物流要件定義のポイント:3PL化やDXの前に

物流委託や3PL化をお考えの方や物流現場のIT化を検討されている方の中には、どのように物流要件を定義してよいか解らないという方も居られると思います。

特に物流コンペを開催する場合は、物流の各事業者から提出された内容を一律で評価するため、できるだけ提出フォーマットを統一しておくことが重要です。

でもその前に…

そもそも、物流をどうしたいのかを明確にしておくことが重要です。現在のやり方と問題点を十分に把握した上で、要件定義書を作成することをお勧めします。

必要なデータについて

物流事業者に質の高い提案書を作成させるには、作業ボリュームに関するデータを細かく提示することが必要です。直近1年間のデータと計画年度の想定物量を提示しましょう。

目的に応じて次の7項目の中から、必要な情報を提示すると良いと思います。

たとえば配送だけなら、(4)、(5)、(6)が中心となりますし、倉庫内作業だけなら、(1)~(4)および作業フローが必要となります。

< 物流検討に必要なデータ >

(1)取り扱いアイテム数、SKU数
→ 必要スペースの算出や保管方法の設定で必要になります。

(2)作業内容別物量(ケース扱い、バラ扱い、ピッキング方式の違いによる物量等々)
→ 作業人員算出や保管方法の設定で必要になります。

(3)在庫物量(波動がわかるデータ → 月別在庫量、等)
→ (1)や(2)と合わせ、スペースの算出に必要です。

(4)入出荷物量(波動がわかるデータ → 月別入出荷量、曜日別入出荷量、等)
→ 倉庫内のレイアウトや作業人員算出に必要です。

(5)配送先条件(積み卸し条件、荷卸時間や納品車両制限等、また配送先別物量も必要)
→ 配送車両設定、配送ルート設定等で必要となります。

(6)主要作業タイムテーブル(入庫、出庫、事務作業、その他作業)
→ 直営人員の割り振りや、パート作業員の手配、作業単価等の設定に必要です。

(7)事務所作業の内容
(単に入出庫データを返すのではなく、独自の事務処理や管理業務があれば記載が必要)
(委託後の業務分担リストを作成すると良いでしょう)
→ 事務作業人員算出や情報化提案に必要となります。

※その他、物流品質目標や作業生産性目標等があれば記載しておきましょう。
※作業フローや現状のレイアウト図があれば、言うことなしです。
(可能であれば、現在の物流現場を見せることをお勧めします)

要件定義書を作ろう

要件定義書は「人」「要求(内容)」「ドキュメント」で構成されています。

このドキュメントは、とりまとめを行う担当者にかなり左右され、また、物流事業者側から見て要件が曖昧だと、提案内容や料金設定に大きく差が出てきます。

ここでのポイントは、「いかに例外作業を盛り込むか?」です。

物流事業者は明記されていない作業は提案範囲外とするので、特に事務管理作業(現場事務も含めて)の記述が曖昧で例外作業の説明が不十分だと、実施後の料金請求で物流事業者と揉める素となります。

もっとも、物流コンペ等の段階で、例外を盛り込みすぎるのも評価し辛くなるばかりなので、コンペで物流業者決定後詳細検討期間を設け、料金等も含めて幅が出るものだと思っていたほうが良いでしょう。

物流コンペを行う際は、業者選定後に詳細検討が出来るよう2段構えで、実施スケジュールに余裕を持たせる。これが裏技ポイントです。

これなら例外の詳細も伝えられ、料金に反映することで物流事業者側も納得できます。

実検討段階での要求追加

要求は検討が進むにつれて思いつくものです。特に現場作業のIT化等を検討する場合は、「こんな機能が欲しい」「あんなことが出来ると嬉しい」等々、際限なくアイディアが出てきますし、ある程度出来上がった段階で、「やっぱりこんな機能も追加したい」ということも…。

ある程度出来上がった段階での追加は、ある意味仕方ない部分もありますが、「これだけは避けたい」と思う状況を想定し要求を絞り込んだり、最初から実作業担当者の意見を必ず入れたりする等の工夫が必要です。

また、いくら担当者や現場の人間が必要と思う機能でも、意思決定権者が 「NO!」と言った瞬間、方向転換!なんてことにならないように、最終的に責任を持っている上層部の意見や意向を事前に確認しておくことが重要です。

(文責:菅野)

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