物流コストが高いのは悪いこと?

某物流子会社の物流構造改革プロジェクトのお話をします。物流子会社が抱える課題で多いのは、「親会社にわれわれ(物流子会社)の価値を明確に伝えていく」ということです。機能子会社として存在する物流子会社は、企業運営自体が受け身にならざるを得なく、自らその価値をアピールすることがあまりありません。

突然親会社から、「近々、物流コンペで物流事業者選定をする予定なのでよろしく」など急に言われて、「うちの会社の付加価値ってなんだろう」、「契約以外のサービスもやっているけど、上面だけで比較されても困る」など、その時になって焦ってしまうことも多々あります。

親会社への貢献においてアピールポイントが高いのは、利益貢献です。倉庫業務、輸配送業務をローコストでオペレーションしていることが実証できれば、それが利益貢献しているアピールにもなります。その基礎データを収集・分析することが必要となりますが、そのステップ例を以下に示します。

(1)親会社への請求項目の整理と費用の把握
(2)オペレーションの原価計算(単位当たり、例えば1車あたり)
(3)下払い費用の把握
(4)市況価格の把握←ポイント
(5)請求費用と市況価格の比較

(5)において市況価格より請求費用が高ければ、グループに対して利益貢献しているとは言えないですが、高い理由が原価の高さによるものなのか、下払いの高さにあるものなのかを詳細に調査します。なお原価の高さについては主に人件費レベルの影響が大きいです。

冒頭に記載しています「物流構造改革プロジェクト」において、親会社への請求費用は市況価格と同レベル以下でした。親会社に大きく貢献していることが分かりました。一方、原価の分析では某物流子会社のドライバー人件費が非常に高いことが判明しました。

原価が高いのに売値が安い・・・それじゃ利益がでないでしょ?と疑問を持たれる方も多くいらっしゃるでしょう。実はその高い人件費をカバーすべく、親会社以外の外販の料金設定を高くして売っていることが判明しました。

原価分析結果のみであれば、人件費が高いので下げるべきだということになりますが、その企業の利益の出し方を分析するとコストが高いことが悪いとは言えないことがわかりました。ドライバー不足が物流業界の大きな問題となっていますが、賃金の高さでドライバー確保を行い、安定的な運行を提供している面でも、貢献していることも判明しました。

(文責:釜屋 大和)

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第361号 2017年6月28日)