「フィジカルインターネット」が物流を変える【後編】:オープンシェアリングとEC

前編から続きます。

鍵となるのはオープンシェアリング

物流でインターネットの方法を応用するとなると、大量の貨物を小口に分け、それぞれの貨物をそのときどきで空いている倉庫を通過し、さらにその時に空いているトラックを活用しながら配送するというイメージになります

先に紹介したジョージア工科大学で、フィジカルインターネット研究の第一人者といわれるモントルイユ教授は、その実現のカギはオープンシェアリングだと語っています。各企業が抱える倉庫やトラックなどの施設や設備をもっとオープンにして、あらゆる事業者や利用者がシェアリング(共有)し、コネクト(連携)させることが重要だとしているのです。

日本国内においては、人口減少の影響もあり、総貨物輸送量が横ばい傾向にあるなか、ECの貨物量の構成が増えています。これに対応する宅配事業者のサービスにおいては、リードタイムがどんどん短縮され、より速く、より正確にというユーザーのニーズが高まるばかりで、簡単に無くなりそうにありません。

増え続けるECニーズに対応するには

大手宅配事業者が、そのニーズに対応するための大型拠点をマーケットの主要地近郊に構えることで、懸命な努力を図っていますが、基本的にはハブ・アンド・スポーク型であり、限界がありそうです。フィジカルインターネットの概念であれば、仮に小規模な拠点であっても、ユーザーや届け先の近郊にあり、さらに空車情報がリアルタイムに把握できて、近くで配送できるトラックが手配できるようになれば、ニーズに応えるばかりでなく、倉庫の稼働率向上やトラックの積載率・実車率の向上、さらには働き方改革への貢献や価格の弾力化へ寄与する可能性があるもしれません。

ウーバーテクノロジーズ(米国)の配車アプリが自家用車を利用してドライバーを増やしたように、空き時間に荷物を配送するドライバーは存在する可能性は十分にあります。

また、エアビーアンドビー(米国)が行っている、空き部屋を泊まりたい人に貸し出すビジネスを応用し、空きスペースのある倉庫の情報をシェアすることも考えられます。こうしたシェアリングモデルは、狭い国土である日本では大変有効だと考えられ、すでにヤマトホールディングスは、ライバルの佐川急便に自社倉庫を共有する検討を始めているようです。

現在のようなユーザーの多様なニーズに物流側ですべて応えていくことよりも、制約条件の緩和を図るべきとの考え方がある一方で、このようなさらに高度化した物流ネットワーク構築のアイデアを創出する努力は怠らないようにしないといけないと考えさせられました。

是非、弊社とともに新たな物流ビジネスモデルを創造していきませんか?

(文責:貞 勝利)

【参考】日経ビジネス(2019年9月16日発行NO.2008)https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/mokuji/00036/

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(ロジ・ソリューション(株) メールマガジン/ばんばん通信第424号 2020年2月26日)

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