「物流の教科書」-1 物流サービス

2020年3月末に上梓させていただきました「基本がわかる実践できる 物流(ロジスティクス)の基本教科書」から、今回は、物流企画の立案と推進の一つのテーマである「物流サービス」について取り上げます。

「物流サービス」と聞いて無料でやってくれるサービスをイメージされる方は、読者にはいらっしゃらないと思いますが、日本においてサービスは無料のものという認識が古くからあり、サービスという商品について考える妨げになっていたように思います。

物流サービスを考える際に、顧客満足(Customer Satisfaction)は切っても切り離せませんので、その関係を理解しておくことは重要です。顧客満足が得られるのは、顧客が期待したレベル以上のものが提供されたときです。逆に顧客の期待したレベルに達していなかったときは、顧客は不満足になります。つまり、顧客満足とは、顧客の期待値を超えることということができます。

ところが、例えば、納品先で荷受け担当の作業を補助したとします。車上渡しの契約にもかかわらず、車側までの荷役を手伝い、もし事故が起こったときはどうなるでしょうか。相手の期待を超えて顧客満足を得ようとするのは良いのですが、やれることとやれないことを見極めることが必要です。あいさつのようなサービスの基本となるようなことは、積極的に期待を超えることが有効です。昔ハンバーガーチェーンのメニューに「スマイル0円」とありました。とらえ方はさまざまだと思いますが、商品とともにスマイルを届けることで期待を超えますという意思表示と考えると、とてもよいメニューだと思います。

物流サービスを設計する際には次のような8Rのポイントを考えます。これが物流サービスの評価の項目となるからです。

適当な時に (Right Time )
適当な場所へ(Right Place)
適当な量の (Right Quantity )
適当な商品を(Right Material/Service )
適当な品質と(Right Quality)
適当な価格と(Right Price)
適当な印象と(Right Impression)
適当な方法で(Right Method )

物流はトレードオフの関係が複雑に入り組んでいます。従って、物流サービスを設計する際は、前記のポイントを最適化していく必要があります。例えば、拠点を各地に設置すると納品リードタイムは短縮されますが、在庫が増えたり、拠点コストが増えたりします。この場合は、適当な納品リードタイムと適当な拠点数のバランスを見つける必要があります。このように物流サービスの設計では、前記の評価ポイントを切り口にして検討することが重要です。

物流サービスは環境の変化とともに当初の仕様がマッチしなくなっていることもあります。一度見直しをされてはいかがでしょうか。

(文責:中谷 祐治

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また、今回ご紹介した内容は、「基本がわかる実践できる 物流(ロジスティクス)の基本教科書」(くわしくはこちら)にあります。書店で手に取っていただけますと幸いです。

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第432号 2020年6月24日)

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