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物流用語

物流に関連して使われている言葉の中には、独特のものがあります。ロジ・ソリューションのメールマガジンでも、「坪」「才」などが今でも検索されていて、多くの方が調べていることがわかります。
「坪」や「才」は、メートル法の前に使われていた尺貫法の単位ですが、今も使われている状態です。今回はそんな物流用語について、取り上げてみたいと思います。
物流の機能の「荷役」は何と読みますか?
「にえき」と読んでいる方がまれにいらっしゃるようですが、物流では「にやく」です。これは、日本産業規格の物流用語(JIS Z 0111:2006)にあり、定義は「物流過程における物資の積卸し、運搬、積付け、ピッキング、仕分け、荷ぞろえなどの作業及びこれに付随する作業。マテリアルハンドリングともいう。」となっています。
この中に「物資の積卸し」とありますが、「積降ろし」もしくは「積み下ろし」を使われる方もいらっしゃると思います。一般的に「卸」という言葉からは、卸売事業者が小売事業者に商品を売ることをイメージしますので違うように感じます。一方、標準貨物自動車運送約款では、「積付け、積込み又は取卸し」という言葉が使われており、国土交通省の資料でも「取卸し」が使われています。こちらは「取降ろし」や「取下ろし」ではなく、「取卸し」を使ったほうが物流業界の多くの方に違和感が少ないのではないでしょうか。
特別積合せなどで顧客から貨物を集めることを「集荷」「集貨」のどちらを使われていますか?
「しゅうか」の漢字は、標準貨物自動車運送約款では、第十七条で「集貨」が次のように使われています。「当店は、送り状に記載され、又は通知された集貨先又は発送地において荷送人又は荷送人の指定する者から貨物を受取り、送り状に記載され、又は通知された配達先又は到達地において荷受人又は荷受人の指定する者に貨物を引き渡します。」約款は契約書を補完するものであり、「集貨」を使うべきではないかと考えています。
3PL(サードパーティ・ロジスティクス)も登場してから年月が経ち、物流用語として一般的に使われるようになってきました。しかしながら、理解はまちまちです。総合物流施策大綱には「荷主企業に代わって、最も効率的な物流戦略の企画立案や物流システムの構築の提案を行い、かつ、それを包括的に受託し、実行すること。荷主でもない、単なる運送事業者でもない、第三者として、アウトソーシング化の流れの中で物流部門を代行し、高度の物流サービスを提供すること。」と定義されています。物流の単なるアウトソーシングが3PLでないことは明白ですが、そのように使っている場合があることも事実です。
いくつか例をあげましたが、そのほかにもいろいろな物流業界特有の用語がありますので、正しい内容を理解しておくことが必要です。

(文責:中谷 祐治

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物流全般のことは、「基本がわかる実践できる 物流(ロジスティクス)の基本教科書」(くわしくはこちら)にいろいろ取り上げています。また、サードパーティロジスティクスについては、「間違いだらけの物流業務委託」(くわしくはこちら)にさらに詳しく解説しております。よろしければご参考にしていただけましたらと思います。

(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第440号 2020年10月14日)

 

 

コロナ禍でも業績を伸ばす物流企業の現場から学んだこと

コロナウィルスの影響による逆風に負けず業績を伸ばす会社とは、どんな特徴があるのでしょうか。また、今後コロナウィルスは企業にどれほどのマイナス影響を与えるのでしょうか。帝国データバンクによると、コロナウィルスにより業績にマイナスの影響があると見込んでいる企業は82.7%にものぼります。さらに、マイナスの影響があると見込む企業を業界別でみると、「運輸・倉庫」が87.5%でトップとなっており、かなり厳しい見方をしています。

しかし、そんな逆境の中、仕事が増え、業績を伸ばしている物流企業もあります。今回はそんな企業の現場をレポートします。

今回ご紹介するのは株式会社柳川合同(以降柳川合同)のエルゴヒューマンテクニカルセンターです。柳川合同は主に家具・家電・一般物輸送を事業としており、今回は「家具輸送」の領域に注目したいと思います。

柳川合同の杉戸営業所では、高機能で有名なエルゴヒューマンのオフィスチェアの輸送業務を担っています。また輸送業務に留まらず、カスタマーセンター業務や修理受付およびパーツの販売も行っています。

コロナウィルスの影響により、仕事でテレワークを採用する企業が増加し、テレワーク用の机や椅子、ヘッドセット等の需要が増えました。それに伴い、過去に購入した椅子の修理やメンテナンスの依頼も増加しており、柳川合同の収益の伸長に貢献しています。

修理は原則的に杉戸営業所で行っていますが、訪問修理サービスも行っています。修理費用が高額になる場合には、柳川合同が在庫を持つアウトレット品をお客様に提案することもあります。新品とそん色ない品質のオフィスチェアをお得に購入することができるため、顧客からも非常に好評とのことでした。

また、過去の修理依頼があった顧客宛にアウトレット品に関する最新情報をメルマガで配信するなど、プロモーション活動にも熱心に取り組んでいます。

今後はさらにテレワークが世間に浸透すると考えられ、それに伴いオフィスチェアを購入する顧客も増加することが予想されます。購入者が増えれば顧客情報も増え、より多くの顧客とメール等による継続的な接点を持てるようになります。また購入者が増えれば修理の依頼も増えるため、修理サービスによる売上が発生するという良い好循環が生まれるのではないでしょうか。柳川合同はさらにアウトレット品の販売に力を入れる予定で商品のラインナップを増やす構想もあるようです。また、アウトレット品専用の販売サイトの作成も検討しており、顧客にとってより利便性の高いサービスの構築を目指しているようでした。

柳川合同はコロナウィルスによる逆風に負けず、自社の強みと世間の需要を上手く一致させ、業績を伸ばしている好例ではないでしょうか。各企業がコロナウィルスによる悪影響に立ち向かっていますが、未だ収束の兆しはみえていません。そんな中で私は物流コンサルタントとして、この危機的状況を打破する提案ができるよう日々精進したいと考えています。

(文責:三木 祥裕)

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第439号 2020年9月30日)

物流コンサルティングの現場で「伝える」を考える。4

(3はこちら)

前回は輸送コストに関する具体例を引き合いに出しながら、横の論理についてご説明しました。今回は「論理的か否かは誰が決めるのか」についてご説明します。これまでご案内した通り、話が上手く伝わらない三大原因のうち2つは、縦・横の論理がつながっていないことでした。残る原因は相手に十分に寄り添えていないことです。どんなに堅牢に縦・横の論理を構築しても、相手が理解しなければ何の意味もありません。なぜならば論理的か否かを決めるのは、あくまでも相手側だからです。

では「論理的に説明しているのに、相手がなかなか理解してくれない」という例を出しました。実際に同じような経験をされた方も少なくないのではないでしょうか。自分の論理を信奉しすぎると、相手を受容する余裕がなくなってしまいます。私が顧客やプロジェクトメンバーとのコミュニケーションの際に、常に肝に銘じている言葉があります。それは、「受容・共感なしの議論は単なる動物によるバトルである。」という言葉です。コミュニケーションにおける受容・共感の重要性を端的に示しています。大学院での授業で田中道昭先生から教えていただいたフレーズですが、いまだに当時の強烈な印象が残っています。

皆さんも論理の構築に夢中になるあまり、目の前の相手を受容できなくなっていないでしょうか。これまでも述べた通り、「上手く伝えること」と「上手く聞くこと」は表裏一体です。上手く伝わらないと感じたときこそ、上手く聞くことを意識してみてはいかがでしょうか。本稿をもって『物流コンサルティングの現場で「伝える」を考える。』は完結となります。物流コンサルティングの現場で「伝える」を考える。1でもお伝えしましたが、本稿の存在が転入者の方、そして転入者の受け入れに悩む方の一助となれば幸いです。

(文責:野尻 達郎)

【参考資料】
『イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」』安宅和人,英治出版,2020年1月27日)
『経営戦略4.0図鑑』田中道昭,SBクリエイティブ,2020年4月10日

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第438号 2020年9月16日)

 

物流コンサルティングの現場で「伝える」を考える。3

(2はこちら)

前回は有名なことわざを引き合いに出しながら、縦の論理についてご説明しました。今回は横の論理についてご説明します。前稿の冒頭でご案内した通り、話が上手く伝わらない原因の2つめは横の論理がつながっていないことです。相手から「本当にそれだけなのでしょうか。」のような反応をされた場合は、基本的に横の論理が不足している場合がほとんどです。具体的には話した内容が全体をカバーできていない、漏れやダブりがあるということでしょうか。

なかなかイメージできない方もいると思うので、少し具体例を用いて説明したいと思います。昨今、輸送コストの上昇は数多くのメディアに取り上げられています。事実として、日本銀行による最新(2020年5月26日)の企業向けサービス価格指数で道路貨物輸送の価格指数は105.9(2015年平均=100)となっています。そういった環境下で、もし読者のみなさんが物流事業者の営業担当者だとしたら、荷主企業に料金値上げを交渉する際にどのような情報を準備すれば良いでしょうか。

人手不足による人件費高騰だけで十分でしょうか。全日本トラック協会による経営分析報告書を見ると、一般貨物運送事業における営業費用のうち人件費が占める割合は48%程度です。つまり、人手不足による人件費高騰だけでは、その他の52%がカバーできていない(漏れがある)ことになります。荷主企業担当者あるいはその上席者にあたる購買決定者に納得感のある説明をするためには、燃料油脂費や事業用自動車の価格の推移についても目を光らせる必要があります。

ここまでは輸送コストに関する具体例を用いて横の論理について説明しました。自分が知識のある物流領域の問題であれば、漏れなくダブりなく(MECE)考えることは比較的容易かもしれません。しかしながら、自社の環境分析や競争戦略の立案になると難易度が上がります。そういった場合はフレームワークを用いることで比較的容易にMECEを作ることができます。フレームワークとは、具体的にマーケティングの5Pや環境分析の3Cなどが挙げられます。ただし、フレームワークはあくまでもツールに過ぎないため、目的や状況を踏まえて活用を検討する必要があります。

横の論理に関する説明は以上です。次稿では話が伝わらない3大原因の最後の一つについてお伝えしたいと思います。

(文責:野尻 達郎)

【参考資料】
『イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」』安宅和人,英治出版,2020年1月27日)

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第437号 2020年9月2日)

教育プログラムの見直し

ロジ・ソリューションは設立から12年がたち、グループ企業だけでなく、グループ外の企業にもコンサルテーションを行わせていただいています。そのテーマは、物流現場のみだけでなく物流の戦略策定支援等、幅広く展開してきています。このような幅広いテーマでいろいろなご支援をするため、メンバーにはさまざまな能力が求められます。改めて、求める物流コンサルタントとはどのような人材なのか、現状のレベルはどの程度なのか、そのギャップを埋めるには何をしたら良いのかについて、自分たちの現状を見つめ直し、メンバーのレベルアップを図ろうとしています。

物流のプロジェクトを行っているとき、事務員の教育、作業員の教育、トラック運転者の教育の課題がでてきます。なかでもトラック運転者の教育に話が及ぶのは、事故率等が高い場合です。

全日本トラック協会の令和元年8月の『事業用貨物自動車の交通事故の発生状況』で事業用貨物自動車の法令違反別の死傷事故件数及び構成率をみると、漫然運転、脇見運転、動静不注視、安全不確認といった注意不足や慣れからくるものが上位にきています。また、運転者の運転免許経過年数別・運転者年齢別の死傷事故件数をみると、運転者の運転免許経過年数が10年以上、年齢が45~49歳が多くなっています。全体的な運転者の数自体40~50代が多いので一概には言えないかもしれませんが、運転免許経過年数が10年以上であり、「いつも大丈夫だから、今回も大丈夫」など注意を怠った慣れが発生しているのかもしれません。

先日、私が関わったプロジェクトでも事故件数や事故原因を分析したところ、不注意や慣れが原因の多くを占めていました。対象の企業に教育プログラムがないわけではありませんが、今後教育プログラムの見直しや管理体制の強化が必要なのは言うまでもありません。

コロナウイルス感染症の影響で配送サービス内容が変化し、運転者の教育プログラムを見直していく企業もあろうかと思います。

みなさんの現状はいかがでしょうか。

(文責:真壁 由香)

【参考資料】公益社団法人 全日本トラック協会『事業用貨物自動車の交通事故の発生状況』令和元年8月

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第436号 2020年8月19日)

デザイン・フォー・ロジスティクスは大規模建築物でも

私が以前住んでいた街の某大型ショッピングモールでは、公道から立体駐車場入口へ向かう車路の途中を左折するとトラック荷捌き場がありました。逆に、立体駐車場出口から公道へ向かう車路へはトラックは右折で合流しなければなりません。人気のあるショッピングセンターだったので乗用車の列が絶えることは少なく、納品を終えたであろうトラックがなかなか合流できず停車している場面に幾度となく遭遇しました。もちろん、同業者として先を譲りました。

デザイン・フォー・ロジスティクスという言葉はサプライチェーンに適した製品設計や梱包・包装に関することが中心でしたが、その考え方は商業施設等の大規模建築物についても議論がなされています。例えば、国土交通省が2017年3月に公表した『物流を考慮した建築物の設計・運用について~大規模建築物に係る物流の円滑化の手引き~』がそれに当たります。

同書では、冒頭で物流業界の労働力不足やサービスレベルアップに基づく作業負荷増から議論を進めているものの、大規模建築物の計画・設計・運用でデザイン・フォー・ロジスティクスを考慮することによる影響として以下を挙げています。

(1)建築物の利用者の利便性・快適性の向上
(2)メンテナンスや入居者交代に伴う工事等へのより柔軟な対応
(3)搬入される荷物の紛失防止やセキュリティ確保
(4)路上駐車等による道路交通への支障防止及び見通しが阻害されないことによる安全性の向上
(5)路上駐車等を抑制することによる良好な景観の形成などのまちづくりとの調和等

これら全項目において大規模建築物の所有者、入居者及び利用者に資するものであり、物流事業者のみが資するわけではないという視点で議論されているように感じます。

次に、設計上の考慮事項や運用による効率化策として以下についてその方法が明示されています。

・設計時の考慮事項

(1)車路(幅、動線)
(2)駐車マスの大きさ
(3)車路・駐車マスの高さ
(4)荷捌きスペース、館内受付・一括荷受けスペース
(5)館内動線
(6)貨物用
(7)駐車マスの必要数

・運用による効率化策

(1)館内配送の共同化
(2)納品時間の指定・調整
(3)一括納品
(4)その他(駐車場運営、情報管理システム)

また、実務へ落とし込むツールとして物流検討フローとチェックリストも添付されており、大規模建築物の計画・設計・運用時での活用が期待されます(ただし、計画の最初が発生する物流量の推計であり、難易度も影響度もともに高そうな印象を受けます)。

もともとは別の目的であるとしても、結果としてこのような施策は物流事業者にも資することになります。物流業界の労働力不足が社会全体で問題視される中、こうした『デザイン・フォー・ロジスティクス』の動きが今後も続くことを期待したいです。

(文責:松室 伊織)

参考:国土交通省総合政策局物流政策課『物流を考慮した建築物の設計・運用について~大規模建築物に係る物流の円滑化の手引き~』(2017年3月)https://www.mlit.go.jp/common/001198147.pdf

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第435号 2020年8月5日)

物流の一機能である情報システム

物流が物的流通と表現されていた時代、物流は5つの機能(保管、輸送、荷役、包装、流通加工)から構成しているとされていました。物流という用語が一般的に世間に普及し、事務業務の効率化にコンピュータが用いられることが多くなり、情報システムも物流の一機能として加わることとなりました。当初は保管費用や配送費用など請求費用の自動計算、入出庫・在庫数量のシステム管理などはホストコンピュータ端末を利用して行われていました。また通信ネットワークの進展により、荷主と物流事業者のデータ連携が電子データ交換(EDI:Electronic Data Interchange)によって自動的に行われることになりました。紙の伝票ベースでやり取りしていた従来の方式に比べ、事務における業務負荷の軽減がなされました。

その後、第3次産業革命と呼ばれる“情報システムを用いた自動化”の波が物流にも訪れ、現場作業の効率化が大きく進むこととなります。クライアントサーバ型の物流情報システムソリューションとして代表的な倉庫管理システム(WMS:Warehouse Management System)、輸配送管理システム(TMS:Transportation Management System)の現場導入が進み、荷役作業、保管作業、輸送における作業の効率化がなされてきました。

これら情報システムの導入・進展は物流現場管理の強化にもつながり、単なる作業の効率化だけではなく現場生産性の改善、現場作業進捗の見える化などを実現しました。ただし、これらはあくまで“物流”の範囲内での管理強化であり、3PL(Third Party Logistics)事業者や物流をSCM(Supply Chain Management)において重要な位置づけと考えている企業は物流の高度化のためには、さらに物流情報システムについて知識を深める必要があります。製造業における調達管理システム、生産管理システム、販売業における販売管理システム、EC事業者であれば受発注管理システム(OMS:Order Management System)などを理解し、物流システムとどのようなデータをどのタイミングでやり取りをしているかを知っておくことが重要です。

(文責:釜屋 大和)

弊社では物流ITの急速な発展と変化に対応するため、「物流ITアドバイザリーサービス」を提供しています。どうぞご活用ください。

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第434号 2020年7月22日)

 

ミクロな視点で考えるロジスティクス戦略

外出自粛が常態化する中で、私が住む地域では、運動不足解消のためにウォーキングやランニングを始めている人が増えているように見受けられます。東京都心とは違い、のどかな風景が広がる、いわゆる「田舎」といわれるような地域だからかもしれません。ですので、普段の生活では、食事を楽しむ豊富なお店の数や、お洒落なカフェのようなものとは無縁と思っていました。ところが、私自身も頻繁にウォーキングをするようになり、いろいろなコースを歩いて散策していると、思わぬ場所にレストラン(というよりお食事処)を見つけたり、奇麗なガーデニングのお宅の前を通りかかったり、歴史を感じる建築物に出くわしたりと、驚くほど新しい発見が多く、楽しい日課の一つになっています。おそらく、ウォーキングを始めた多くの方がこのような体験をしているのではないでしょうか。

以前にも紹介したことがある星野リゾート代表の星野佳路氏は、コロナ影響によって失われた、インバウンドによる観光需要が完全に回復するのは、1年程度かかるのではないかとしながら、「マイクロツーリズム」という企画を提案しています。これは、自分の住む地元地域から10分、30分、1時間程度で移動できる周囲の観光を楽しもうというものです。そのメリットとして、一つ目はもともとそれなりの需要があること。二つ目は県を跨がないので、ウィルス拡散につながらない。三つ目は観光産業に従事する人材の雇用を維持できる。最後の四つ目は、地元の良さを改めて発見することだとしています。これまで観光といえば、インバウンドに期待し、どちらかといえば国内におけるさまざまな観光地や遠い海外に目を向けてきました。しかし、この最後のメリットは、そのうち回復すると考えられるインバウンド需要に対して、日本の各地を訪れた観光客に、地元をよく知る方々が増えていることで、これまで以上に日本の魅力を発信できるということにつながるというのです。

確かに、コロナ影響前にみられたインバウンド需要には変化が見られました。いわゆる「モノ」消費から「コト」消費への変化で、日本のさまざまな地域を訪れて、日本の文化に直接触れるというものです。ところが、その地域の方々自身があまりその文化を知らないという現象が起きていました。そういう意味で「マイクロツーリズム」はインバウンド需要の後押しをすることになるかもしれません。

昨年の日本経済新聞に、米国の宅配企業「ファームステッド」の記事が掲載されていました。米国のヤフーで働くプラディープ・エランクマラン氏が2歳の子育てに苦労していたことをきっかけに、友人らと立ち上げたのが生鮮品をネット宅配するスタートアップの「ファームステッド」です。事業内容はネットで注文を受けた商品を契約ドライバーが1時間以内に宅配するというもので、手数料を除けば値段はスーパー並みで、頼んだその日にすぐ届くというのが強みですが、他社との大きな違いはその「小ささ」にあるといいます。配送エリアは16メートル四方の倉庫を拠点に、そこから半径10キロメートル程度に限定。品ぞろえも地域で取れた野菜や卵など大規模スーパーの20分の1の約1500点にとどめたそうです。消費行動が似た顧客を小さな商圏内で囲い込んだことで、需要を人工知能(AI)で予測して在庫増も避け、創業3年足らずながら同社の小商圏の数はシリコンバレー全域をカバーできるまでに増えたというのです。また、そうした最新技術による合理性ばかりでなく、「顧客の声」を最重要データと位置づける現場感覚も重要としている点に関心を持ちました。ある時、同社のお客の間でジュース向けの熟れたバナナを求める声が多く出たそうで、腐る寸前のバナナを扱ったところ注文が急増。結果的にさまざまな状態のバナナを在庫に持ちやすくなり、廃棄率減少にもつながったそうです。「困ったらAIでなくお客に聞く」とのエランクマラン氏の言葉が紹介されていました。

「物流」とは量の科学といわれることから、企業はスケールを重視し様々な効率化を図ってきました。また、省力化や自動化の話題が尽きない企業のデジタル化についても、最新の情報が溢れています。しかし、実際の担い手となっているほとんどの物流事業者は地元密着型のローカル企業であり、新技術の投資もままならない経営実態であることも否めません。先に紹介した星野リゾートの「マイクロツーリズム」や、「ファームステッド」のように、いま一番期待されるのは、足元のニーズをアナログな情報から知ることなのかもしれません。

(文責:貞 勝利)

参考:   ワールドビジネスサテライト(テレビ東京2020年4月23日放送)
日本経済新聞朝刊(2019年2月11日付)

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第433号 2020年7月8日)

「物流の教科書」-1 物流サービス

2020年3月末に上梓させていただきました「基本がわかる実践できる 物流(ロジスティクス)の基本教科書」から、今回は、物流企画の立案と推進の一つのテーマである「物流サービス」について取り上げます。

「物流サービス」と聞いて無料でやってくれるサービスをイメージされる方は、読者にはいらっしゃらないと思いますが、日本においてサービスは無料のものという認識が古くからあり、サービスという商品について考える妨げになっていたように思います。

物流サービスを考える際に、顧客満足(Customer Satisfaction)は切っても切り離せませんので、その関係を理解しておくことは重要です。顧客満足が得られるのは、顧客が期待したレベル以上のものが提供されたときです。逆に顧客の期待したレベルに達していなかったときは、顧客は不満足になります。つまり、顧客満足とは、顧客の期待値を超えることということができます。

ところが、例えば、納品先で荷受け担当の作業を補助したとします。車上渡しの契約にもかかわらず、車側までの荷役を手伝い、もし事故が起こったときはどうなるでしょうか。相手の期待を超えて顧客満足を得ようとするのは良いのですが、やれることとやれないことを見極めることが必要です。あいさつのようなサービスの基本となるようなことは、積極的に期待を超えることが有効です。昔ハンバーガーチェーンのメニューに「スマイル0円」とありました。とらえ方はさまざまだと思いますが、商品とともにスマイルを届けることで期待を超えますという意思表示と考えると、とてもよいメニューだと思います。

物流サービスを設計する際には次のような8Rのポイントを考えます。これが物流サービスの評価の項目となるからです。

適当な時に (Right Time )
適当な場所へ(Right Place)
適当な量の (Right Quantity )
適当な商品を(Right Material/Service )
適当な品質と(Right Quality)
適当な価格と(Right Price)
適当な印象と(Right Impression)
適当な方法で(Right Method )

物流はトレードオフの関係が複雑に入り組んでいます。従って、物流サービスを設計する際は、前記のポイントを最適化していく必要があります。例えば、拠点を各地に設置すると納品リードタイムは短縮されますが、在庫が増えたり、拠点コストが増えたりします。この場合は、適当な納品リードタイムと適当な拠点数のバランスを見つける必要があります。このように物流サービスの設計では、前記の評価ポイントを切り口にして検討することが重要です。

物流サービスは環境の変化とともに当初の仕様がマッチしなくなっていることもあります。一度見直しをされてはいかがでしょうか。

(文責:中谷 祐治

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第432号 2020年6月24日)

物流コンサルティングの現場で「伝える」を考える。-2

(1はこちら)

前回はコンサルティングの現場において私が顧客とのコミュニケーションで意識しているポイントについてお話ししました。話が相手にうまく伝わっていない具体的なシーンをいくつか挙げましたが、こういった事態が起こるのには原因があります。そして、その原因は大きく3つに分けられます。これから各原因について詳しく説明していきたいと思います。

最初に、相手がこちらの話に納得できていないときのリアクションをイメージしてみてください。こちらの内容に対する反応は大きく分けて2つあると思います。1つ目は「本当にそうなのですか。」のような話のつながり(縦の論理)の弱さを示唆する反応。そして2つ目は「本当にそれだけなのでしょうか。」のような話の漏れ(横の論理)を疑う反応です。これらが前述の話が伝わらない3大原因のうちの2つです。

まず縦の論理について具体的に説明します。「風が吹けば、桶屋が儲かる。」という非常に有名なことわざがあります。知らない方はほとんどいないと思います。しかしながら、このことわざを初めて聞いたとき、なぜ風が吹けば桶屋が儲かるのかを即座にイメージできた方は稀だと思います。ほとんどの方が前述の「本当にそうなのですか。」と感じるはずです。参考までに風が吹けば桶屋が儲かる理由を以下に記します。

風が吹けば砂埃のために目を病む人が多くなり、目を病んだせいで失明すれば音曲で生計を立てようとするから三味線を習う人が増え、三味線の胴に張る猫の皮の需要が増える。

そのため、猫の数が減少し、猫が減れば猫が捕まえるネズミの数が増える。ネズミは桶をかじるから桶がよく売れるようになり、桶屋が儲かることから。

上記は確率の視点で考えると納得感が薄い話かもしれませんが、身近に縦の論理の存在を体感させてくれる好例だと思います。

では、「本当にそうなのですか。」と質問されないためのポイントは何でしょうか。それは説明に対する相手の反応をしっかり観察することです。なぜならば、話がつながっているか否かについての絶対的な基準はなく、聞く相手によって基準が変わるからです。説明中に相手が十分理解できていない様子なのに、そのまま話を進めると最終的に「本当にそうなのですか。」と質問をされることになります。また、逆の場合も注意が必要です。相手がすでに理解できていることについて、長々と説明を続けると「話が長い」や「要点が理解できていない」と思われてしまう可能性があります。特に人前で話すことに慣れていない方は、資料を読むことに夢中になり、相手の顔を見る余裕がなくなってしまうこともあると思います。そういった方は事前にリハーサルをすることをお勧めします。「プレゼンテーションは奥が深い!-7」にもあるように、万全な準備が精神的な余裕をもたらしてくれます。前述の「相手の反応を観察しながら説明する」はまさに言うは易く行うは難しといえるでしょう。自然にできるまで時間がかかるので、失敗を恐れず地道に場数を踏んでいくことが肝要です。縦の論理に関する説明は以上です。次稿では輸送コストを題材に横の論理について説明したいと思います。

(文責:野尻 達郎)

【参考資料】
『イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」』安宅和人,英治出版,2020年1月27日)
故事ことわざ辞典

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第431号 2020年6月10日)