物流事業者が新規ビジネスに進出するにあたり(1)

今回のメルマガより以降4回にわたり、物流事業者が新規ビジネスに進出するにあたっての克服すべき課題を述べたいと思います。筆者自身3PL協会のEC物流委員会のプロモーションチームに所属していることもあり、インターネット販売(EC物流)事業を例にして記述します。
EC物流委員会メンバーのリアルな課題をお話しすることができると思います。

第一回目はポートフォリオマネジメントの重要性です。

【市場を中心に考えてみる】
物流事業者は基本的に荷主より荷物を預かり、時間乖離を埋めるサービス(保管機能)、空間乖離を埋めるサービス(配送)を主軸に企業運営しています。この単機能サービスの提供は荷主の要望に従ってなされるものであり、物流事業者は荷主の成長に合わせて企業規模を拡大してきました。そのためどうしても荷主と物流事業者は主従関係になりやすく、荷主の要望に合わせることを第一義とする傾向があります。

物流事業者がこれからも事業成長するためには自らの価値がどこにあるのか、市場に合致したサービスを提供しているのか、ギャップがあるならそれを埋めるサービスは何なのか、つまりポートフォリオ経営が必要です。
市場性に合致したサービスの一つとしては、成長著しいEC市場を対象とした物流:EC物流があり、それを事業化させるためには自社の核となる業務と価値を再認識し、市場を意識した上で新領域の事業に踏み出す必要があります。

「ポートフォリオマネジメント」事業のライフサイクルを問題児、花形製品、金のなる木、負け犬の順に位置づけ、マトリックスで表記します。縦軸に市場成長率、横軸に市場マーケットシェアをとり、問題児、花形製品、金のなる木、負け犬のマトリックスに分け、金のなる木で生じた利益を問題児や花形商品に投資して、金のなる木へ育てようとする事業戦略です。
一般的な事業は、問題児(例えば今回のEC物流)から出発し、花形製品を経て金のなる木になります。自社の事業が、今どこに位置しており、今後どのようにすべきか、又、成長分野への事業展開が行われているのか等の変化対応の経営戦略が必要となります。

「EC物流は既存の物流事業者にとってはコア事業ではない場合が多いですが、市場成長率を見ると無視できない領域です。日本のEC市場の推移をみると、2012年3.11%だったEC化率が、2013年には3.67%に伸長し、今後も更に拡大すると見込まれています。
ポートフォリオ上、問題児(市場占有率は低いが、市場成長率は高い)にポジショニングされるEC物流ですが、それを花形サービス → 金のなる木に持っていくためには、どのようにすればよいでしょうか?
次号ではもう少し掘り下げてみます。

(文責:釜屋)

【参考文献】
平成26年8月 経済産業省
平成 25 年度我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/statistics/outlook/H25_besshi3_hokokusho.pdf

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第276号 2015年2月12日)