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「評価する側、される側」

皆さんは、物流センターの視察や調査に行くことはあるでしょうか。
物流のいろいろなプロジェクトにおいて、現状把握は大切なプロセスの一つです。われわれも「物流現場診断」や業務フロー作成、作業の把握、生産性の把握等、さまざまな物流センターへ視察や調査に行きます。
「物流現場診断」とは、視察やヒアリングを通して、「診断シート」の項目をチェックしセンターのレベル感の把握や改善方向性を見つけるものです。われわれが物流現場診断を行うときのチェック項目には、生産性や品質を高める内容もありますが、センターを訪れたとき印象に残るのは、5Sや作業員の行動です。物流事業者の選定の際に荷主が物流センターへ視察する際も「あのセンターは綺麗だった」「挨拶が気持ちよかった」という感想はよく上がる内容であり、教育がしっかり行き届いているセンターかどうかのひとつの評価ポイントになります。

ふさわしい身だしなみや態度をとることがルールの一つになっている企業も多いことでしょう。それは、ただの身だしなみではなく、そのルールが労働安全衛生規制等、法律上で必要な場合や安全や品質を保つために必要なことだからです。5Sの説明でよくお話しさせていただいているのは、「5Sはただの整理整頓ではなく、安全や品質の基盤である」ということです。

われわれコンサルタントや視察のメンバーは物流センターを「訪れる」側ですが、同じことが言えるのではないでしょうか。ふさわしい服装、靴、挨拶もこちらから行う等、基本的なことですが大切なことです。例えば、視察先の物流センターでヘルメットを着用するように渡されたとします。普段かぶらないとなかなか慣れないものですが、あご紐を正しく締めているでしょうか。物流センターで働いている方へヒアリングする機会や一緒にプロジェクトを進めるようなこともあるでしょう。あご紐を長く下げながら「改善しましょう」と言ったところで説得力がありません。視察をしているつもりが、見られている。評価をするつもりが、評価されているのかもしれません。
「物流センターを訪れるものとしてふさわしい態度をとらなくてはならない」と日ごろから心がけています。

(文責:真壁 由香)

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第444号 2020年12月9日)

 

紙ってる?

お仕事で資料を作成した後は、紙に印刷してチェックしたいという方も多いと思います。
私もその1人で、紙のほうがミスに気付きやすいです(あくまで個人の見解です)。

資料のチェックを紙媒体ですべきか、電子媒体ですべきかについて、複数の先行研究があります。
メディア研究者のマーシャル・マクルーハン氏によると、人間が紙の文字を読む場合、それは反射光で文字を読むことになるため、人間は脳生理学的に分析モード、心理的には批判モードになり、他方においてディスプレイから読む場合、それは透過光で文字を読むことになるため、人間はパターン認識モード、くつろぎモードになるとしています。同じくメディア研究者の有馬氏は、それを基に紙に印刷したほうがミスを見つけやすいとしています。
またメディア情報研究者の深谷氏、およびトッパン・フォームズ株式会社は、紙と透過光ディスプレイのいずれが校正の精度と生産性が高まるかを実証実験し、この論説を支持する結論を導いています。しかしながら図書館情報研究者の松山氏らは、実証実験を通じて紙と透過光ディスプレイの違いでは同じ結果を得たものの、透過光電子媒体と反射光電子媒体(*1)を用いた実証実験では、媒体の違いによる校正の精度と生産性の差があるとは結論付けられず、むしろ媒体への慣れによるところが大きいのではないかと考察しています。

校正に関しては、紙媒体ではできないがコンピュータではできることもあります。校正履歴を残せることや関係者と校正履歴を共有できること、また表現が統一されているか検索をかけることなどです。そのため、私は紙に印刷した後、それを一読しながら赤ペンで修正箇所や統一性が気になるところに印をつけ、その後にコンピュータ上で校正履歴を残しながら、表現の統一性も確認するというやり方を取っています。

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ところで、以前は会議の資料を印刷し、紙袋に詰めてお客様先へ訪問していました。不足がないよう多めに印刷したものの、案の定資料が余り、何部かそのまま持ち帰り、シュレッダーにかけたことも多々ありました。懐かしい思い出ですが、もったいないですね。今はペーパーレス化が進み、資料を事前に電子メールでお渡しし、会議の際はプロジェクターに投影してお話することが多くなりました。特に最近は新型コロナウイルス感染拡大防止のためにお客様ともweb会議システムを利用した会議をする機会が増え、紙媒体の資料がない会議が当たり前になってきたように感じます。

物流現場でもペーパーレス化は進んでおり、作業にて利用していた出荷指示書が紙からハンディターミナルなどに代わり、配送においても受領書へのサインが電子サインに代わる動きが見られます。消耗品費の削減という理由もありますが、それ以外にも作業性の向上、書類の管理コストやリスクの低減、作業履歴の検索のしやすさがメリットとして考えられます。

紙にも紙の良いところがあります。
それぞれのメリット・デメリットを意識しながら、目的に合わせて媒体を選択することが望ましいでしょう。

(*1) Amazon Kindleや楽天koboなど、書籍を読むことを主目的とする電子媒体には反射型デバイスが採用されており、同実験ではKindleが用いられています。

(*2) タイトルの『紙ってる』は、ダイナパック株式会社が2019年6月に商標登録されており、その表現を参考にさせて頂きました。同社のホームページには非常に興味深い商品が多数紹介されており、何かの際に利用させて頂きたいと思います。

(文責:松室 伊織)

<参考資料>
マーシャル・マクルーハン『メディアの法則』NTT出版、2002年10月。
有馬哲夫『世界のしくみが見える「メディア論」―有馬哲夫教授の早大講義録』宝島社、2007年10月。
深谷拓吾、小野 進、水口実、中島青哉、林真彩子、安藤広志「PDFは紙を超えるか?:電子校正改善へ向けた、液晶ディスプレイにおける校正作業ミスの分析」『情報処理学会研究報告書Vol.2011-HCI-141 No.3』2011年1月。
松山麻珠、池内淳「表示媒体の違いが誤りを探す読みに与える影響」『情報処理学会研究報告書Vol.2015-HCI-162 No.2』2015年3月。
トッパン・フォームズ株式会社「TOPPAN FORMS News Release 「紙媒体のほうがディスプレーより理解できる」ダイレクトメールに関する脳科学実験」2013年7月。
https://www.toppan-f.co.jp/news/pdf/2013/0723.pdf

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第443号 2020年11月25日)

プロフィットセンター化できる最後のチャンス

■物流事業者が克服すべき課題
物流事業者は基本的に荷主より荷物を預かり、時間乖離を埋めるサービス(保管機能)、空間乖離を埋めるサービス(配送)を主軸に企業運営しています。この単機能サービスの提供は荷主の要望に従ってなされるものですが、物流事業者は荷主の成長に合わせて企業規模を拡大してきました。そのためどうしても荷主と物流事業者は主従関係になりやすく、荷主の要望に合わせることを第一義とする傾向があります。
物流事業者がこれからも事業成長するためには自らの価値がどこにあるのか、市場に合致したサービスを提供しているのか、ギャップがあるならそれを埋めるサービスは何なのかを再度考えてみる必要性があります。
成長著しいEC市場を対象とした物流:EC物流に取り掛かろうとしている物流事業者が増えてきています。事業化させるためには自社の核となる業務と価値を再認識し、市場を意識した上で新領域の事業に踏み出す必要があります。

■ポートフォリオマネジメント
事業のライフサイクルを問題児、花形製品、金のなる木、負け犬の順に位置づけ、マトリックスで表記。縦軸に市場成長率、横軸に市場マーケットシェアをとり、問題児、花形製品、金のなる木、負け犬のマトリックスに分け、金のなる木で生じた利益を問題児や花形商品に投資して、金のなる木へ育てようとする事業戦略がポートフォリオマネジメントです。
一般的な事業は、問題児(例えばEC物流)から出発し、花形製品を経て金のなる木になる。自社の事業が、今どこに位置しており、今後どのようにすべきか、又、成長分野への事業展開が行われているのか等の変化対応の経営戦略が必要となります。小売りにおけるEC化率が拡大を続けており、新しいサービスに参入しようとする物流事業者はトレンドを読み取る能力が必要となりますが、EC物流は荷主側のマーケティング戦略に大きくかかわってきますので、これまで以上に荷主側と物流事業者側のコミュニケーションが重要となっています。荷主の売上向上に寄与する物流、使い古された言葉ですが「物流のプロフィットセンター化」できる大きなチャンスともいえるのではないでしょうか。

(文責:釜屋 大和)

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第442号 2020年11月11日)

「物流の人材を確保するために」(その1)

2020年9月1日付で厚労省が有効求人倍率を発表しました。2020年7月の有効求人倍率は1.08倍で、前年同月に比べて0.51ポイント低下。新規求人倍率は1.72倍で、前年同月に比べて0.65ポイント低下でした。新規求人数を産業別にみると、「宿泊業・飲食サービス業」が44.0%低下、「製造業」が40.9%低下、物流に関連する「運輸業・郵便業」は30.7%低下となっています。

600人の一斉解雇を発表した某タクシー会社が、一部メディアでも盛んに取り上げられましたが、労働力不足に悩んでいた企業が一転してこのような対応を取らざるを得ないほど、新型コロナによる現在の厳しい経済環境は、さまざまなところに波及しています。とはいえ、物流業界に目を移してみると、一時的に余剰となった人材を確保して労働力不足が解消されたかというと、決してそういうわけでもありません。ついこの前まで居酒屋のホールスタッフとして働いていたが、明日からトラックドライバーで頑張ろう、とはなかなかなれないのが現実です。

そもそも「人材」の定義とは、「才能があり、役に立つ人物。すなわち社会に貢献する個人のこと。」(ウィキペディア)であり、各企業においては、その基本的な概念の上に、各社が求める人材像をさまざま定義しています。一方、求職者は、自分の能力が、企業の求める人材になり得るとの希望を持って就職活動をしていることと思いますが、大学新卒者の3年以内の離職率は32%(2016年入社)という実態になっています。労働人口が減少する中、人材確保は大きな課題ですが、その前に離職をいかに抑止することができるかも、各企業にとってさらに重要な課題です。

離職理由のほとんどが、「個人的理由」(厚労省)であり、詳細は想像するしかありませんが、そのひとつにミスマッチが考えられます。特に物流業界においては、いまだに3Kの要素が色濃く残っている現場や、多くの業務をアナログで対応している仕事に従事してみて、初めてリアルな物流業界に触れたという方が、そのギャップに葛藤してしまうということが、しばしば起きているのではないでしょうか。しかし、個人的には、物流業界に限らず、自身の思いと就職先がマッチする確率のほうが低く、ミスマッチだと感じながらも、まずは与えられた仕事や役割の中で、どのように企業と自身の関係性が構築されていくのかが大事になってくるのではないかと思っています。

そこで、その関係性における大切な要素のひとつに「エンゲージメント」があります。一般的には「約束」や「契約」という意味合いもありますが、人事的な側面からは、社員の会社に対する「愛着心」や「思い入れ」を表すものと解釈されています。より踏み込んだ考え方としては、「個人と組織が一体となり、双方の成長に貢献しあう関係」のことをいいます。次回は、この「エンゲージメント」について考えてみたいと思います。

(文責:貞 勝利)

参考: 「e-Start」政府統計の総合窓内サイトhttps://www.e-stat.go.jp/

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第441号 2020年10月28日)

物流用語

物流に関連して使われている言葉の中には、独特のものがあります。ロジ・ソリューションのメールマガジンでも、「坪」「才」などが今でも検索されていて、多くの方が調べていることがわかります。
「坪」や「才」は、メートル法の前に使われていた尺貫法の単位ですが、今も使われている状態です。今回はそんな物流用語について、取り上げてみたいと思います。
物流の機能の「荷役」は何と読みますか?
「にえき」と読んでいる方がまれにいらっしゃるようですが、物流では「にやく」です。これは、日本産業規格の物流用語(JIS Z 0111:2006)にあり、定義は「物流過程における物資の積卸し、運搬、積付け、ピッキング、仕分け、荷ぞろえなどの作業及びこれに付随する作業。マテリアルハンドリングともいう。」となっています。
この中に「物資の積卸し」とありますが、「積降ろし」もしくは「積み下ろし」を使われる方もいらっしゃると思います。一般的に「卸」という言葉からは、卸売事業者が小売事業者に商品を売ることをイメージしますので違うように感じます。一方、標準貨物自動車運送約款では、「積付け、積込み又は取卸し」という言葉が使われており、国土交通省の資料でも「取卸し」が使われています。こちらは「取降ろし」や「取下ろし」ではなく、「取卸し」を使ったほうが物流業界の多くの方に違和感が少ないのではないでしょうか。
特別積合せなどで顧客から貨物を集めることを「集荷」「集貨」のどちらを使われていますか?
「しゅうか」の漢字は、標準貨物自動車運送約款では、第十七条で「集貨」が次のように使われています。「当店は、送り状に記載され、又は通知された集貨先又は発送地において荷送人又は荷送人の指定する者から貨物を受取り、送り状に記載され、又は通知された配達先又は到達地において荷受人又は荷受人の指定する者に貨物を引き渡します。」約款は契約書を補完するものであり、「集貨」を使うべきではないかと考えています。
3PL(サードパーティ・ロジスティクス)も登場してから年月が経ち、物流用語として一般的に使われるようになってきました。しかしながら、理解はまちまちです。総合物流施策大綱には「荷主企業に代わって、最も効率的な物流戦略の企画立案や物流システムの構築の提案を行い、かつ、それを包括的に受託し、実行すること。荷主でもない、単なる運送事業者でもない、第三者として、アウトソーシング化の流れの中で物流部門を代行し、高度の物流サービスを提供すること。」と定義されています。物流の単なるアウトソーシングが3PLでないことは明白ですが、そのように使っている場合があることも事実です。
いくつか例をあげましたが、そのほかにもいろいろな物流業界特有の用語がありますので、正しい内容を理解しておくことが必要です。

(文責:中谷 祐治

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物流全般のことは、「基本がわかる実践できる 物流(ロジスティクス)の基本教科書」(くわしくはこちら)にいろいろ取り上げています。また、サードパーティロジスティクスについては、「間違いだらけの物流業務委託」(くわしくはこちら)にさらに詳しく解説しております。よろしければご参考にしていただけましたらと思います。

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第440号 2020年10月14日)

コロナ禍でも業績を伸ばす物流企業の現場から学んだこと

コロナウィルスの影響による逆風に負けず業績を伸ばす会社とは、どんな特徴があるのでしょうか。また、今後コロナウィルスは企業にどれほどのマイナス影響を与えるのでしょうか。帝国データバンクによると、コロナウィルスにより業績にマイナスの影響があると見込んでいる企業は82.7%にものぼります。さらに、マイナスの影響があると見込む企業を業界別でみると、「運輸・倉庫」が87.5%でトップとなっており、かなり厳しい見方をしています。

しかし、そんな逆境の中、仕事が増え、業績を伸ばしている物流企業もあります。今回はそんな企業の現場をレポートします。

今回ご紹介するのは株式会社柳川合同(以降柳川合同)のエルゴヒューマンテクニカルセンターです。柳川合同は主に家具・家電・一般物輸送を事業としており、今回は「家具輸送」の領域に注目したいと思います。

柳川合同の杉戸営業所では、高機能で有名なエルゴヒューマンのオフィスチェアの輸送業務を担っています。また輸送業務に留まらず、カスタマーセンター業務や修理受付およびパーツの販売も行っています。

コロナウィルスの影響により、仕事でテレワークを採用する企業が増加し、テレワーク用の机や椅子、ヘッドセット等の需要が増えました。それに伴い、過去に購入した椅子の修理やメンテナンスの依頼も増加しており、柳川合同の収益の伸長に貢献しています。

修理は原則的に杉戸営業所で行っていますが、訪問修理サービスも行っています。修理費用が高額になる場合には、柳川合同が在庫を持つアウトレット品をお客様に提案することもあります。新品とそん色ない品質のオフィスチェアをお得に購入することができるため、顧客からも非常に好評とのことでした。

また、過去の修理依頼があった顧客宛にアウトレット品に関する最新情報をメルマガで配信するなど、プロモーション活動にも熱心に取り組んでいます。

今後はさらにテレワークが世間に浸透すると考えられ、それに伴いオフィスチェアを購入する顧客も増加することが予想されます。購入者が増えれば顧客情報も増え、より多くの顧客とメール等による継続的な接点を持てるようになります。また購入者が増えれば修理の依頼も増えるため、修理サービスによる売上が発生するという良い好循環が生まれるのではないでしょうか。柳川合同はさらにアウトレット品の販売に力を入れる予定で商品のラインナップを増やす構想もあるようです。また、アウトレット品専用の販売サイトの作成も検討しており、顧客にとってより利便性の高いサービスの構築を目指しているようでした。

柳川合同はコロナウィルスによる逆風に負けず、自社の強みと世間の需要を上手く一致させ、業績を伸ばしている好例ではないでしょうか。各企業がコロナウィルスによる悪影響に立ち向かっていますが、未だ収束の兆しはみえていません。そんな中で私は物流コンサルタントとして、この危機的状況を打破する提案ができるよう日々精進したいと考えています。

(文責:三木 祥裕)

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第439号 2020年9月30日)

物流コンサルティングの現場で「伝える」を考える。4

(3はこちら)

前回は輸送コストに関する具体例を引き合いに出しながら、横の論理についてご説明しました。今回は「論理的か否かは誰が決めるのか」についてご説明します。これまでご案内した通り、話が上手く伝わらない三大原因のうち2つは、縦・横の論理がつながっていないことでした。残る原因は相手に十分に寄り添えていないことです。どんなに堅牢に縦・横の論理を構築しても、相手が理解しなければ何の意味もありません。なぜならば論理的か否かを決めるのは、あくまでも相手側だからです。

では「論理的に説明しているのに、相手がなかなか理解してくれない」という例を出しました。実際に同じような経験をされた方も少なくないのではないでしょうか。自分の論理を信奉しすぎると、相手を受容する余裕がなくなってしまいます。私が顧客やプロジェクトメンバーとのコミュニケーションの際に、常に肝に銘じている言葉があります。それは、「受容・共感なしの議論は単なる動物によるバトルである。」という言葉です。コミュニケーションにおける受容・共感の重要性を端的に示しています。大学院での授業で田中道昭先生から教えていただいたフレーズですが、いまだに当時の強烈な印象が残っています。

皆さんも論理の構築に夢中になるあまり、目の前の相手を受容できなくなっていないでしょうか。これまでも述べた通り、「上手く伝えること」と「上手く聞くこと」は表裏一体です。上手く伝わらないと感じたときこそ、上手く聞くことを意識してみてはいかがでしょうか。本稿をもって『物流コンサルティングの現場で「伝える」を考える。』は完結となります。物流コンサルティングの現場で「伝える」を考える。1でもお伝えしましたが、本稿の存在が転入者の方、そして転入者の受け入れに悩む方の一助となれば幸いです。

(文責:野尻 達郎)

【参考資料】
『イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」』安宅和人,英治出版,2020年1月27日)
『経営戦略4.0図鑑』田中道昭,SBクリエイティブ,2020年4月10日

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第438号 2020年9月16日)

物流コンサルティングの現場で「伝える」を考える。3

(2はこちら)

前回は有名なことわざを引き合いに出しながら、縦の論理についてご説明しました。今回は横の論理についてご説明します。前稿の冒頭でご案内した通り、話が上手く伝わらない原因の2つめは横の論理がつながっていないことです。相手から「本当にそれだけなのでしょうか。」のような反応をされた場合は、基本的に横の論理が不足している場合がほとんどです。具体的には話した内容が全体をカバーできていない、漏れやダブりがあるということでしょうか。

なかなかイメージできない方もいると思うので、少し具体例を用いて説明したいと思います。昨今、輸送コストの上昇は数多くのメディアに取り上げられています。事実として、日本銀行による最新(2020年5月26日)の企業向けサービス価格指数で道路貨物輸送の価格指数は105.9(2015年平均=100)となっています。そういった環境下で、もし読者のみなさんが物流事業者の営業担当者だとしたら、荷主企業に料金値上げを交渉する際にどのような情報を準備すれば良いでしょうか。

人手不足による人件費高騰だけで十分でしょうか。全日本トラック協会による経営分析報告書を見ると、一般貨物運送事業における営業費用のうち人件費が占める割合は48%程度です。つまり、人手不足による人件費高騰だけでは、その他の52%がカバーできていない(漏れがある)ことになります。荷主企業担当者あるいはその上席者にあたる購買決定者に納得感のある説明をするためには、燃料油脂費や事業用自動車の価格の推移についても目を光らせる必要があります。

ここまでは輸送コストに関する具体例を用いて横の論理について説明しました。自分が知識のある物流領域の問題であれば、漏れなくダブりなく(MECE)考えることは比較的容易かもしれません。しかしながら、自社の環境分析や競争戦略の立案になると難易度が上がります。そういった場合はフレームワークを用いることで比較的容易にMECEを作ることができます。フレームワークとは、具体的にマーケティングの5Pや環境分析の3Cなどが挙げられます。ただし、フレームワークはあくまでもツールに過ぎないため、目的や状況を踏まえて活用を検討する必要があります。

横の論理に関する説明は以上です。次稿では話が伝わらない3大原因の最後の一つについてお伝えしたいと思います。

(文責:野尻 達郎)

【参考資料】
『イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」』安宅和人,英治出版,2020年1月27日)

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第437号 2020年9月2日)

教育プログラムの見直し

ロジ・ソリューションは設立から12年がたち、グループ企業だけでなく、グループ外の企業にもコンサルテーションを行わせていただいています。そのテーマは、物流現場のみだけでなく物流の戦略策定支援等、幅広く展開してきています。このような幅広いテーマでいろいろなご支援をするため、メンバーにはさまざまな能力が求められます。改めて、求める物流コンサルタントとはどのような人材なのか、現状のレベルはどの程度なのか、そのギャップを埋めるには何をしたら良いのかについて、自分たちの現状を見つめ直し、メンバーのレベルアップを図ろうとしています。

物流のプロジェクトを行っているとき、事務員の教育、作業員の教育、トラック運転者の教育の課題がでてきます。なかでもトラック運転者の教育に話が及ぶのは、事故率等が高い場合です。

全日本トラック協会の令和元年8月の『事業用貨物自動車の交通事故の発生状況』で事業用貨物自動車の法令違反別の死傷事故件数及び構成率をみると、漫然運転、脇見運転、動静不注視、安全不確認といった注意不足や慣れからくるものが上位にきています。また、運転者の運転免許経過年数別・運転者年齢別の死傷事故件数をみると、運転者の運転免許経過年数が10年以上、年齢が45~49歳が多くなっています。全体的な運転者の数自体40~50代が多いので一概には言えないかもしれませんが、運転免許経過年数が10年以上であり、「いつも大丈夫だから、今回も大丈夫」など注意を怠った慣れが発生しているのかもしれません。

先日、私が関わったプロジェクトでも事故件数や事故原因を分析したところ、不注意や慣れが原因の多くを占めていました。対象の企業に教育プログラムがないわけではありませんが、今後教育プログラムの見直しや管理体制の強化が必要なのは言うまでもありません。

コロナウイルス感染症の影響で配送サービス内容が変化し、運転者の教育プログラムを見直していく企業もあろうかと思います。

みなさんの現状はいかがでしょうか。

(文責:真壁 由香)

【参考資料】公益社団法人 全日本トラック協会『事業用貨物自動車の交通事故の発生状況』令和元年8月

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第436号 2020年8月19日)

デザイン・フォー・ロジスティクスは大規模建築物でも

私が以前住んでいた街の某大型ショッピングモールでは、公道から立体駐車場入口へ向かう車路の途中を左折するとトラック荷捌き場がありました。逆に、立体駐車場出口から公道へ向かう車路へはトラックは右折で合流しなければなりません。人気のあるショッピングセンターだったので乗用車の列が絶えることは少なく、納品を終えたであろうトラックがなかなか合流できず停車している場面に幾度となく遭遇しました。もちろん、同業者として先を譲りました。

デザイン・フォー・ロジスティクスという言葉はサプライチェーンに適した製品設計や梱包・包装に関することが中心でしたが、その考え方は商業施設等の大規模建築物についても議論がなされています。例えば、国土交通省が2017年3月に公表した『物流を考慮した建築物の設計・運用について~大規模建築物に係る物流の円滑化の手引き~』がそれに当たります。

同書では、冒頭で物流業界の労働力不足やサービスレベルアップに基づく作業負荷増から議論を進めているものの、大規模建築物の計画・設計・運用でデザイン・フォー・ロジスティクスを考慮することによる影響として以下を挙げています。

(1)建築物の利用者の利便性・快適性の向上
(2)メンテナンスや入居者交代に伴う工事等へのより柔軟な対応
(3)搬入される荷物の紛失防止やセキュリティ確保
(4)路上駐車等による道路交通への支障防止及び見通しが阻害されないことによる安全性の向上
(5)路上駐車等を抑制することによる良好な景観の形成などのまちづくりとの調和等

これら全項目において大規模建築物の所有者、入居者及び利用者に資するものであり、物流事業者のみが資するわけではないという視点で議論されているように感じます。

次に、設計上の考慮事項や運用による効率化策として以下についてその方法が明示されています。

・設計時の考慮事項

(1)車路(幅、動線)
(2)駐車マスの大きさ
(3)車路・駐車マスの高さ
(4)荷捌きスペース、館内受付・一括荷受けスペース
(5)館内動線
(6)貨物用
(7)駐車マスの必要数

・運用による効率化策

(1)館内配送の共同化
(2)納品時間の指定・調整
(3)一括納品
(4)その他(駐車場運営、情報管理システム)

また、実務へ落とし込むツールとして物流検討フローとチェックリストも添付されており、大規模建築物の計画・設計・運用時での活用が期待されます(ただし、計画の最初が発生する物流量の推計であり、難易度も影響度もともに高そうな印象を受けます)。

もともとは別の目的であるとしても、結果としてこのような施策は物流事業者にも資することになります。物流業界の労働力不足が社会全体で問題視される中、こうした『デザイン・フォー・ロジスティクス』の動きが今後も続くことを期待したいです。

(文責:松室 伊織)

参考:国土交通省総合政策局物流政策課『物流を考慮した建築物の設計・運用について~大規模建築物に係る物流の円滑化の手引き~』(2017年3月)https://www.mlit.go.jp/common/001198147.pdf

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物流の一機能である情報システム

物流が物的流通と表現されていた時代、物流は5つの機能(保管、輸送、荷役、包装、流通加工)から構成しているとされていました。物流という用語が一般的に世間に普及し、事務業務の効率化にコンピュータが用いられることが多くなり、情報システムも物流の一機能として加わることとなりました。当初は保管費用や配送費用など請求費用の自動計算、入出庫・在庫数量のシステム管理などはホストコンピュータ端末を利用して行われていました。また通信ネットワークの進展により、荷主と物流事業者のデータ連携が電子データ交換(EDI:Electronic Data Interchange)によって自動的に行われることになりました。紙の伝票ベースでやり取りしていた従来の方式に比べ、事務における業務負荷の軽減がなされました。

その後、第3次産業革命と呼ばれる“情報システムを用いた自動化”の波が物流にも訪れ、現場作業の効率化が大きく進むこととなります。クライアントサーバ型の物流情報システムソリューションとして代表的な倉庫管理システム(WMS:Warehouse Management System)、輸配送管理システム(TMS:Transportation Management System)の現場導入が進み、荷役作業、保管作業、輸送における作業の効率化がなされてきました。

これら情報システムの導入・進展は物流現場管理の強化にもつながり、単なる作業の効率化だけではなく現場生産性の改善、現場作業進捗の見える化などを実現しました。ただし、これらはあくまで“物流”の範囲内での管理強化であり、3PL(Third Party Logistics)事業者や物流をSCM(Supply Chain Management)において重要な位置づけと考えている企業は物流の高度化のためには、さらに物流情報システムについて知識を深める必要があります。製造業における調達管理システム、生産管理システム、販売業における販売管理システム、EC事業者であれば受発注管理システム(OMS:Order Management System)などを理解し、物流システムとどのようなデータをどのタイミングでやり取りをしているかを知っておくことが重要です。

(文責:釜屋 大和)

弊社では物流ITの急速な発展と変化に対応するため、「物流ITアドバイザリーサービス」を提供しています。どうぞご活用ください。

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第434号 2020年7月22日)

ミクロな視点で考えるロジスティクス戦略

外出自粛が常態化する中で、私が住む地域では、運動不足解消のためにウォーキングやランニングを始めている人が増えているように見受けられます。東京都心とは違い、のどかな風景が広がる、いわゆる「田舎」といわれるような地域だからかもしれません。ですので、普段の生活では、食事を楽しむ豊富なお店の数や、お洒落なカフェのようなものとは無縁と思っていました。ところが、私自身も頻繁にウォーキングをするようになり、いろいろなコースを歩いて散策していると、思わぬ場所にレストラン(というよりお食事処)を見つけたり、奇麗なガーデニングのお宅の前を通りかかったり、歴史を感じる建築物に出くわしたりと、驚くほど新しい発見が多く、楽しい日課の一つになっています。おそらく、ウォーキングを始めた多くの方がこのような体験をしているのではないでしょうか。

以前にも紹介したことがある星野リゾート代表の星野佳路氏は、コロナ影響によって失われた、インバウンドによる観光需要が完全に回復するのは、1年程度かかるのではないかとしながら、「マイクロツーリズム」という企画を提案しています。これは、自分の住む地元地域から10分、30分、1時間程度で移動できる周囲の観光を楽しもうというものです。そのメリットとして、一つ目はもともとそれなりの需要があること。二つ目は県を跨がないので、ウィルス拡散につながらない。三つ目は観光産業に従事する人材の雇用を維持できる。最後の四つ目は、地元の良さを改めて発見することだとしています。これまで観光といえば、インバウンドに期待し、どちらかといえば国内におけるさまざまな観光地や遠い海外に目を向けてきました。しかし、この最後のメリットは、そのうち回復すると考えられるインバウンド需要に対して、日本の各地を訪れた観光客に、地元をよく知る方々が増えていることで、これまで以上に日本の魅力を発信できるということにつながるというのです。

確かに、コロナ影響前にみられたインバウンド需要には変化が見られました。いわゆる「モノ」消費から「コト」消費への変化で、日本のさまざまな地域を訪れて、日本の文化に直接触れるというものです。ところが、その地域の方々自身があまりその文化を知らないという現象が起きていました。そういう意味で「マイクロツーリズム」はインバウンド需要の後押しをすることになるかもしれません。

昨年の日本経済新聞に、米国の宅配企業「ファームステッド」の記事が掲載されていました。米国のヤフーで働くプラディープ・エランクマラン氏が2歳の子育てに苦労していたことをきっかけに、友人らと立ち上げたのが生鮮品をネット宅配するスタートアップの「ファームステッド」です。事業内容はネットで注文を受けた商品を契約ドライバーが1時間以内に宅配するというもので、手数料を除けば値段はスーパー並みで、頼んだその日にすぐ届くというのが強みですが、他社との大きな違いはその「小ささ」にあるといいます。配送エリアは16メートル四方の倉庫を拠点に、そこから半径10キロメートル程度に限定。品ぞろえも地域で取れた野菜や卵など大規模スーパーの20分の1の約1500点にとどめたそうです。消費行動が似た顧客を小さな商圏内で囲い込んだことで、需要を人工知能(AI)で予測して在庫増も避け、創業3年足らずながら同社の小商圏の数はシリコンバレー全域をカバーできるまでに増えたというのです。また、そうした最新技術による合理性ばかりでなく、「顧客の声」を最重要データと位置づける現場感覚も重要としている点に関心を持ちました。ある時、同社のお客の間でジュース向けの熟れたバナナを求める声が多く出たそうで、腐る寸前のバナナを扱ったところ注文が急増。結果的にさまざまな状態のバナナを在庫に持ちやすくなり、廃棄率減少にもつながったそうです。「困ったらAIでなくお客に聞く」とのエランクマラン氏の言葉が紹介されていました。

「物流」とは量の科学といわれることから、企業はスケールを重視し様々な効率化を図ってきました。また、省力化や自動化の話題が尽きない企業のデジタル化についても、最新の情報が溢れています。しかし、実際の担い手となっているほとんどの物流事業者は地元密着型のローカル企業であり、新技術の投資もままならない経営実態であることも否めません。先に紹介した星野リゾートの「マイクロツーリズム」や、「ファームステッド」のように、いま一番期待されるのは、足元のニーズをアナログな情報から知ることなのかもしれません。

(文責:貞 勝利)

参考:   ワールドビジネスサテライト(テレビ東京2020年4月23日放送)
日本経済新聞朝刊(2019年2月11日付)

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第433号 2020年7月8日)

「物流の教科書」-1 物流サービス

2020年3月末に上梓させていただきました「基本がわかる実践できる 物流(ロジスティクス)の基本教科書」から、今回は、物流企画の立案と推進の一つのテーマである「物流サービス」について取り上げます。

「物流サービス」と聞いて無料でやってくれるサービスをイメージされる方は、読者にはいらっしゃらないと思いますが、日本においてサービスは無料のものという認識が古くからあり、サービスという商品について考える妨げになっていたように思います。

物流サービスを考える際に、顧客満足(Customer Satisfaction)は切っても切り離せませんので、その関係を理解しておくことは重要です。顧客満足が得られるのは、顧客が期待したレベル以上のものが提供されたときです。逆に顧客の期待したレベルに達していなかったときは、顧客は不満足になります。つまり、顧客満足とは、顧客の期待値を超えることということができます。

ところが、例えば、納品先で荷受け担当の作業を補助したとします。車上渡しの契約にもかかわらず、車側までの荷役を手伝い、もし事故が起こったときはどうなるでしょうか。相手の期待を超えて顧客満足を得ようとするのは良いのですが、やれることとやれないことを見極めることが必要です。あいさつのようなサービスの基本となるようなことは、積極的に期待を超えることが有効です。昔ハンバーガーチェーンのメニューに「スマイル0円」とありました。とらえ方はさまざまだと思いますが、商品とともにスマイルを届けることで期待を超えますという意思表示と考えると、とてもよいメニューだと思います。

物流サービスを設計する際には次のような8Rのポイントを考えます。これが物流サービスの評価の項目となるからです。

適当な時に (Right Time )
適当な場所へ(Right Place)
適当な量の (Right Quantity )
適当な商品を(Right Material/Service )
適当な品質と(Right Quality)
適当な価格と(Right Price)
適当な印象と(Right Impression)
適当な方法で(Right Method )

物流はトレードオフの関係が複雑に入り組んでいます。従って、物流サービスを設計する際は、前記のポイントを最適化していく必要があります。例えば、拠点を各地に設置すると納品リードタイムは短縮されますが、在庫が増えたり、拠点コストが増えたりします。この場合は、適当な納品リードタイムと適当な拠点数のバランスを見つける必要があります。このように物流サービスの設計では、前記の評価ポイントを切り口にして検討することが重要です。

物流サービスは環境の変化とともに当初の仕様がマッチしなくなっていることもあります。一度見直しをされてはいかがでしょうか。

(文責:中谷 祐治

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また、今回ご紹介した内容は、「基本がわかる実践できる 物流(ロジスティクス)の基本教科書」(くわしくはこちら)にあります。書店で手に取っていただけますと幸いです。

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第432号 2020年6月24日)

物流コンサルティングの現場で「伝える」を考える。-2

(1はこちら)

前回はコンサルティングの現場において私が顧客とのコミュニケーションで意識しているポイントについてお話ししました。話が相手にうまく伝わっていない具体的なシーンをいくつか挙げましたが、こういった事態が起こるのには原因があります。そして、その原因は大きく3つに分けられます。これから各原因について詳しく説明していきたいと思います。

最初に、相手がこちらの話に納得できていないときのリアクションをイメージしてみてください。こちらの内容に対する反応は大きく分けて2つあると思います。1つ目は「本当にそうなのですか。」のような話のつながり(縦の論理)の弱さを示唆する反応。そして2つ目は「本当にそれだけなのでしょうか。」のような話の漏れ(横の論理)を疑う反応です。これらが前述の話が伝わらない3大原因のうちの2つです。

まず縦の論理について具体的に説明します。「風が吹けば、桶屋が儲かる。」という非常に有名なことわざがあります。知らない方はほとんどいないと思います。しかしながら、このことわざを初めて聞いたとき、なぜ風が吹けば桶屋が儲かるのかを即座にイメージできた方は稀だと思います。ほとんどの方が前述の「本当にそうなのですか。」と感じるはずです。参考までに風が吹けば桶屋が儲かる理由を以下に記します。

風が吹けば砂埃のために目を病む人が多くなり、目を病んだせいで失明すれば音曲で生計を立てようとするから三味線を習う人が増え、三味線の胴に張る猫の皮の需要が増える。

そのため、猫の数が減少し、猫が減れば猫が捕まえるネズミの数が増える。ネズミは桶をかじるから桶がよく売れるようになり、桶屋が儲かることから。

上記は確率の視点で考えると納得感が薄い話かもしれませんが、身近に縦の論理の存在を体感させてくれる好例だと思います。

では、「本当にそうなのですか。」と質問されないためのポイントは何でしょうか。それは説明に対する相手の反応をしっかり観察することです。なぜならば、話がつながっているか否かについての絶対的な基準はなく、聞く相手によって基準が変わるからです。説明中に相手が十分理解できていない様子なのに、そのまま話を進めると最終的に「本当にそうなのですか。」と質問をされることになります。また、逆の場合も注意が必要です。相手がすでに理解できていることについて、長々と説明を続けると「話が長い」や「要点が理解できていない」と思われてしまう可能性があります。特に人前で話すことに慣れていない方は、資料を読むことに夢中になり、相手の顔を見る余裕がなくなってしまうこともあると思います。そういった方は事前にリハーサルをすることをお勧めします。「プレゼンテーションは奥が深い!-7」にもあるように、万全な準備が精神的な余裕をもたらしてくれます。前述の「相手の反応を観察しながら説明する」はまさに言うは易く行うは難しといえるでしょう。自然にできるまで時間がかかるので、失敗を恐れず地道に場数を踏んでいくことが肝要です。縦の論理に関する説明は以上です。次稿では輸送コストを題材に横の論理について説明したいと思います。

(文責:野尻 達郎)

【参考資料】
『イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」』安宅和人,英治出版,2020年1月27日)
故事ことわざ辞典

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第431号 2020年6月10日)

リスク対応

■リスクの分類
新型コロナウイルスによる緊急事態宣言を受け、食品・医薬品・日用雑貨品などを除き消費が大きく低迷しています。特に大手アパレルは3月度対前年比で30~50%の落ち込みを見せています。そもそも今回の新型コロナウイルスによるリスクに対してどのような準備を行うべきだったのかを考えるにあたり、「フィンクのマトリクス」を用いてみます。この「フィンクのマトリクス」はスティーブン・フィンクが考案した手法であり、以下の危険衝撃度(影響度)×危険発生確率の4象限でリスクを分類します。

・影響度(低)×発生確率(低):グリーンゾーン 容認して受け入れる
・影響度(低)×発生確率(高):グレーゾーン  予防策をとっておく
・影響度(高)×発生確率(低):イエローゾーン リスク軽減案を考える
・影響度(高)×発生確率(高):レッドゾーン  活動自体を行わない

実際にそれぞれのゾーンでどのような対応が必要なのかを考えてみます。グリーンゾーンに位置するリスクは、そのリスク内容を把握はしておくべきですが、何も対応せずに受け入れます。コスト・経営資源をリスク対策に割く必要がないという判断です。

物流センターの出荷作業で、特定の工程が遅くなることが想定され出荷遅延が発生する可能性があるなどはグレーゾーンのリスクです、作業方法の改善で遅延を回避するなどの予防策を考えます。

地震や台風などの自然災害によるリスクはイエローゾーンに位置します。今回の新型コロナウイルスによる経済活動停止なども該当するでしょう。計画の変更の必要はなく、実施の際に適切な対処ができるようにしておくことが肝要です。コンテンジェンシープランとも呼ばれています。

計画時点でレッドゾーンのリスクが存在する場合は計画自体を修正・取りやめます。例えば小売業で例えますと、「グローバル化を目指し、内戦が多い紛争地域への出店計画を立てる」はこのゾーンに属します。

■アフターコロナで考えなければならないこと
百貨店、ショッピングセンター、直営店舗が閉鎖され、今回の新型コロナウイルスの影響でアパレル業界は大きな打撃を受けていますが、EC販売比率(EC化率)が高い企業はその影響を縮小させています。コンテンジェンシープランの一つとしてEC化率を高めることが考えられます。

コロナショックは、今後の消費者の購買行動や消費に対する価値観を変える可能性があります。テレワークが定着すれば巣ごもり消費が浸透するでしょうし、百貨店には客足が戻らないかもしれません。店舗に出向いて店で服を買う頻度が低くなり、店舗販売のビジネスモデルを変更せざるを得ないかもしれません。

EC販売はこれらのリスクを軽減するものではありますが、最終の顧客タッチポイント(顧客に商品をお届けする役割)は物流ですので、在庫管理や流通加工をどのようにするのか、配送体制をどのように構築するのか、またそれらを支える受発注管理システム、フロントシステムは何を準備するのかを考えなくてはなりません。

(文責:釜屋 大和)

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第430号 2020年5月27日)

いま企業が抱える戦略的物流課題

先日、弊社の取引先から「新型コロナウィルスの影響で物流はどうなりますか?」と問われました。とてもシンプルな質問でありながらも、誰も解が見えないのが正直なところだと思います。その取引先にも、満足のいく回答はできないとしながら、私なりの想定でお答えしました。

ご承知の通り、緊急事態宣言が発動している地域も含め、いまのところ、物流事業者は通常の業務に従事している状態がほとんどです。ただでさえ変化の激しい経営環境の中、企業のリーダーがこのような状況まで想定して対応することは、大変に困難であると想像します。しかし、これから先もどのような環境であれ、賢明な舵取りをしなければいけないのが経営トップであり、各部門を任されているリーダーも同じではないでしょうか。そういう意味で、これからますます各リーダーに求められるのは、解の見えない環境下においても、自らの意思で、戦略的合理性に基づいた判断、選択をすることではないかと考えます。

物流コンサルティングといえば、「効率化」や「コストダウン」のテーマが一般的ですが、ここ最近の弊社への問い合わせ内容は多岐に及んでいます。総じて言えば、これからの物流をどのように対応していくべきかをプロとして考えてほしいというご依頼です。内容にもよりますが、その多くが、基本的にはロジスティクス再構築の一環であり、まずは将来の全体像(あるべき姿)を描くことをお勧めしています。実際にそういった企業のコンサルティングを実行してみると、課題は大体次の三つに集約されます。

  1. 「物流戦略」の構築(または、再構築)
  2. 物流管理組織の再編
  3. ITシステムの再構築

まず、一つ目の課題である「物流戦略」の構築に行き着く要因は、そもそも各荷主企業が物流をあまり重要視してこなかったことだと考えています。売上高からみた物流コストの比率は、一般的に数%~10%前後の程度であり、コスト全体から見ればさほど大きくありません。したがって、経営側から物流部門が注視されてきた多くは、滞りなくオペレーションをコントロールすることであり、余計なコストを発生させないことでした。しかし、深刻化する物流現場の労働力不足や、グローバルで構築していたサプライチェーンへの影響など、企業経営に対する物流リスクのインパクトが大きくなるにつれ、経営戦略と同時に物流戦略も構築せざるを得ない事態が生じています。あわせて、消費者の多様なニーズや、情報社会の進化などもそれを後押ししており、実際、各企業の掲げる中期経営計画にも「物流」や「ロジスティクス」に関わる内容が増えてきました。上記の二つ目の課題である「物流管理組織の再編」は、それを実行するための体制強化であり、三つ目の「ITシステムの再構築」もそれに関連した情報インフラ整備ということになります。この二つの課題については、後日改めて触れたいと思います。

弊社はまさに、こうした課題に正面から取り組んできました。おかげさまで一定の成果を生む実力をつけてきたと自負しており、ありがたいことに継続的な取引を望まれる企業も増えてきました。今後も、難解な課題に果敢に挑戦していく姿勢を忘れず、皆様の企業におけるロジスティクスのさらなる高度化をバックアップしていきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

(文責:貞 勝利)

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第429号 2020年5月13日)

物流はおもしろい!

現在感染症問題で大変な状況にありますが、4月は新入社員の季節です。通年採用になっている企業もあると思いますが、まだまだ桜のこの時期に入社される方が多いのではないでしょうか。3年前にも同じ話題(こちら)を取り上げていますが、今回は社内の異動で物流部門に来られたという方々についてお話ししたいと思います。

物流部門に異動と聞いて、「倉庫番になるのか」と考える方はさすがにいらっしゃらないと思いますが、物流にあまり関係のない部署の方ですと、少なからず不安をお持ちかもしれません。世間一般にもドライバー不足は伝えられており、物流がこれから大変になっていくことが想定されるため、どうなるのだろうというものもあるでしょうし、新人でもないから、異動したら成果を出していかなければならないと思うものの、物流に詳しくないのでどうしてよいかがイメージできないという場合もあるかもしれません。

物流といっても幅が大変広く、各企業によってその対象範囲が異なります。まずは、与えられた領域を明確にして、それに関する知識をアップし、実践していくことが必要です。この場合、それらをすべて自分だけでカバーしようと考えないようにすることがポイントです。

例えば、実践的な知識レベルについては、実際の業務をよく知っていて聞ける人を探したり、わからないことを辞書のように調べられるような自分に合った教科書のようなものを見つけたりすることでカバーできます。また、改革や改善のテーマアップですと、以前ご紹介した「物流診断」を外部に支援してもらうことも可能です。このようなことができれば、今までの経験をもとにいろいろな活動を推進できるのではないかと思います。

もう一つ重要なことは、物流業界は変化しているということです。

物流業界は長年大きな変化がありませんでしたが、今は違います。物流センターでは、IT機器やウェアラブル機器が導入され、無人搬送車やロボット、自動化機器なども導入されています。トラック輸送では、隊列走行や無人の配送などの実現に向けて、検討が進められています。また、物流においても、スマートフォンとアプリケーションを使ったシステムやサービスが開発されています。

このような変化の時代においては、独自のアンテナをもってトレンドを追いかけ、タイミングを見て実践につなげていくことが必要です。物流担当になり、新たな観点からみていくことができるので、今までの固定観念に縛られないアイデアを出していくことができるのではないでしょうか。

現在、物流業界を見ると確かにいろいろ大変な時代ですが、物流激動の時代、変化が激しい時代、技術革新が進んでいる時代だからこそ、身近でいろいろなことができるのです。

物流部門に異動されてきた方に今お伝えしたいことは、とてもタイミングがよいということです。

(文責:中谷 祐治

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また、入社10年目の方々を想定した「基本がわかる実践できる物流(ロジスティクス)の基本教科書」を上梓させていただきました。(詳しくはこちら)書店で手に取っていただけますと幸いです。

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第428号 2020年4月22日)

長時間労働をしないよう助言・指導するだけでは不十分です。

事件番号大阪地裁平成16年(ワ)第11732号では、以下のように判決しています。

「原告(F社の元従業員)は、時間外労働時間が恒常的に1ヶ月当たり100時間を超える状態になっており、頻繁に健康診断個人票の提出を求められていたにもかかわらず、班長らの助言・指導に全く従わなかったのであるから、このような状況の下でF社が原告に対する安全配慮義務を履行するためには、単に原告に対して残業しないよう指導・助言するだけではもはや十分ではなく、端的にこれ以上の残業を禁止する旨を明示した強い指導・助言を行うべきであり、それでも原告が応じない場合、最終的には業務命令として、遅れて出社してきた原告の会社構内への入館を禁じ、あるいは一定の時間が経過した以降は帰宅すべき旨命令するなどの方法を選択することも念頭に置いて、原告が長時間労働をすることを防止する必要があったというべきである。したがって、F社が原告の長時間労働を防止するため必要な措置を講じたということはできない。」

『働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律』が2019年4月に施行され、残業については管理者のみなさまはこれまで以上に注意されているものと思いますが、具体的にどのようにしていますか? 従業員のみなさまにどのようにお話されていますか? 先に紹介しました事件では、注意の対象となる従業員の特性に鑑みてはいるものの、「残業しないようにしましょう」というだけでは不十分であり、「今日は以降の残業を禁止します」という命令でなければならないと判決しています。

私も物流現場で勤めていた際、従業員のみなさまが強い責任感を持って働いていることを感じ、私自身も多くを学びました。他方において、時にはそれが原因で不幸にも心身の不健康に至ることも起こりえます。管理者のみなさまは“従業員の責任感を十分に発揮していただきたい”心持ちであると思いますが、残業削減の注意喚起や残業の多い従業員の業務の補助、他の者への業務振替など行うことは重要であるものの不十分であり、時には残業を禁止するような命令や措置をすることも必要であるということを、それが従業員やそのご家族にとって極めて重要であることを改めて考えていただきたく思います。

(文責:松室 伊織)

【参考資料】
・「労働判例に学ぶトラック運送業の労務管理」(岡崎隆彦 産労総合研究所・経営書院 2019年8月23日)
・女性就業支援全国展開事業「女性就業支援バックアップナビ」https://joseishugyo.mhlw.go.jp/joho/data/20090626110649.html

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第427号 2020年4月8日)

単価が下がればICタグは普及するのか

■2円タグが登場予定
2020年1月18日の日本経済新聞によると、「東レは衣料など商品の在庫管理などに使うICタグを、1枚2円以下と従来の5分の1程度のコストで生産できる技術を開発した」とあります。特殊な素材を用いて集積回路を直接印刷し、生産工程を大幅に減らせるということです。ICタグはあらゆるモノがネットにつながる「IoT」にとって重要な部品ですが、本当にICタグの価格が下がれば調達・製造・物流・販売の各現場に普及が進むのでしょうか。

■時代は繰り返す
2004年8月、「響プロジェクト」が発足しました。響プロジェクトとは、ICタグの普及のために発足したプロジェクトのことで、経済産業省を中心として2006年7月までの2年計画で始められました。当時のICタグの単価は1枚50円程度でしたが、使い捨てできる単価5円程度にまで低コスト化して、日本に爆発的なICタグ普及を狙ったものでした。当時の市場の期待値は高く、「5円になればうちの会社でも適用できる」、「弊社でも検討を進めなければ」という企業が多かったです。響プロジェクトは日立製作所を中心にNEC、大日本印刷、凸版印刷が研究を進めていました。しかしながら期待とは裏腹に、ICタグの大きな普及がないまま15年が過ぎました。

■ICタグの活用に向けて
一部のSPA(製造小売)アパレル業においては、本格的にICタグを利用しています。製造時に商品にタギング(タグ付け)、物流現場での入出庫時の自動読み取り・在庫管理への利用、トレーサビリティへの活用、店頭でのレジ業務サポートに利用されています。サプライチェーンをすべてコントロールできるSPAは各作業シーンでICタグを有効に利用することが可能ですが、多くの企業はそうではありません。例えば物流現場のみでICタグを利用しようとしても、「誰がタギングするのか、入庫時なのか」、「タグの費用は誰が支払うのか」などコスト負担面が前面に出て、それをペイできるかどうかの議論が先に出てきます。当然といえば当然ですが、そうなると5円タグであってもコスト負担の課題が残ったままになり先に進めないということを繰り返してきました。

お客様のICタグ導入について検討をしてきた経験から言いますと、アパレルは製品特性や直営店におけるレジ業務への適応においてICタグと親和性があります。ICタグが対象として得意としている製品は何かを研究・理解し、サプライチェーン上の各プレイヤーにそれぞれどのような効果をもたらすのかを数値で表現し、ICタグのランニングコストをペイできるかを粗くてもよいのでまとめることが重要です。

(文責:釜屋 大和)

特に物流現場でICタグを導入したいとお考えの方は、弊社にご相談ください。

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第426号 2020年3月25日)

物流コンサルティングの現場で「伝える」を考える。

各メディアで続々と桜の開花予想が発表されています。関東は3月中旬に開花予想が発表され、いよいよ春の足音が聞こえてくるようです。桜の季節の到来は、さまざまな出会いと別れを想起させます。読者の皆さんのオフィスでも転入者や新入社員の受け入れに向けた準備が着々と進んでいるのではないでしょうか。

環境の変化が及ぼす好影響は数多くあり、それを享受するのは転入する側だけに留まりません。受け入れる側にも新たな学びや刺激があることは見逃せない好影響でしょう。これまでは「阿吽の呼吸」で難なく処理されていた業務について、知識レベルや前提条件が異なる相手に説明して理解してもらう。そして、納得した上で動いてもらう。こういった「ゼロから人を動かす」一連のプロセスを環境の変化を通じて経験することができます。前述のプロセスを円滑に進めるスキルは一朝一夕で身に付くものではありませんし、レベルを上げるためにはある程度の場数が必要です。したがって、特に外部との接点が少ない部門の方にとっては貴重な実践の機会ではないでしょうか。

コンサルティングの現場で「ゼロから人を動かす」のは日常茶飯事ですので、スキルを身に付けたい方には格好の環境かもしれません。プロジェクト単位でクライアントやプロジェクトメンバーが変わることは珍しくありませんし、プロジェクトテーマによってインタビューする部門や担当者が当然のように変わります。そういった環境下で問題の急所になるべく最短距離でアプローチすることが求められます。

その実現に向けて、クライアントと接する際に私が意識しているポイントが三つあります。一つ目は論点(相手の知りたいポイント)を押さえていること。二つ目は話がなるべくシンプルであること。そして、三つ目は話同士がしっかりつながっていることです。堅苦しく言い換えるならば、「論理的であること」でしょうか。少し前置きが長くなってしまいましたが、本稿では「人に動いてもらうために、わかりやすくに伝えること(≒論理的であること)」についてかみ砕いてご説明したいと思います。

皆さんの中にも以下のような経験をされた方がいらっしゃるかもしれません。

・顧客や上司への報告で「何が言いたいかよく分からない」と言われた
・プレゼン中に顧客に退屈そうな顔をされた
・論理的に説明しているのに、相手がなかなか理解してくれない
・上司に「MECEじゃない」と指摘された(恥ずかしながら、過去の私の実体験です)

今回はそういった読者の方や新入社員の方にも理解していただけるように、ビジネス本にありがちな専門用語(演繹法、帰納法等)はなるべく使わないよう心がけました。本稿の存在が転入者の方、そして転入者の受け入れに悩む方の一助となれば幸いです。

(文責:野尻 達郎)

【参考資料】
明治安田生命 「理想の上司」アンケート調査を実施! (2020年1月27日)
『イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」』(安宅和人,英治出版,2020年1月27日)

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第425号 2020年3月11日)