ドライブレコーダーから考える品質改善の未来

先日、ある動画投稿サイトでドライブレコーダーが撮影した自動車事故の映像を見ました。タクシーやトラックだけでなく、最近は一般の自家用車に取り付けている方が増えている事もあり、様々な事故の様子を見る事が出来ました。技術の進歩のおかげで、事故の状況確認や未然予防だけでなく、この証拠が事故後の紛争による時間のロスや精神的負担までも軽減出来てしまう時代になったのですね。

さて、事故の映像についてですが、これまでは固定した設備が偶然撮影したものが殆どだったと思います。それが、車載のドライブレコーダーへ主流が変わりつつありますが、それにより得られる最大のポイントは、より運転者の目線に近づいて撮影されている事だと思います。
即ち、「この車のドライバーがもし自分だったら?」とより想像しやすくなり、第3者的な目線から当事者になった気分すら感じられる事です。だから私は、「気を付けよう!」と心を引き締めます。
そして、事故の証拠として残せるだけでなく、なぜその事故が起こったのか客観的な分析をするツールにもなります。この様に、「証拠や原因分析の他に、映像を見たドライバーに対する注意喚起にも役に立てる事が出来るんだ」と、その有用性に感心したと同時に、近い将来他の分野にも同様の技術や製品が普及していくと思いました。

という事で、このドライブレコーダーの他分野への展開として、私が関わっている物流業界に当てはめて考えてみます。冒頭の通りトラックでは既に一般化しているので、今回は倉庫で発生する作業をモデルにします。もっとミクロな話に落とし込んで、分かりやすいピッキング作業ではどうでしょうか。

ここでは自動車の事故を、ピッキング者の誤ピッキングに当てはめます。
例えば作業者にカメラを付けてピッキング作業をさせ、誤ピッキングが発生したらその映像が後から確認出来たとします。これは、誤ピッキング撲滅に効果を発揮するでしょうか?結論は想像するしか有りませんが、この「ピッカーレコーダー」が無かった場合との差を考えるとどうでしょう。
一般的な誤ピック対策としては、なぜ間違えたか作業者ヒアリングをし、商品特性や保管状況,ピッキングリスト/ハンディーターミナル表示の見やすさ,作業場の照度やピッカーの疲労度等も考慮し、対策担当者が状況を再現したりもすると思います。
対策担当者は、“誤ピックした”という事実を知って調査を行いますから、なぜ誤ピックに至ったのか本質的な原因にたどり着くのに苦労します。その本質的な原因を掴めていない為に間違った対策しか出来ず、なかなか誤ピックを減らせないケースも多いのではないでしょうか。
これに「ピッカーレコーダー」の映像を加えると、ピッカー目線の作業が映像で確認出来るわけですから、ピッカーの立場に立って一連の作業の中でどうして間違えたのかを知る良い材料になると思います。

やはり、この「当事者の目線で」というのは重要で、作業者にヒアリングをしても事実とは異なっている場合もありますし、その時の状況を後から理解するのは容易い事ではないからです。
よって、作業者目線を体験出来る「ピッカーレコーダー」は、少なからず品質改善ツールとして有望なのではないかと思っています。そして、誤ピック率0%達成は大げさにしても、ある程度の効果が有ると思いたいです。それは、私がピッキング品質改善で苦労したからでもあります。

近い将来、カメラを付けたピッカーが倉庫を動き回る時が来るでしょうか。私は、こんなわがままな理想に技術の進歩がある時点で追いつく事で、我々の仕事や生活がより良くなっていく事を期待します。

(文責:熊澤)

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第232号 2013年12月6日)

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