に触れたという方が、そのギャップに葛藤してしまうということが、しばしば起きているのではないでしょうか。しかし、個人的には、物流業界に限らず、自身の思いと就職先がマッチする確率のほうが低く、ミスマッチだと感じながらも、まずは与えられた仕事や役割の中で、どのように企業と自身の関係性が構築されていくのかが大事になってくるのではないかと思っています。

そこで、その関係性における大切な要素のひとつに「エンゲージメント」があります。一般的には「約束」や「契約」という意味合いもありますが、人事的な側面からは、社員の会社に対する「愛着心」や「思い入れ」を表すものと解釈されています。より踏み込んだ考え方としては、「個人と組織が一体となり、双方の成長に貢献しあう関係」のことをいいます。次回は、この「エンゲージメント」について考えてみたいと思います。

(文責:貞 勝利)

参考: 「e-Start」政府統計の総合窓内サイトhttps://www.e-stat.go.jp/

ロジ・ソリューションでは、物流に関するいろいろなご支援をさせていただいております。何かお困りのことがありましたらぜひお声掛けください。(お問い合せはこちら

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★掲載された記事の内容を許可なく転載することはご遠慮ください。

(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第441号 2020年10月28日)

物流用語

物流に関連して使われている言葉の中には、独特のものがあります。ロジ・ソリューションのメールマガジンでも、「坪」「才」などが今でも検索されていて、多くの方が調べていることがわかります。
「坪」や「才」は、メートル法の前に使われていた尺貫法の単位ですが、今も使われている状態です。今回はそんな物流用語について、取り上げてみたいと思います。
物流の機能の「荷役」は何と読みますか?
「にえき」と読んでいる方がまれにいらっしゃるようですが、物流では「にやく」です。これは、日本産業規格の物流用語(JIS Z 0111:2006)にあり、定義は「物流過程における物資の積卸し、運搬、積付け、ピッキング、仕分け、荷ぞろえなどの作業及びこれに付随する作業。マテリアルハンドリングともいう。」となっています。
この中に「物資の積卸し」とありますが、「積降ろし」もしくは「積み下ろし」を使われる方もいらっしゃると思います。一般的に「卸」という言葉からは、卸売事業者が小売事業者に商品を売ることをイメージしますので違うように感じます。一方、標準貨物自動車運送約款では、「積付け、積込み又は取卸し」という言葉が使われており、国土交通省の資料でも「取卸し」が使われています。こちらは「取降ろし」や「取下ろし」ではなく、「取卸し」を使ったほうが物流業界の多くの方に違和感が少ないのではないでしょうか。
特別積合せなどで顧客から貨物を集めることを「集荷」「集貨」のどちらを使われていますか?
「しゅうか」の漢字は、標準貨物自動車運送約款では、第十七条で「集貨」が次のように使われています。「当店は、送り状に記載され、又は通知された集貨先又は発送地において荷送人又は荷送人の指定する者から貨物を受取り、送り状に記載され、又は通知された配達先又は到達地において荷受人又は荷受人の指定する者に貨物を引き渡します。」約款は契約書を補完するものであり、「集貨」を使うべきではないかと考えています。
3PL(サードパーティ・ロジスティクス)も登場してから年月が経ち、物流用語として一般的に使われるようになってきました。しかしながら、理解はまちまちです。総合物流施策大綱には「荷主企業に代わって、最も効率的な物流戦略の企画立案や物流システムの構築の提案を行い、かつ、それを包括的に受託し、実行すること。荷主でもない、単なる運送事業者でもない、第三者として、アウトソーシング化の流れの中で物流部門を代行し、高度の物流サービスを提供すること。」と定義されています。物流の単なるアウトソーシングが3PLでないことは明白ですが、そのように使っている場合があることも事実です。
いくつか例をあげましたが、そのほかにもいろいろな物流業界特有の用語がありますので、正しい内容を理解しておくことが必要です。

(文責:中谷 祐治

ロジ・ソリューションでは、物流に関するいろいろなご支援をさせていただいております。何かお困りのことがありましたらぜひお声掛けください。(お問い合わせはこちら

物流全般のことは、「基本がわかる実践できる 物流(ロジスティクス)の基本教科書」(くわしくはこちら)にいろいろ取り上げています。また、サードパーティロジスティクスについては、「間違いだらけの物流業務委託」(くわしくはこちら)にさらに詳しく解説しております。よろしければご参考にしていただけましたらと思います。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

★掲載された記事の内容を許可なく転載することはご遠慮ください。

 

(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第440号 2020年10月14日)

コロナ禍でも業績を伸ばす物流企業の現場から学んだこと

コロナウィルスの影響による逆風に負けず業績を伸ばす会社とは、どんな特徴があるのでしょうか。また、今後コロナウィルスは企業にどれほどのマイナス影響を与えるのでしょうか。帝国データバンクによると、コロナウィルスにより業績にマイナスの影響があると見込んでいる企業は82.7%にものぼります。さらに、マイナスの影響があると見込む企業を業界別でみると、「運輸・倉庫」が87.5%でトップとなっており、かなり厳しい見方をしています。

しかし、そんな逆境の中、仕事が増え、業績を伸ばしている物流企業もあります。今回はそんな企業の現場をレポートします。

今回ご紹介するのは株式会社柳川合同(以降柳川合同)のエルゴヒューマンテクニカルセンターです。柳川合同は主に家具・家電・一般物輸送を事業としており、今回は「家具輸送」の領域に注目したいと思います。

柳川合同の杉戸営業所では、高機能で有名なエルゴヒューマンのオフィスチェアの輸送業務を担っています。また輸送業務に留まらず、カスタマーセンター業務や修理受付およびパーツの販売も行っています。

コロナウィルスの影響により、仕事でテレワークを採用する企業が増加し、テレワーク用の机や椅子、ヘッドセット等の需要が増えました。それに伴い、過去に購入した椅子の修理やメンテナンスの依頼も増加しており、柳川合同の収益の伸長に貢献しています。

修理は原則的に杉戸営業所で行っていますが、訪問修理サービスも行っています。修理費用が高額になる場合には、柳川合同が在庫を持つアウトレット品をお客様に提案することもあります。新品とそん色ない品質のオフィスチェアをお得に購入することができるため、顧客からも非常に好評とのことでした。

また、過去の修理依頼があった顧客宛にアウトレット品に関する最新情報をメルマガで配信するなど、プロモーション活動にも熱心に取り組んでいます。

今後はさらにテレワークが世間に浸透すると考えられ、それに伴いオフィスチェアを購入する顧客も増加することが予想されます。購入者が増えれば顧客情報も増え、より多くの顧客とメール等による継続的な接点を持てるようになります。また購入者が増えれば修理の依頼も増えるため、修理サービスによる売上が発生するという良い好循環が生まれるのではないでしょうか。柳川合同はさらにアウトレット品の販売に力を入れる予定で商品のラインナップを増やす構想もあるようです。また、アウトレット品専用の販売サイトの作成も検討しており、顧客にとってより利便性の高いサービスの構築を目指しているようでした。

柳川合同はコロナウィルスによる逆風に負けず、自社の強みと世間の需要を上手く一致させ、業績を伸ばしている好例ではないでしょうか。各企業がコロナウィルスによる悪影響に立ち向かっていますが、未だ収束の兆しはみえていません。そんな中で私は物流コンサルタントとして、この危機的状況を打破する提案ができるよう日々精進したいと考えています。

(文責:三木 祥裕)

ロジ・ソリューションでは、物流に関するいろいろなご支援をさせていただいております。何かお困りのことがありましたらぜひお声掛けください。(お問い合せはこちら

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

★掲載された記事の内容を許可なく転載することはご遠慮ください。

(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第439号 2020年9月30日)